2018年、今年デビュー40周年になる TOTO の代表作『TOTO IV~聖なる剣』は、僕が生まれて初めて自分のお小遣いで買ったアルバムです。時は中学3年に進級したばかりの1982年4月、この作品がリリースされて間もなくの頃でした。 冒頭の文中、初めて買ったのが「レコード」ではなく「アルバム」としたのには理由があります。本作はいわゆる「ミュージックテープ」と呼ばれていた、楽曲が録音されているカセットテープで買ったからです。 なぜレコードではなかったかといえば、当時は家にレコードプレーヤーがありませんでした。小学6年生で洋楽に目覚め、中学に入ってからダブルカセットのラジカセも得ていよいよ洋楽を集めるとなると、お小遣いのすべてをFM雑誌とノーマルのカセットテープに注ぎ込んでエアチェックする方がレコードを買うより効率的だったわけです。なので、プレーヤーもレコードも「まだいいや」という気持ちでした。 しかし、その頃の僕の中で存在が大きくなっていた TOTO の新作ともなると、さすがにエアチェックしたテープだけでは満足できないと思ったのです。 当時の音楽親友だった澤井くんと地元(南林間)の駅前のレコード店に行き、彼から背中を押されて『TOTO IV』のミュージックテープを買いました。アルバムを買うのは人生の一大事だったのです。初めて買った高揚感からなのか、チャリに乗って彼とハイテンションで話し合いながら家路を急いだ光景が今でも鮮やかに蘇ります。 例によって想い出を語る前段が長くなってしまいました。肝心の作品の話に移りたいと思います。しかし、音楽史の金字塔にタイトルを刻む本作についてはこれまで多くの書籍やサイトに様々なネタが掲載されていますので、そうしたことをここでまとめるようなことはやめておきます。 このアルバムで一番人気のある曲は間違いなく「アフリカ」か「ロザーナ」でしょう。それに「ホールド・ユー・バック(I Won't Hold You Back)」が続くと思います。僕もそうしたシングルヒット曲はもちろんのこと、収録曲のすべてが好きです。でも一番好きな曲はと問われれば迷わず「イッツ・ア・フィーリング」と答えます。 キーボードのスティーヴ・ポーカロの作詞・作曲、そしてリードヴォーカルも彼が担当するレアナンバーです。スティーヴらしい陰影のある曲調と少しハスキーな彼の歌声が醸し出す雰囲気は、他の収録曲とは一線を画す魅力を感じます。この曲を書いた当時、スティーヴは離婚した直後で鬱屈していたということも、こうした作風になる要素として働いたのかもしれません。 前回の来日公演ではこの曲がまさかのセットリスト入りということで、当時の回想と相まって目頭が熱くなりました。 この記念すべきアルバム『TOTO IV』のテープは来る日も来る日も繰り返し聴き続けました。もちろん、人生で一番聴いたアルバムであることは間違いありません。今でも4月になると僕の再生機器では本作がヘビロテになります。 話は戻りますが、このアルバムを買った時に一緒にいてくれた澤井くんは、先月永遠の旅に出てしまいました。人生デビューしてまだ50周年という年に… そういう意味でもこのアルバムは僕の中でさらに特別な一枚となりました。
2018.04.08
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YouTube / georgy porgy
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