7月4日

ブラジル青春グラフィティ「ウォーク・ディス・ウェイ」と一目惚れの彼

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photo:Today in Hip Hop History  

私が通っていた学校では毎年9月になると『理科展』が開催され、7年生以上はそれに参加しないと理科の成績が減点される仕組みでした。

それは、グループや個人で興味のあることについて研究し、ブースを構えて、来るお客さんや審査員の先生方に研究の成果を説明するというものです。

私が8年生(日本では中学2年生)の時、この理科展のため、クラスメイト3人(日系の私とポルトガル系の女の子と中国系の女の子)で “色の構成” について調べたことがあります。

2日間に渡るこの催し物に、必ず誰かしらブースにいなければならず、誰かが来るのを待っては何度も同じことを説明したり、ちょっと大変でしたが、最優秀賞には次年度の奨学金が与えられるので、みんな頑張っていました。

それはさておき、ちょうど私がブースにいた時です。ある男の子が私の目の前を通り過ぎました。横顔でしたが、背が高く、頬が赤く、髪型もおしゃれな男の子!

そう、初めて私が “一目惚れ” というものを経験した瞬間です。

そうは言っても、今まで一度も見かけたことのない男の子ですから、「きっと違う学校に通っている子だろうな、こんな素敵な男の子とは一生出会うことはないだろう…」と、気になりながらも半分諦めていたのです。


2ヶ月が過ぎ、年度末のテスト勉強を2階にある自分の部屋でやっていると、私の様子を見に来た母が、家の外でスケートボードをしている男の子たちに向かって窓からクレームをつけました。

「娘が勉強をしてるから、もうちょっと離れた道路でやってくれ!」

全く気にしていなかった私は、

「ママ大丈夫よ、恥ずかしいからやめてよ!」

と言いながら窓の外を覗くと、

いた !!!!!

一目惚れをしてしまったあの彼がスケートボードを片手に持って、家の前の坂を下っていくのが見えたのです。

近所の友だちに聞くと、なんと、その彼は道路の向かいのマンションに住んでいるとのこと。こんなドラマみたいな出会いとシチュエーション! 運命としか思えませんでした。


テストも終わったある日、私はいつもの通り近所の友だちと遊んでいると、屯所になっていたマンションのゲートから、ボイスパーカッション混じりの歌を歌いながらやって来たのはその彼!


 ヅンタッ ヅヅンタッタッ
 ヅンタッ ヅヅンタッタッタッ
 ジャラララン ジャラララーラ ♪


私の心臓は飛び上がりそうになり、どうすればいいのかも分からないうちに、彼は馴れなれしい態度で友だちと話し始めました。彼は友だちの幼なじみだったのです。

まあ結局、その彼も近所の友だちグループになり、付き合うことはありませんでしたが、ずっと良い友だちでした。

彼は新しい音楽、新しい映画、新しいカルチャー、色々なものを発見しては皆に教え、彼が私や友だちに与えた影響は大きかったと思います。みんなでハマっていたものには必ず彼が関わっていました。

彼と出会った時のボイスパーカッション混じりの歌、それは「RUN DMCとエアロスミス」の「ウォーク・ディス・ウェイ」。彼は暇を見つけてはボイスパーカッションの練習をして、この歌をよく歌っていました。

私はこの曲を聴くと、彼の顔や仕草、声を思い出し、素敵な青春をくれた彼に感謝の気持ちが湧いてきます。

日本に移住し、彼との縁はすっかり途切れてしまいましたが、きっとどこかで幸せに暮らしていることを願います。


2016.08.17
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  YouTube / RUNDMCVEVO
 

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カタリベ
1974年生まれ
clake
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