4月8日

洋楽ビッグヒット!THE JUGGLERがオススメする TOTO 珠玉の名曲「ロザーナ」

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TOTOのアルバム「TOTO Ⅳ~聖なる剣」がリリースされた日(ロザーナ 収録)
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アマチュアバンドにとって最高到達地点、TOTO


高校や大学の軽音部でバンドやっていた40~50歳代の人なら誰しも納得できると思いますが、TOTOを完璧にコピーすることはアマチュアバンドにとって至難の業です。

誰もが知っているビッグヒットをたくさん持っているのに演奏がスンゲェ難しい、コピー出来たら絶対学年のヒーローなれたのがTOTOなのです。

上手くなったら「◎◎高校軽音部の3年のバンドはTOTOを完コピできるらしいゼ」なんて噂が瞬く間に広がって、文化祭のライブには四畳半のスティーヴ・ルカサーとポリシックス1台で全てをなんとかするスティーヴ・ポーカロがバスに乗って市内中から集まってきたものです。

立ちはだかる壁を「ロザーナ」で解説


それでは一体TOTOの何がカバーバンドにとってマッターホルン的北壁なのか? あの「ロザーナ」を例に少し紐解いてみましょう。

①泣く子も黙るハーフタイムシャッフル

最初の壁はこれです。ハーフタイムシャッフルとは、ゴーストノートやアクセントを変えることによって細かい刻みだけど大きく感じるタイム感のシャッフルのことです。

これがドラマーにとっては鬼門中の鬼門。まぁ、相手はジェフ・ポーカロですから出来なくて当たり前なんですが、大体みんな果敢にチャレンジして本番でこんがらがってバンドに迷惑かけて死んでゆくパターンです。

これが難なく叩けるようなら、高校卒業後は東京の音楽専門学校… なんて進路も見えてきます。

ただし40年以上プロで活躍するTHE JUGGLERのドラム松本淳さんですらまだ完璧には出来てないと反省しているほどのレベルです。本人がコメントビデオで詳しく実演解説していますのでぜひご覧ください。

②近代ロックの礎となったスティーブ・ルカサーのギター

1978年に「ホールド・ザ・ライン」でレスポールのゴールトップと共に世界に現れた20歳そこそこのスティーブ・ルカサー。

彼の永遠に続くようなオーバードライブのリードトーンと何重にも輝き続けるディレイコーラスは、その後のボストンのトム・ショルツと双璧のコーポレートロックの代名詞になっていきました。

勿論スピード感あふれるフレージングも難易度は高いのですが、この『音』が出ないんですよ、高校生風情では。あの頃主流だったBOSSのエフェクターとジャズコーラスではどうにもならない。これも難所の一つです。

③スティーヴ・ポーカロの別格なキーボードの音色

もう一つの高い壁はスティーヴ・ポーカロのキーボードの音色。

デヴィッド・ペイチのピアノの方は頑張ればクラシックあがりの上手い女子なら雰囲気は出せたんですが、スティーブは別格。分厚いアナログ感も有りながらデジタルのキレの良さで勝負してます。

有名なのは『アフリカ』でも聞ける「TOTOホルン」。いつだったかデビット・フォスターに呼ばれて他のバンドのレコーディングでも惜しげもなく使ってました。

シカゴのブラスセクションのメンバーがいたにも関わらずレコーディングでは吹かせてもらえず、この音が支配してましたから。

TOTOがスタジオミュージシャンの集まりだったので、ここで作られたフォーマットが80年代のヒットチャートを席巻したのです。

この音を出したいがために、ローランドやコルグの40万とか60万とかの大型シンセを清水の舞台から飛び降りるつもりでローンを組んで帰らぬ人となった若者を沢山知っております。

④声は最高だったボビー・キンボール

最後に忘れてはならないTOTOの壁は、リードシンガーが固定されていない点であります。

“ヴォーカル専門” のボビー・キンボールがいるにも関わらず、1曲をパート分けしてスティーブ・ルカサーもデヴィッド・ペイチも歌う。これはバンドとしての既成概念を壊すものでした。

