2022年 5月25日

増田惠子ソロ40周年の新曲、上田知華が作曲した「Et j’aime la vie ~ 今が好き」

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増田惠子のシングル「Et j'aime la vie(エ・ジェム・ラ・ヴィ)~今が好き」がリリースされた日
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大きかった“ピンク・レディー”という存在


昭和42年生まれの自分にとって、ピンク・レディーという二人組は人生で最初に衝撃を受けた存在でした。キャンディーズや山口百恵は、少し上の世代の人が夢中になっていたスターだったので、自分にとってのリアルタイムの大スターはピンク・レディーだったのです。お金持ちのクラスメートは、新曲の振り付けを覚えるため当時まだ発売されたばかりのビデオデッキを買ってもらっていて、庶民の家庭に生まれ育った自分にとってはただただ羨ましい限りでした(笑)。

アイドルの振り付けを覚えるという理由で、当時30万円以上した機械が売れていたわけですから、ピンク・レディーという存在は社会現象以外の何ものでもなかったのです。何といっても当時は家庭のゴミ箱までがピンク・レディーだったわけですから、まさに “ピンク・タイフーン” が日本列島を駆け抜けていったような印象でした 。

ソロシングル「すずめ」で気付いたケイの魅力


ピンク・レディーの全盛期、自分は断然、健康的なイメージのミイ派でした。クラスメートの間では、何故かミイ派とケイ派にわかれていて、ちょっぴり陰のある雰囲気をまとっていたケイは、女子から支持されていたような記憶があります。そんな大スター、ピンク・レディーもアメリカ進出を果たした時期には、子供たちの手から徐々に離れてしまったのをリアルに憶えています。

そして、1981年3月31日、みぞれ交じりの冷たい雨の降る後楽園球場で解散コンサートを行い、お互いにソロ活動を開始していくのでした。解散時期に発売されたLP BOX(通称:銀箱)が欲しくて、お小遣いを貯めたのですが、当時の自分には¥6,000という価格は到底手が出ない高価な品でした。

そんなミイ派だった自分が、ケイの魅力に気付いたのは、解散した年の年末に発売された増田けい子名義のソロシングル「すずめ」(作詞・作曲:中島みゆき)の存在でした。中島みゆきの大ファンだった自分にとっては、ケイと中島みゆきという意外な組み合わせに衝撃を受けましたが、ケイのハスキーボイスは中島みゆきの描く世界にぴったりとはまり、オリコンのTOP10入りを果たすという快挙を成し遂げたのでした。

松任谷由実、竹内まりや、大貫妙子との相性も抜群の声質


ケイの声質は女性シンガーソングライターと相性が良く、セカンドシングル「ためらい」は松任谷由実のカヴァー曲、サードシングルの「らせん階段」は竹内まりやの書下ろし曲でした。この2曲を収録したセカンドアルバム『恋するお友達』はユーミン、竹内まりやの作品の他に大貫妙子の「恋人達の明日」のカヴァーや、書下ろし曲「雨ふり」も収録されています。どの曲もヨーロッパっぽい雰囲気を持つ楽曲なのですが、ケイの持つアンニュイな雰囲気は当時からヨーロッパ路線だったのかもしれません。

ヨーロッパ路線といえば、1989年にケイはフランス語と英語によるアルバム『Voice Cologne』をリリースしています。収録曲の「哀色の印象-AVEC LE FEU-」「Simples Confidences」はフランス限定で発売されたシングルですが、当時パリでコンサートも開催されました。コンサートが開催されるまでのケイを密着取材をした番組が、当時テレビで放送されていたのですが、フランス語の発音に挑戦するケイの姿に胸を熱くした僕は、すぐにCDを買いに走りました。

ソロデビュー40周年!先行シングル「Del Sole」に感じる増田惠子


さて現在、増田惠子名義で精力的に活動をしているケイさんですが、ソロデビューから早いもので40周年を迎えました。改めてデビュー40周年おめでとうございます。

7月27日にはデビュー40周年記念アルバム『そして、ここから…[40th Anniversary Platinum Album]』をリリースします。先行シングルとして配信された「Del Sole(デル・ソーレ)」は軽快なラテン系アレンジで、ケイさん自身がとても楽しそうに歌う姿が目に浮かんでくる曲です。

タイトル通りヨーロッパ路線を踏襲する1曲で、7月に発売されるスペシャル・アルバムには『Del Sole』を含む5曲の新曲が収録されます。この新曲のレコーディングに密着したドキュメンタリー番組が、先日テレビで放送されていましたが、スタジオに入る時には常に明るい雰囲気を崩さず和やかに始まったレコーディングも、歌入れの段階には決して妥協を許さなケイさんの姿が映し出されていました。それはまさにプロの顔でした。

作曲は上田知華、先行配信「Et j'aime la vie ~今が好き」


そして今回ご紹介するのが、5月25日に先行配信される楽曲「Et j'aime la vie(エ・ジェム・ラ・ヴィ)~今が好き」です。4ビートのスタンダードジャズ風アレンジが特徴のこの曲ですが、先日、昨年ご病気により亡くなられたことが公表された上田知華さんによる遺作になります。

2013年から、上田知華さんと一緒にお仕事をさせていただいていた自分は、当然ながらこの楽曲の制作にも関わっていました。この楽曲の制作はコロナ禍前から始まっていたのですが、コロナの影響で知華さんと直接会うこともままならず、完成された楽曲を聴いていただく前に天国へと旅立たれました。

この「Et j'aime la vie ~今が好き」は2019年12月に行われたケイさんの大手町コンサートでも歌われ、昨年の配信ライブでも歌われた曲ですが、もしコロナがなければ知華さんもケイさんのレコーディングに参加されていたはずなので、とても残念でなりません。さらに今回、このアルバムに参加されている森丘ヒロキさんは、上田知華さんのコンサートで毎回ピアノを担当していたピアニストなので、偶然とはいえ運命のようなものを感じずにはいられません。

ケイさんもご自身のブログで、この曲を大切に歌っていくことを表明されていましたので、是非この曲を一人でも多くの方に聴いていただければと思っています。

最後に、改めてこの場を借りて上田知華さんのご冥福をお祈り申し上げます。

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2022.05.26
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カタリベ
1967年生まれ
長井英治
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