共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.43
The Heat Is On / Glenn Frey
世界的著名ミュージシャンの逝去が相次いだ2016年。年明け早々デヴィッド・ボウイの訃報が届いたと思ったら、その約一週間後(1月18日)にはグレン・フライの訃報が届いた。
70年代、米ウェストコースト・ロックの雄、というより最早歴代アメリカンロックの代表格ともいえるイーグルスの創設メンバーにしてリーダーだったグレン・フライ。
1980年代以降、実質的な解散状態となったイーグルスだが、多くのヒットを残したドン・ヘンリーとグレン・フライを筆頭に、ジョー・ウォルシュやランディ・マイズナーといった各メンバーのソロ活動は活発に行われていた。意外にもそれぞれのソロにおける全米ナンバーワンソングは生まれていないが(イーグルスは5曲の全米1位を残している)、グレンとドンは2曲ずつの全米トップ3ソングを輩出している。
そんな各ソロ活動の中で80年代最大ヒットとなっていたのが、80年代41番目に誕生したナンバー2ソング、グレン・フライの「ヒート・イズ・オン(The Heat Is On)」(85年3月2位)である。
80年代洋楽の象徴的事象、“サントラ” 及び “産業ロック” ブームにうまく乗ったような作品でもあった「ヒート・イズ・オン」は、エディ・マーフィ主演の映画『ビバリーヒルズ・コップ』(84年米公開、85年日本公開)のサウンドトラックからの主題歌ヒットだった。
それまでのグレンのソロヒットといえば…
「サムバディ(I Found Somebody)」
(82年31位)
「恋人(The One You Love)」
(82年15位)
「セクシー・ガール」
(84年20位)
―― といった、実に味わい深いながらも、決して派手ではない地味目な作品といえるもの。どちらかといえば、同時期のドン・ヘンリーの一連のヒットソング、
「レザー・アンド・レース」
※with スティーヴィー・ニックス
(82年6位)
「ダーティ・ラウンドリィ」
(83年3位)
「ボーイズ・オブ・サマー」
(85年5位)
―― の方が、チャートアクションも上回っており、比較的派手な印象を与えていたかもしれない。ドンに対抗して(かどうかはわからないが)グレンの「ヒート・イズ・オン」は、結果として “グレン・フライvsドン・ヘンリー” の80年代ヒット闘争における最も派手で、最もヒットした作品になった。
人気アーティストの新曲を多数詰め込んで1枚のアルバムから複数のヒットソングを送り出した80年代のサントラブーム。
パティ・ラベル、ポインター・シスターズ、ハロルド・フォルターメイヤー、そしてグレン・フライらの新曲を取りそろえた『ビバリーヒルズ・コップ』は、『フラッシュダンス』『フットルース』『トップガン』といった他のメガヒット作品にも勝るとも劣らないブームの決定打的な作品となっている。「ヒート・イズ・オン」は、80年代の独特な雰囲気にうまく乗せられた、そんなヒットソングだったのだ。
そして、グレン・フライはもう1曲80年代洋楽史に深く刻まれたナンバー2ソングを残す。
2017.12.12
YouTube / Saracen006
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