7月11日

1位は聖子?それともひろ子? 80年代「夏休みアイドル映画」ベストテン

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今年1月に書かせていただきました『おすすめランキング! 80年代「お正月アイドル映画」ベストテン』。今回は80年代の夏休みアイドル映画編です。“おすすめ” と言っていますが、トップ3未満は映画の完成度はともかく、アイドル映画としてのクセの強さで選んでみました。


第10位:刑事物語3 潮騒の詩


1984年7月7日劇場公開 配給:東宝
正月映画編でも『ゴジラ』が第10位にランクインした東宝シンデレラ・沢口靖子のデビュー作。武田鉄矢の人気シリーズ『刑事物語』第3弾で、長崎県五島列島を舞台に、事務所先輩星由里子の娘役をさわやかに演じます。

本人歌唱のテーマソング「潮騒の詩」(作詞:武田鉄矢 / 作曲:吉田拓郎 / 編曲:萩田光雄)は劇中流れる程度。主題歌はおなじみの吉田拓郎「唇をかみしめて」。

同時上映、松田聖子主演『夏服のイヴ』に関しましては、以前書かせていただきましたコラム『松田聖子の映画主題歌「夏服のイヴ」松本隆が描いた歌詞はアダムとイヴの世界』をご覧ください。

第9位:ラッコ物語


1987年7月25日劇場公開 配給:東宝
フジテレビ製作『南極物語』(配給収入59億円)、『子猫物語』(同54億円)の大ヒットに続き、系列の関西テレビも動物ものの映画化に挑戦。で、選んだのはラッコ。親子三代のメスラッコを中心にラッコたちの生態を描きます。仕草は可愛いけど、実物を長時間見るのは…

声の主演は斉藤由貴。音楽が小林亜星先生で、イメージソングも先生作詞、新田恵利歌唱の「サーカス・ロマンス」(作詞:秋元康 / 作曲:小林亜星 / 編曲:国吉良一)。オリコンシングルチャート初登場8位。新田にとってデビュー2年目にしてオリコンシングルチャートトップ10に入る最後の曲になりました。

関西テレビで50万枚の前売りがあったものの配給収入は9億円。フジテレビの犬猫映画には遠く及ばず、同時期に公開された『ハチ公物語』(同19.5億円)にも興行的に惨敗。やはりラッコでは…

第8位:菩提樹 リンデンバウム




1988年8月6日劇場公開 配給:東映
『スケバン刑事』『はいからさんが通る』に続くナンノシリーズ第3弾。林葉直子原作の『とんでもポリス』や『魔法使いサリー』の実写化と言った企画が消え、結局残ったのは『はいからさんが通る』大和和紀先生の同名コミック。今回ナンノが演じるのは、幼い頃に両親を亡くし、“あしながおじさん” の援助で医大に通う女子大生。彼女に好意を寄せる同級生、彼女が恋心を抱く助教授、そして “あしながおじさん” との対面。

共演は助教授役に神田正輝、同級生役に竹本孝之、柳沢慎吾、比企理恵。ナンノの同級生と言うより諸先輩ばかりのような(?)地味目のストーリーとキャスティングのせいか、東映でのナンノシリーズは残念ながらここで一旦終了します。

主題歌は本人歌唱「あなたを愛したい」(作詞:田口俊 / 作曲・編曲:萩田光雄)。あまりヒットした印象はなかったのですが、オリコンシングルランキングでは第1位!同時上映は清水宏次朗が欠席の『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎音頭』。

第7位:Song for U.S.A.




1986年7月26日劇場公開 配給:東宝
タヌキが人間に化けチェッカーズを結成する『CHECKERS in TAN TAN たぬき』で映画も大ヒットさせたチェッカーズ主演映画第2弾。今回も彼らが演じるのはチェッカーズ本人たち。劇中でも主演映画第2弾が完成し、二週間の休暇が始まる。フミヤは黒人のサックス奏者マイルスと彼の娘と知り合い、彼の吹くサックスのメロディに心をゆさぶられ、彼が自動車事故で死んでしまうと未完成の曲を完成させるため一人曲作りに励む。そして遂に「Song for U.S.A.」を完成。彼の娘を連れてニューヨークへ。マイルスの葬儀が行なわれるなか、他のチェッカーズのメンバーや彼の別れた妻もやってきてマイルスのために熱唱する。

当時梅田劇場で観ている筈なんですが、あまり印象にない本作。キネマ旬報の記事では「客層が中高生の女子だけと言った感じで非常に狭く、また安全地帯のファンが殆ど来ていない」と。(同時上映は安全地帯第1回主演作品『プルシアンブルーの肖像』。)アイドル映画なので、映画としての完成度よりまずはファンが楽しめれば良いと言うことですかね…。

主題歌は本人歌唱「Song for U.S.A.」(作詞:売野雅勇 / 作曲・編曲:芹澤廣明)。「涙のリクエスト」以降ヒットを連発してきた売野雅勇と芹澤廣明が、シングルとして作詞・作曲・編曲に携わった最後の作品になりました。

第6位:テラ戦士ΨBOY


1985年7月6日劇場公開 配給:東映
デビュー2年目、日本武道館でのファーストコンサート、「卒業-GRADUATION-」オリコンシングルチャート第1位とノリにノッていた菊池桃子主演。超能力を身につけた少女MOMOKOが、“ディラスポーラ” というメッセージのもとに集まったエスパー少年たちと、謎の存在BOYを救うまでを描くSFファンタジー。マイク・スプリングレインの原作を原田眞人が脚本化と聞くと結構本格的なSFなのか?と思いきや、特撮も含めチープな感じ… まあ、桃子を愛でるアイドル映画としてはそれで十分!?