つまり歌える奴が何人かいないとうまいことコピーできないわけです。これがアマチュアにはきつい。カラオケのうまい無線部の奴と声の出る野球部の奴をスカウトしてもまだ足らないわけです。

とにかくメロディーが高くなったらボビー・キンボールが歌うというクリスタルキング作戦が功を奏し、「ロザーナ」はアマチュアには手の届きそうもない『マッターホルン』となったのでした。

声は最高だったのでこの人の顔(ボルチモアのターゲットの店員みたいなんです)がスティーブ・ペリーくらいだったらセールスにも苦労しなかったと思います。

最高のサウンド、対して歌詞は…?


いかがでしたか? 「立ちはだかるTOTOの壁」。最後に、これだけサウンド面では最高なのに、歌詞は「逃げられて悲しい」と女性の名前を連呼するだけの女々しい内容です。哲学的な深みは何も有りません。そこであまりのギャップに悩むと北壁を滑落する恐れもあります。

さて、カバーバンド泣かせの「ロザーナ」。果たして我がTHE JUGGLERはどこまで再現できているでしょうか?

VoのKAIKI君のKeyが合わなかったため、この曲だけのつもりでコーラスにカワイケンを呼んだら寄生され、現在のラインナップになってしまったという曰く付きの楽曲でもあります。

ぜひライブで成果の程をお確かめください。

THE JUGGLER渋谷有希子が語る「ロザーナ」のプレイメモ


“小気味良いリズム” とはまさにこの曲のためにあるようなものだと思っています。オトナの余裕を感じさせる雰囲気。

譜面が存在したとして譜面通りに演奏できたとして、これはなかなか出せないのですよ。

THE JUGGLERで演奏する時は特にこの “オトナの余裕” を醸し出せれば良いなと思いながら演奏しています。

よくTOTOの「ロザーナ」はコピーするには難しいと言われ、私も同様のコメントを何度も耳にしてきましたが、ベースとなるとそうでもないと思うのですよ。

音符の長さはもちろん基本的に完コピするとして、他の楽器よりはるかにラクだと思うのです。ベースが間違えると全体が崩壊するということに対する精神的プレッシャーは別ですよ(笑)。

難しいポイントとしては多分サビの部分の3連符のニュアンスや弾き方かな、と。なぜかサビだけスラップで連打するという(と思っているのですが、違っていたらスミマセン…)。他の部分は指弾きなのに。不思議。

しかし、だからこそドラムとのコンビネーションであの小気味良いリズムが生まれるので押さえておきたいポイントだと思います。その点、他の楽器の人たちは抑えるべきポイントが多すぎて大変だなぁ、と、すっかり他人事として見ております(笑)。

バンド全体での難しいポイントは、“あのコーラスの透明感を出すにはどうすればいいんだろう?” というところでしょうか。

そもそもボーカルの透明感たるや凄いものですが、KAIKIくんの声質がとても近いので、コーラスもより一層近づけたいところです。

歌が自然に歌えて楽器が自然と弾けてこそ成立する曲なので、オトナの余裕を醸し出すのは至難の業なのであります…。

余談としましては、昔この曲の音だけを先に聴いていて、ミュージックビデオを後から観て、ボーカルの人を初めて見た時、思い描いていた人物像とかけ離れていてとてもショックでした… ということを思い出す曲でもあります…。


Song Data
■ Rosanna / TOTO
■ 作詞・作曲:David Paich
■ 発売:1982年4月8日(TOTO Ⅳ)


★THE JUGGLER LIVE情報
2022年4月8日(金)
『THE JUGGLER 対バンLIVE Vol.1』
@二子玉川 GEMINI Theater

2022年5月15日(日)
Re:minderとコラボイベント決定!!

詳細はTwitterをご覧ください

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2022.04.08
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