4月12日

ジョン・クーガー「ジャック&ダイアン」懐メロになんてならない魂の歌

33
0
 
 この日何の日? 
ジョン・クーガーのアルバム「アメリカン・フール」がリリースされた日(ジャック&ダイアン収録)
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1982年のコラム 
洋楽ビッグヒット!THE JUGGLERがオススメする TOTO 珠玉の名曲「ロザーナ」

先輩からの愛のムチ?ゴーゴーズのトップを阻んだジョーン・ジェット

糸井重里の「YOU」教授の奏でるピアノソロと誰かの声に耳を傾けた夜

ありふれたアメリカを映し出すロックサウンド、それがジョン・クーガー

ヴァン・ヘイレン流儀のキャッチーなハードロック「ダイヴァー・ダウン」

黄金の6年間:サザンの「チャコの海岸物語」は桑田佳祐の確信犯的照れ隠し?

もっとみる≫




アメリカへの憧憬を抱かせてくれた名曲「ジャック&ダイアン」


ジャック&ダイアン、この曲を初めて聴いてからかなりの月日が経つが、未だに聴き続けている理由は一体なんだろう。アメリカ中西部の田舎町に暮らす “ジャックとダイアンの物語” は、30年以上も前の高校生だった僕にアメリカへの憧憬を抱かせ、知名の今となっても感情のひだを揺さぶり続けている。

曲の冒頭から飛び出てくるのはこんなワードだ。アメリカンキッズ、グローイングアップ、ハートランド、フットボールスター、バックシート、チリドッグ、テイスティフリーズ、ボビーブルックス。今となっては何てことないありふれた言葉だが、当時は実に新鮮な響きだった。アメフトやチリドッグは僕の周りに無かったし、テイスティフリーズやボビーブルックスなんて何のことか全く分からなかった(ファストフードのチェーン店と服のブランドであることが後に判明)。

アメリカの田舎町に暮らすティーネイジャーの情景


ともあれ、彼の歌に出てくる英単語を丁寧に紡ぎ合わせていくと “いかにも” といったアメリカの田舎町に暮らすティーネイジャーの情景が目に浮かんでくる。80年代初頭はアメリカに対する憧れがとても強い時代ではあったが、キラキラと輝くウエストコーストやアーバンなニューヨークよりも、僕にはこんな朴訥としたアメリカがとても魅力的に映った(実際の環境は恐ろしく保守的な土地柄なんだろうが)。

そんな古びた田舎町を捨て都会への逃避行を企てるジャックとダイアン。ただ、実行したかどうかを歌詞から読み取ることはできない。ジョン・クーガーにとって、ビッグシティに飛び出そうがスモールタウンに留まろうが、そんなことは大きな問題ではなかったのだろう。いずれを選ぼうとも、生きていく限り大人にならなくてはならないし、子供のままでいることは不可能なのだ。その上で “ジャックとダイアンの物語” はこう歌われる。

Life goes on… 必死にもがきながらベストを尽くす人間の物語


 Oh yeah, Life goes on
 (人生は続いていく)
 Long after the thrill of livin is gone
 (スリルが去った後もずっと)
 They walk on
 (歩き続けよう)

永遠と瞬間、若さと老成、退屈と興奮、疾走と停滞、ネガティブとポジティブ。そんなアンビバレントな気持ちを行ったり来たりさせながら、ギリギリのところで折り合いをつけて懸命に生きるジャックとダイアン。でも、そんな感情はティーネイジャーだけのものではない。必死にもがきながらもベストを尽くす人間の物語は、いつの時代もサヴァイヴできる力を持っている。リリースから何十年経とうが、時間という荒波を越え、決して懐メロなんかにはならずに生き残るのである。


豆知識:
ジョン・クーガーはデヴィッド・ボウイのマネジャーであったトニー・デフリーズに見出されました。そんな縁もあって、この曲のギターには「ジギー・スターダスト」などでも名プレイを披露したミック・ロンソンが参加しています。



※2016年6月21日に掲載された記事をアップデート

2020.04.12
33
  YouTube / JohnMellencampVEVO


  YouTube / 1980'sRare&Unreleased
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1966年生まれ
太田秀樹
コラムリスト≫
12
2
0
2
0
マーク・アーモンドは人たらし?ビルボード東京でのライブ観戦記
カタリベ / ユリンベ
20
1
9
8
1
アメリカンロックのアウトロー、トム・ペティは「なんかいい」のだ
カタリベ / 宮井 章裕
8
1
9
8
0
共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.8
カタリベ / KARL南澤
17
1
9
8
9
ヴァン・モリソン、いまだ来日公演のない最後の大物アーティスト
カタリベ / DR.ENO
19
1
9
8
6
アメリカ音楽への敬意と誇り、歌うはジョン・クーガー・メレンキャンプ
カタリベ / KARL南澤
24
1
9
8
4
みんなの洋楽ナイト — アラウンド50、貴方の夏は今も燃えているかい?
カタリベ / inassey