主題歌は本人歌唱「BOYのテーマ」(作詞:秋元康 / 作曲・編曲:林哲司)。こちらもオリコン初登場第1位、歴代3位のセールスとなりました。

第5位:シブがき隊 ボーイズ&ガールズ


1982年7月10日劇場公開 配給:東映
たのきんに続きジャニーズ事務所が売り出したのは、花の82年組のシブがき隊。レコードデビュー間もない3人が演じるのは、学校の寮を抜け出してリゾート地に遊びに行く男子高校生3人組。そこで3人の女子高生と出会い、ひと夏の青春が繰り広げられる。

脚本・監督は『の・ようなもの』で注目され、翌年『家族ゲーム』で高い評価を受けた若手・森田芳光。他愛のない青春映画のようで、所々森田節が効いています。

「NAI・NAI 16」(作詞:森雪之丞 / 作曲・編曲:井上大輔)をはじめ、沢田研二が楽曲提供した「Weather Girl」、「ダイナマイト気分」「太陽に向かって走れ」「恋のサスペンス」「渚のロンリー・ボーイ」「ひと夏だけのメモリー」と音楽面でも、相手役の3人(宇紗木千恵、吉田麻子、河上ゆかり)がアイドルとしては地味と言う点でも、水着やシャワーシーンは彼女たちではなくシブがき隊の方とファンが見たいものを優先した演出も、正統派のアイドル映画になっていると思います。

同時上映は『Dr. SLUMP ほよよ! 宇宙大冒険』、満席の場内の半分は幼稚園児だったとか。

第4位:愛情物語




1984年7月14日劇場公開 配給:東映
1983年『時をかける少女』で大ブレイクした原田知世の映画第2作目。孤児ではあるが育ての親の元で明るく成長した少女が、毎年誕生日に送られる花束の送り主“あしながおじさん”を探す旅を通じて、本当の愛を見つけるまでの物語。

角川春樹プロデューサーは角川三人娘の中でも一番のお気に入り(?)の知世の新作を、3つの挑戦――
①日本で初めてのミュージカル映画を作る
②知世を女優にしてみる
③人間ドラマを演出する
―― を掲げ自ら監督します。

全米3大振付師の1人ミゲール・ガドリューやブロードウェイでオーディションした35名のダンサーを起用と、和製ミュージカルの壁を打ち破ったかなあ(?)と思うものの、脚本の方は赤川次郎の原作なのにミステリー要素は希薄で、金沢~長崎への旅番組のよう。

主題歌は本人歌唱「愛情物語」(作詞:康珍化 / 作曲:林哲司 / 編曲:萩田光雄)。同時上映は薬師丸ひろ子主演、森田芳光監督『メイン・テーマ』。

第3位:ハイティーン・ブギ


1982年8月7日劇場公開 配給:東宝
たのきんの夏休み映画担当マッチ主演、たのきんスーパーヒットシリーズ第4弾はシリーズ初の原作もの(後藤ゆきお、牧野和子による同名劇画)の映画化。

ハマの暴走族スケルトンズのリーダー藤丸翔。敵対する暴走族ブラックウルフに喧嘩を売られ翔は大ケガを負う。その翔を救ってくれたのが桃子だった。桃子に夢中になった翔は暴走族を抜けた。翔が好きだった未樹は桃子を憎み、スケルトンズを使って襲わせた。この事を知った翔は仲間の重と殴り合いになり、ボクサーを目指していた重はこの時のケガがもとでボクサーの夢を断念。桃子は自分の妊娠に気付き、家を出て翔と暮らし始める。やがて翔はバンドを組み、人気を博すようになり一躍スターダムへと上り詰めるが…。

桃子役は「第2回東大生が選ぶアイドルコンテスト'81」で1,000人以上の中から優勝してスカウトされた武田久美子。後年の貝殻水着のイメージは全く無く、本作のキスシーンに対するマッチファンの嫉妬で “トラック数台分” の量の非難の手紙やカミソリが送られてきたと言うエピソードは、SNSの無い当時でも地方都市の中学生にまで届いたくらい有名でした。また、彼女を不良に襲わせる未樹役で三原順子先生も出演されています。

音楽担当は山下達郎。マッチ歌唱の同名主題歌(作詞:松本隆 / 作曲・編曲:山下達郎)は累計セールス60万枚超えの大ヒット。楽曲解説は、カタリベ指南役さんのコラム『近藤真彦「ハイティーン・ブギ」を大ヒットに導いたもう一人の山下達郎って誰?』で。

