上手いんだか下手なんだかわからない、特徴的でどこか冷めた雰囲気のトレイシー・ソーンのヴォーカルが病みつきになります。気が付けばアルバム「Love Not Money」を手に入れ、その後もリリースの度に購入することに。熱狂的とは言わないんですが、やっぱり好きなんですね、買ってしまう。そのどこか冷めた表情のヴォーカルがクールな印象となって夏に聴くとちょうどいい清涼感を醸し出します。フォーク、ジャズ、ボッサなどの要素を独特のエッセンスで表現するセンスにも魅かれます。
ただ代表的なヒット曲は? と言われると困ってしまう、アルバムオリエンテッドで地味な存在。ま、そんなところも魅力のひとつですかね。90年代以降はクラブ/ハウスのサウンドに一変するし、それぞれのアルバムもそれぞれ違う顔を持っている。その中でも私が好きなのは最初に出会ったセカンド「Love Not Money」。全体的にはやや暗い印象ですが、いい意味でのインディー臭やネオアコ、フォーク感に満ちています。リイシュー盤にはシングルのB面だったプリテンダーズ「Kid」の名カヴァーも。