6月18日

僕にとっての耳の虫、フリートウッド・マックの「ホールド・ミー」

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photo:FANART.TV  

「イヤーワーム(耳の虫)」という現象をご存じだろうか。そう、頭(心)の中で特定の曲が繰り返される、俗にいう “音楽が頭にこびりついて離れない” という現象のことだ。

このイヤーワームという言葉は、神経科学や心理学の分野での言葉で、一般的には不快感を訴える人が多い現象で、その不快感を解消するために研究されているとのこと。寝ようと思って布団に入っても、頭の中で音楽が鳴っていて眠れなくて困った、という経験をかなりの人がしていると思うけど、僕はこのイヤーワームという現象が嫌いではない。むしろ大歓迎で、どんな曲が流れてくるだろうかと楽しんでいるくらいだ。

フリートウッド・マックの「ホールド・ミー」は1982年に発売されたアルバム『ミラージュ』に収録され、初めにシングルカットされた曲だ。この曲は僕にとって非常に印象に残っている曲で、出会ってから33年、僕のイヤーワーム登場回数No.1の曲と言ってもいいと思う(多分だけど)。何故、この曲がイヤーワーム登場回数No.1なのか。ちょっと自分なりに考えてみた。

まずは、もちろん曲そのものが美しく大好きであること。クリスティン・マクヴィーとリンジー・バッキンガムのツインヴォーカルが魅力的で、ピアノが印象的なこの情熱的なラブソングを初めて聴いた時、僕は一瞬で虜になってしまった。一度聞いただけで忘れない、初めて聴いたのに初めて聴いた気がしない、という僕が名曲と認める定義にピッタリ嵌っている。初めて聴いた(観た)のはMTV、発売から2年後の1984年だ。誰の曲だろうとクレジットを見たらフリートウッド・マックの曲だと知って、かなりビックリしたのを覚えている。なぜビックリしたかを説明するには、僕とフリートウッド・マックとの出会いに遡る必要がある。

僕がフリートウッド・マックの存在を知ったのは高校1年生の時。ハードロックに出会い、ディープ・パープルに嵌り、いろいろ調べたりしている時のこと。僕が最も尊敬するピアニストでありキーボード奏者であるジョン・ロードが、ステージ上で操るハモンドオルガンは、フリートウッド・マックのジョン・マクヴィーから譲り受けたものだと知った時だ。

すぐにフリートウッド・マックについて調べ始めた。あのジョン・ロードにオルガンを譲るくらいだからきっと凄いグループに違いないと。確かに凄いグループだった。フリートウッド・マックの事を語るにはとてもスペースが足らないので割愛するけど、結局僕はフリートウッド・マックには嵌ることができなかったんだ。1977年に発売され、現在までに全世界で5,000万枚近いセールスを誇る伝説のアルバム『噂』も何回も聴いたけど嵌らなかった。自分から嵌りたいと思い、結果嵌れなかった(好きになれなかった)ビックネームのグループは、フリートウッド・マックとレッド・ツェッペリンくらいかもしれない。

ホールド・ミーは、フリートウッド・マックの80年代最初の曲。60年代から70年代の彼らに嵌ることは出来なかったけど、80年代の彼らに嵌ることが出来たといううれしさ。この曲が未だに印象に残っている最大の理由は、このうれしさからかもしれない。

この曲のPVもこの曲が印象に残っている理由のひとつだ。フリートウッド・マックが自身の演奏シーン以外で初めて作ったPVとなっている。そうか、MTVの時代、ベテランのフリートウッド・マックもこうきたかと、ちょっと寂しく思ったことを覚えている。MTVの出現は、彼らのようなベテランバンドにも商業性を求めることになる。僕はこの曲で、ハッキリと音楽業界が新しい時代に入ったと確信したんだ。

大好きだった70年代に別れを告げるきっかけになり、80年代という新しい時代に突入したことを僕に認識させた「ホルドー・ミー」。今夜もイヤーワームに登場するだろうか。僕はいつでも大歓迎です。

2017.02.22
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  YouTube / StevieNicks
 

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カタリベ
1965年生まれ
藤澤一雅
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