なぜか数シーンだけミュージカル仕立て。『ウェストサイド物語』風にしたかったのかな? ラストシーン、ひな壇で皆で歌い踊る演出は、むしろバラエティー風ですが…。

第2位:野菊の墓


1981年8月8日劇場公開 配給:東映
デビュー2年目、松田聖子の初主演映画に用意されたのは、伊藤左千夫が明治39年に発表した文芸小説。山口百恵の初主演作が『伊豆の踊子』だったことを考えると、王道な企画だったのかも。美しい田園風景が広がるある村の旧家を舞台に、少年と年上の少女の身分違いの恋を美しくも儚く描きます。

相手役には一般公募21,000人の中から選ばれた桑原正。監督は社員助監督歴20年、これが42歳でのデビュー作で、のちに薬師丸ひろ子主演『Wの悲劇』を手掛ける澤井信一郎。主演女優を“集中力はあるが、感情を込めた台詞回しには不安が残る”と言いつつ、聖子ちゃんカットとは真逆のおでこ全開で頑張る彼女を、丹念に演技指導。

当時中学生の自分が見ても、有名な「民さんは野菊のような人だ」「政夫さんはりんどうの様な人だわ」のシーンは…だったものの、ラストはとにかく泣けるのです。

主題歌「花一色~野菊のささやき~」(作詞:松本隆 / 作曲:財津和夫 / 編曲:瀬尾一三)は「白いパラソル」のB面。映画にバッチリはまっています。同時上映は真田広之主演『吼えろ鉄拳』。

第1位:ねらわれた学園


1981年7月11日劇場公開 配給:東宝
1978年に『野性の証明』で名子役としてキャリアをスタートさせた薬師丸ひろ子。1980年代に入り角川春樹プロデューサーは“これからはアイドルとアニメの時代”と女優の道を歩んでいた彼女をアイドルにしたいと考えます。そこで相談したのは『金田一耕助の冒険』で角川映画の監督実績のあった大林宣彦。デビュー作『HOUSE』で7人の少女アイドルを誕生させたような感じでと依頼します。

本作で薬師丸が演じるのは、進学校に通う優等生・三田村由香。ある日、願ったことが次々と現実化されていくのを体験し、自分が不思議な能力を持っていることに気づく。その能力に困惑する中、エリート学生らによる学園の支配を狙った英光塾が出現する。

数日後、由香たちのクラスに高見沢みちるが転校してきた。みちるは不思議な魅力と魔力で生徒や先生を翻弄、生徒会会長になって、風紀を乱した生徒を取り締まる学内パトロールを組織して自分の思い通りに学園を作り変えていく。由香は幼馴染の関耕児と共に立ち向かう。

相手役は一般公募され、レッツゴーヤング・サンデーズの藤慎一郎や元フジテレビアナウンサー笠井信輔を含む18,000人の中から選ばれたのは、慶応義塾大学3年生だった高柳良一。

大林監督はCMディレクターの経験を生かした演出で、全編ひろ子スタンプが押されたような作品を完成。アイドル映画としては大成功。薬師丸も数年後のインタビューで「ファンがとても増えたことは確かな映画です。」と評価。

一方映画としては、新宿中央公園にフィルム合成させた校舎がどんどん不気味な雰囲気に変わっていく描写や、最後の魔王子(峰岸徹)との対決シーンの大花火等、監督お得意の手作り感のあるオプティカル合成の多用がマニア向け。一方、松任谷由実歌唱の主題歌「守ってあげたい」(作詞・作曲:松任谷由実/編曲:松任谷正隆)は累計セールス69.5万枚と幅広い層に大ヒット。好き嫌いの別れる評価なんでしょうか。ちなみに、アイドル歌手にしか興味が無かった中学生の自分も、見たことのないこの歌手のシングルレコード、買いました。

同時上映はたのきんスーパーヒットシリーズ第2弾『ブルージーンズメモリー』。角川サイドと配給の東宝が宣伝費の振り分け等で揉め、次の『セーラー服と機関銃』の配給が東宝から東映に移ったと言うエピソードは、長くなるのでこの程度で。


―― と言うことで、上位は自分の中学生時代の1980年代前半が多くなってしまいました… それと全体を見渡すと “超能力” “あしながおじさん” “桃子” ”一般公募” と言った共通ワードが。

なお、以前コラムを書かせていただいた『歌手・薬師丸ひろ子のきっかけとなった「探偵物語」松本隆、大滝詠一との出会い 』(薬師丸ひろ子主演『探偵物語』1983年7月16日劇場公開 配給:東映)や、『おニャン子クラブの初映画「おニャン子 ザ・ムービー 危機イッパツ!」監督は原田真人』(『おニャン子 ザ・ムービー 危機イッパツ!』1986年8月23日劇場公開 配給:東宝)も良かったらこの機会に読んでみてください。

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2022.07.14
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カタリベ
1967年生まれ
高橋みき夫
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