「妖艶」という表現がぴったりな女性ロックミュージシャン。私も結構はまってしまったスティーヴィー・ニックス。 「永遠の妖精」、「恋多き女性」といった表現もされ、ミック・フリートウッド、リンジー・バッキンガム、ドン・ヘンリー、JDサウザーなどと浮名を流しました。 少女のような可憐さも併せ持つ美貌の陰に潜むどこか小悪魔的な雰囲気。そんなルックスからはイメージがつかない、鼻にかかったしゃがれた声。惹きつけてやまない素晴らしいソングライティングセンス。ギャップどころではない、こちらの想像を超えた才能の持ち主に度胆を抜かれたわけです。 スティーヴィーはリンジーと共に加入したフリートウッド・マックでの成功で世に認められるわけですが、私が彼女にのめり込むきっかけになったのは、ソロ活動。まだフリートウッド・マックの存在を知らない、洋楽を聴き始めたころに出会ったスティーヴィーのソロ『麗しのベラ・ドンナ(Bella Donna)』(81年)でした。 このアルバムからは4枚シングルカットされ、うち2枚はトップ10入りしました。その2枚とは、トム・ぺティのアクのあるヴォーカルをいい意味で打ち負かすほどの迫力をみせた「嘆きの天使(Stop Draggin’ My Heart Around)」と、ドン・ヘンリーとの息もぴったりなバラード「レザー・アンド・レース」のデュエット。 フリートウッド・マックでのリンジーとの掛け合いであったり、全米1位を獲得したケニー・ロギンスとの「二人の誓い(Whenever I Call You “Friend”)」(78年)などもそうですが、スティーヴィーの武器の引き出しのひとつは「男性ミュージシャンとの絡み」と言えるでしょう。 勝手な想像ですが、普段意気揚々と歌っている男性ミュージシャンがスティーヴィーとの絡みの時にはいつもと違う雰囲気がするんですよね。 「なんだかソワソワしちゃうな。いかん、このままだとスティーヴィーのペースだ。頑張らねば!」みたいな(笑)。 そんな妄想はさておいて『麗しのベラ・ドンナ』には他にも特筆すべき楽曲があります。3枚目のシングルで全米11位を記録、後に映画『スクール・オブ・ロック』にも使用された「エッジ・オブ・セヴンティーン」。リンダ・ロンシュタットやキース・リチャーズのソロでも活躍したギタリスト、ワディ・ワクテル(彼が結成していたバンド、ローニン。誰か知らないかな?)によるイントロがまず強力。ドラマチックに盛り上がるライヴでもハイライトとなる彼女の代表曲です。 ちなみにこの名イントロは2001年にデスティニーズ・チャイルドの「ブーティリシャス」(全米1位)のイントロにもサンプリング使用されました。この曲のミュージックビデオにはギターを持ったスティーヴィーがカメオ出演してます。 こういったシングルだけでも素晴らしいのですが、アルバムの他の楽曲も聴きどころいっぱい。叙情的な「カインド・オブ・ウーマン」、「ハウ・スティル・マイ・ラヴ」、シングルとは別にドン・ヘンリーが絡み、さらにはドン・フェルダーも参加している、どこかイーグルスなラスト曲「ザ・ハイウェイマン」等々。フリートウッド・マックとは別次元での名盤ですね。 その後のソロ作品やフリートウッド・マックでの作品など彼女については語りたいことがいっぱいありますので別の機会がありましたら是非!
2018.03.09
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