1971年に結成されたサディステック・ミカ・バンドは、翌72年にシングル「サイクリング・ブギ」でレコードデビュー。高橋幸宏の参加後『SADISTIC MIKA BAND』『黒船』『HOT!MENU』という3枚のスタジオアルバムを残す。日本のロック黎明期において、国内のみならず海外にも注目された音楽性の高さはもはや世界基準であり、リリースから50年という時を経た今も、その革新性はまったく色褪せていない。
「サイクリング・ブギ」の翌年にリリースされたファーストアルバム『SADISTIC MIKA BAND』の完成度の高さに驚いた英プロデューサー、クリス・トーマスが、サウンドプロデュースを申し入れ、セカンドアルバム『黒船』が完成する。クリスはビートルズの『ホワイトアルバム』でのアシスタントからキャリアをスタートさせ、ピンク・フロイド、ロキシー・ミュージック、セックス・ピストルズなどを手がける。70年代の英ロック史の本流は、まさにクリスの軌跡だと言っても過言ではないほどの名プロデューサーである。
サディステック・ミカ・バンドは、『SADISTIC MIKA BAND』『黒船』、『HOT!MENU』という3枚のスタジオアルバムを残し1976年に解散する。この3枚のアルバムは、英ロックの本流を正しく継承しながら、どこかオリエンタルな雰囲気を醸し出すオリジナリティが日本のロックの金字塔として語り継がれている。
クリス・トーマスを圧倒させたファーストアルバムの『SADISTIC MIKA BAND』、そしてバンドの絶頂期とも言える『黒船』、実験的要素とユーモアセンスを兼ね備えながらもメンバー各々の日本人離れした感性と力量が1枚のアルバムの中で静かにせめぎ合う『HOT!MENU』と、サディステック・ミカ・バンドが短い時期に残した音の軌跡は、圧倒的な音の完成度を感じると共に世界的なロックの流れを俯瞰した上でも極めて重要な位置にある。だからこそ、ダイレクトに音を体感できる『1973-1976 LP BOX 完全生産限定盤』でその全貌を体感して欲しい。
▶ Information 映画「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」 2024年5月31日より全国公開