4月1日

ロザーナ、ジェフ・ポーカロの “おしゃれ” なハーフタイム・シャッフル

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photo:The 80s Rocks  

突然ですが、問題です。

米国のバンドで初めてグラミー賞の最優秀レコード賞(Record of the Year)を受賞したのはイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」、次がドゥービー・ブラザーズ「ある愚か者の場合(What A Fool Believes)」ですが、3組目は誰の何という曲でしょう?

正解は TOTO の「ロザーナ」。

この3組が全て西海岸のバンドというのはただの偶然かもしれないが、他にも不思議な共通点がある。どのバンドもリードボーカル然とした人がいないのだ。

「ホテル・カリフォルニア」はドン・ヘンリー(ドラム)が歌っているし「ホワット・ア・フール・ビリーヴス」はマイケル・マクドナルド(キーボード)がボーカルをやっている。TOTO には役割としてのリードボーカルはいるが、他メンバーに見下されているのは明らかで、存在感もない。一般に、米国ではバンドの中でボーカリストの地位が最も高い(ボーカリストしか注目されない)と言われている。

例えばレッド・ツェッペリンは、本国ではジミー・ペイジ(ギター)のバンドとして認識されていたのに、米国進出後はロバート・プラント(ボーカル)のバンドになってしまった。真偽はともかく、少なくともメディアでの露出はそんな感じだった。だからこそ、この3つの西海岸のバンドは、独特の存在感を醸し出していたようにも思う。

ということで、その「ロザーナ」だが、正直なところ当時も今も歌や詩にこれといったものは感じない。なのにこれだけ印象に残っているというのは、やはり彼らの演奏が優れているからだろう。

特に、この曲の魅力の殆ど全てが、歌が入る前に既に表現されていると思う。とにかくジェフ・ポーカロのドラムが “おしゃれ” なのだ。

このリズムパターンはハーフタイム・シャッフル(Half-Time Shuffle)と呼ばれ、TOTO の代名詞とも言えるものだ。叩いている本人は、スティーリー・ダンの「安らぎの家(Home at Last)」「バビロン・シスターズ」でのバーナード・パーディのプレイと、レッド・ツェッペリン「フール・イン・ザ・レイン」でのジョン・ボーナムのプレイを元にアレンジしたと後に告白している。

便利になったもので、今では彼がそう語っているのを YouTube で観ることができる(恐らくは教則ビデオからの抜粋)。そのジェフ・ポーカロも92年に38歳の若さで死んでしまった。今、改めて彼が演奏している映像を観ると、本当に惜しい人を亡くしたと思う。合掌。


Song Data
■Rosanna / TOTO
■作詞・作曲:David Paich
■プロデュース:TOTO
■発売:1982年4月1日


Billboard Chart
■Hotel California / Eagles(1977年5月7日1位)
■What A Fool Believes / The Doobie Brothers(1979年4月14日1位)
■Rosanna / TOTO(1982年7月3日2位)


※2016年8月15日に掲載された記事をアップデート

2019.04.01
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  YouTube / TotoVEVO


  YouTube / Sam Johnson
 

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1965年生まれ
中川 肇
ついでにRosannaのライブ動画もご覧下さい↓

(1) 1991年のライブ。『Live At Montreux 1991』に収録。92年に他界したJeff Porcaroの姿が見られる最後のライブ
https://youtu.be/S0QDB9FtnUM
(2) 2003年のライブ。『Live in Amsterdam (25th Anniversary)』に収録。15年に他界したMike Porcaroの姿が見られる最後のライブ。ドラマーがSimon Phillipsに代わったので違う曲に聴こえる
https://youtu.be/MbhE72l-rBY
(3) 2007年のライブ。『Falling in Between Live』に収録。キーボードがGreg PhillinganesでベースがLeland Sklar。この時のアレンジが最も凝っているのでは?
https://youtu.be/I6apwAZHzkw
(4) 2013年のライブ。『35th Anniversary: Live in Poland』に収録
https://youtu.be/lu2oo5cqasg
(5) 2018年のライブ。リリースされたばかりの『40 Tours Around The Sun』に収録
https://youtu.be/S-CXfoveDFw
2019/04/01 10:07
1
返信
1965年生まれ
ルパン四世
おっしゃる通りですね。技量じゃないんですよね。

サイモン・フィリップスは、どのパッケージに入っても、
その技量からなんでもそつなくこなす精密機械って感じで、うまいんだけど彼は消えちゃう感じ。
ドラマーうまいなぁ~、誰だろう、なんだサイモン・フィリップスか、そりゃうまいわ、って。

ポーカロは、ちゃんとポーカロがいるって感じ。うまく言えないけど・・・

ちなみに僕の奥さんは和太鼓をやっているのですが、
サイモン・フィリップスのように太鼓を叩きます(笑)
2016/08/21 00:34
2
返信
1965年生まれ
中川 肇
Jeff Porcaroは本当にセンスのあるドラマーでしたね。TOTOで後任のSimon Phillipsの方がテクニカルな面では上という意見が多いですが、音楽ってそういうものじゃないですしね。
2016/08/17 10:15
1
返信
1965年生まれ
ルパン四世
ジェフ・ポーカロは大好きなドラマーだったので、亡くなった時はかなりショックだったなぁ〜。
MTVで散々観たけど、ロザーナは飽きなかった。アフリカは飽きてしまった。

演奏は優れてましたよね、さすが全員がスタジオミュージシャン。
2016/08/15 09:27
1
返信
カタリベ
1965年生まれ
中川肇
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