4月1日

80’sコネクション:早見優「夏色のナンシー」は無意識過剰?

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あの早見優さんをお招きしてお届けする『80'sコネクション』の第1回イベントが、いよいよ間近に迫ってまいりました。

『第1部 Talk & Live Re:spect — まるごと早見優♡』(13時~)、『第2部 80年代イントロ十番勝負 — アイドルイントロの宴』(17時~)。11月30日(土)ロフトナイン渋谷にて開催。チケット絶賛発売中。よろしくお願いします。


さて、私は光栄なことに、2度ほど早見優さんにお会いしています。まずは昨年初頭、自分も執筆した絡みで、雑誌『平凡ブルータス』のインタビューを見学(インタビュアー:吉田豪)。次に、まだ記憶に新しい今年の夏、私がマキタスポーツ氏と出演しているテレビ番組『ザ・カセットテープ・ミュージック』(BS12トゥエルビ)のゲストとしてお招きして。

少年時代から早見優さんのファンであった身としては、「あぁ長生きはするものだ」という感慨に溢れた2度の機会でした。また、いい意味で、「ザ・芸能人」というオーラの弱い、さっぱりとした人当たりも、芸能界から縁遠く生きてきたこちらとしては、とてもありがたいものでした。

色々とお話をさせていただいた早見優さんの印象はと言えば――「無意識過剰」。

「ザ・芸能人」というオーラの弱さとも少し関係するのですが、当時の話を聞いても、激動の芸能界を渡り歩くのに必須だと思われる「私が・私が!」「絶対・絶対!」という、強烈な自意識が希薄だったような感じなのです。

一番驚いたのは、80年代後半、上智大学の学生だったときに、就職することを考えたという話。大学生といっても、同時に芸能人としての華々しい活動も続けていたにもかかわらず、芸能界への自意識が低く、執着がなかったのか、何と、一般人として就職しようと思ったらしいのです。

結局思いとどまって、芸能活動を続けるわけですが、あの早見優が大学時代に就職活動を考えていたということ自体がおかしいというか、「無意識過剰」な部分を感じるわけです。あの早見優が、リクルートスーツを着て、会社訪問したとしたら、どんな騒ぎになっていたのだろうと想像します。

また「80年代中盤以降、日本語の発声がだんだんとロックっぽくなった理由は?」など、音楽的な視点からの質問を番組内で投げかけたのですが、対する回答もわりとフワっとしていて(笑)、ここも「無意識過剰」、ある具体的な考えがあったというよりは、独自の感性で、歌い方を変えていったようです。

そんな早見優さんの代表曲と言えば『夏色のナンシー』(83年)。今回のために、あらためて、筒美京平によるコード進行を見てみたのですが、かなり凝っていることが分かりました。

歌メロ「♪ 去年とはくちびるが違ってる」のところは、
【C】→【B】→【C】→【B】→【C】→【B】→【C】→【B】
と、半音違いのコードを行き来する奇妙なコード進行です。

また「♪ 風が吹くたび気分も揺れる」のところは、
【C】→【Em / B】→【Gm6 / B♭】→【A7】
と、こちらは上品なクリシェになっています(キー C# をCに移調)。

さらにアレンジが、完全なエレクトロポップになっていて、これも当時のアイドルシーンの中では、かなりラディカルだったと言えましょう。アレンジャーは元・四人囃子の茂木由多加。ちなみに、この茂木と佐久間正英という、元・四人囃子の編曲家2人による「早見優対小泉今日子、エレクトロポップ頂上決戦」の顛末については、拙著『イントロの法則80’s~沢田研二から大滝詠一まで』(文藝春秋)をご一読ください。

加えて、三浦徳子による歌詞もかなり飛ばしていて、「♪ 恋かな(Yes!)、恋じゃない(Yes!)」って、どっちなんだよと(笑)。あと何度読んでも「あなた」と「私」と「ナンシー」の関係がよく分からない。杏里「CAT'S EYE」同様、「1983年の三浦徳子」による歌詞は、意味から自由奔放。

でも、そんな凝りに凝った曲を、自然に、あっけらかんと歌っていた早見優さんは、やはり「無意識過剰」で、今から考えたら、そんな無意識性・ナチュラル感に惹かれて、当時の私はファンになったのかもしれません。

イベント当日は、そんな早見優さんの「無意識過剰」な部分を、しっかりと解きほぐしていきたいと思います。解きほぐしても何も出てこないかもしれませんが(笑)、ご期待ください。

2019.10.19
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カタリベ
1966年生まれ
スージー鈴木
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