5月21日

強者どもの憂さ晴らし!? ベイクド・ポテト・スーパー・ライヴ!

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グレッグ・マティソン・プロジェクトのアルバム「Baked Potato Super Live!」がリリースされた日
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photo:Discogs  

僕が人生で最も音楽を聴き漁ったのは、高校時代だ。そして、その頃に聴いたレコードの中でも、僕はこのアルバムに出会った時の衝撃を忘れることができない。演奏がまさに “炸裂” していたからだ。

そのアルバムとは、グレッグ・マティソン・プロジェクトの『ベイクド・ポテト・スーパー・ライヴ!』である… と言っても、皆さんの多くは「???」に違いない。だが、参加メンバーの名前を聞けば「あぁ~」となること間違いないと思う。

■グレッグ・マティソン(キーボード)
■スティーヴ・ルカサー(ギター)
■ジェフ・ポーカロ(ドラム)
■ロバート・ポップウェル(ベース)

そう、ルカサーとポーカロの2人は、ご存知TOTOのメンバーである。そして、グレッグ・マティソンはラリー・カールトンのアルバムやツアーで知られており、ロバート・ポップウェルはクルセイダーズでのファンキーなプレイが有名だ。要するに、当時のLAの最高水準のミュージシャンが、このプロジェクトのために集められたという訳だ。

この演奏は1981年12月13日~15日にLAのジャズクラブの老舗『The Baked Potato』で収録され、アルバムは82年に日本のみでリリースされた(発売元はCBSソニー)。

その後すぐに廃盤になったが、99年に日本のクール・サウンドがCD化、2011年にはクール・サウンドとタワーレコードのコラボレーションによって復刻版が発売された。

つまり、このアルバムは世界的なミュージシャンの演奏でありながら、日本のコアな音楽ファンの間だけで借り継がれてきた “知る人ぞ知る” 名盤なのだ。

曲は全てインストゥルメンタルで、全体的に明るく乾いた、いかにも西海岸なサウンドだ。演奏は相当テクニカルなので、楽器をやっている人でないと楽しめないかもしれない。ちなみに、信じられないことに、オーバーダビングなしの生一発録りだそうだ。

当時、ルカサーとポーカロはまだ20代だったが、セッションミュージシャンとしてありとあらゆる楽曲のレコーディングに駆り出され、まさに東奔西走していた。そんな彼らが、日頃のお仕事セッションのストレスから解放されたかのように “炸裂” しているのが、このアルバム最大の聴き所だと思う。

ところで、僕が94年に初めてLAの地に降り立った際、現地在住の友人(たまにこのコラムに登場する高校時代の同級生女子)に頼んで、『The Baked Potato』に連れて行ってもらった。

初めて訪れた伝説のクラブは、正直、ただの小屋にしか見えなかった。それに、とても客を迎える気があると思えない「一見さんお断り」的な佇まいだったし、中に入っても客席はガラガラ、おそらく地元でも無名であろうクロスオーバー系のバンドが出演していた。

だが、その演奏を聴いてビックリ。東京ではまずお目にかかれない位、クオリティが高かったのだ。特にドラマーが凄くて、まるでスティーヴ・ガッドが叩いているんじゃないかと思う程。こういう所だからこそTOTOのようなバンドが出てくるんだ、そう思い知らされた一夜であった。

2017.07.21
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1965年生まれ
飛影
高校時代に愛読してたP誌のレコード評で絶賛されてたのに躊躇してたら廃盤になってて中古レコード屋を徘徊しながら激しく後悔した学生時代を思い出す。
日本でしかリリースされていなかったなんて知らなかったけど、あの「TOTOⅣ」と同じ時期に発売されて、ここまで生き延びるとは、この国の音楽ファンも捨てたもんじゃないかも笑。
2017/07/22 14:53
5
返信
1965年生まれ
中川 肇
今思えばTOTOが世界的なバンドになったのは「IV」以降で、「Turn Back」までは日本の方が人気があったのかも
2017/07/22 15:40
1
1965年生まれ
中川 肇
そう言う意味でもう1枚オススメなのが、81年にリリースされたChar(竹中尚人)の「U.S.J」。これはCharのアルバムでありながらSteve Lukatherのプロデュースで、Jeff Porcaro、Neil Stubenhaus、David Foster、Jay Graydonらが参加してるんだけど、結構やりたい放題だよ :D
2017/07/22 15:41
1
1965年生まれ
Ashtan
時々ネタになる「高校時代の同級生」です。
Baked Potato、懐かしい!
当時、Baked Potatoにはちょくちょく足を運んでいて、特に日本から多少なりとも音楽に興味を持つ客人が訪れた時には必ずお連れしていたため(必ずや、客人に満足して頂けるので)、中川氏と訪れた日の演奏について特に印象に残っているわけではありませんが、その日のウエイトレスのおねえさんがまるでカツラかと思うような透き通るようなムラのない金髪で、中川氏が感心していたことはよく覚えてます・・・
2017/07/21 15:36
3
返信
1965年生まれ
中川 肇
その節はお世話になりました! ウエイトレスのおネエさんのことは全く記憶にないけど、Baked Potatoに行ったことは良い思い出。また行きたい。と言うか、日常的にあのクオリティのライブを観られる生活がしたい :)
2017/07/21 19:20
1
カタリベ
1965年生まれ
中川肇
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