2018年 3月11日

Talk & Live「Re:spect – いまこそ語ろう、音楽としてのチェッカーズ」

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鶴久政治が東京で10年ぶりにライブを行った日
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2018年3月11日(日)あの日、会場にいた皆が笑みを絶やさなかった。そして、彼が登場すると会場中の視線が一点に注がれる。

場所は、代官山のWGT(Weekend Garage Tokyo)。イベント名は『Re:spect – いまこそ語ろう、音楽としてのチェッカーズ』
Re:minder と BS12トゥエルビ『ザ・カセットテープ・ミュージック』のコラボレーションイベント第一弾である。

割れんばかりの拍手のなかで、ファンと久しぶりの再会… 彼は時に冗談を交え、自身の音楽に触れながら、チェッカーズという偉大なグループについて語りはじめる。

その彼こそ鶴久政治、チェッカーズのサイドヴォーカル、メロディメーカーとして数々のヒット曲を作り上げてきた天才肌のミュージシャン。今年、2018年はチェッカーズのメジャーデビュー35周年となる。今回のトーク&ライブイベントはその先駆けを飾るに相応しいものとなった。

ホストを務めたのは音楽評論の革命者・スージー鈴木。この男、以前から「鶴久政治」に目を付けていた。何しろチェッカーズが好き過ぎてチェッカーズに入りたかったと公言する人物。さらに自身が出演するテレビ番組でチェッカーズ特集を組むや、それまでなかなか語られなかったグループの音楽性の高さを世に伝えたいと様々な言葉を電波に乗せ始めた。

「フミヤのボーカルがいい」
「ユウジのベースがいい」
「マサハルはいい曲を書く」

そして、ついに名言を誕生させた。

「シェリーと言えば、尾崎豊よりもチェッカーズ」

勿論、今回のイベントでも鶴久さんから様々なエピソードを引き出してくれた。キャロルに憧れた少年時代、デビュー当時の秘話などなど。今日はそのほんの一部を紹介しよう。

デビュー当時「ギザギザハートの子守歌」を貰った時のことをスージーが訊ねると、鶴久さんは開口一番こう言った。「まず冗談と思いましたね。ふざけるなと」

「ギザギザハートの子守唄」という曲は作曲家・芹澤廣明と作詞家・康珍化の二人が当時書きためていた曲のひとつだったのだという。二人はこの曲を甚く気に入っていた… こういう数え歌は10年に一度は売れると――

かまやつひろしの「我が良き友よ」が売れてから間が空き、そろそろ出せるタイミングじゃないかと彼らが機を窺っていたところに絶妙なタイミングでチェッカーズが現れた。しかしその時のメンバーたちの反応は…

「でも先生、演歌みたいのはちょっと歌えませんよ」

次に来た曲が「涙のリクエスト」だった。自分たちのルーツに寄り添ったアメリカンポップスをイメージした曲、チェッカーズのメンバーはこれがデビュー曲になると思いリハーサルに励んでいたのだという。しかし、レコーディング後にプロデューサーがメンバーの前でこう言い放った。

「涙のリクエストはいい曲だけどインパクトが弱い。だからギザギザハートの子守歌で行くぞ。トガッた感じを出してコイツら何者だと思わせた後に、涙のリクエストで行くとヒットする」

そして、誰もが真似をしたファッションやビジュアルの話から、作りたいと思う音楽がやれなくて事務所から鞄ひとつでメンバー全員が夜逃げした話まで。さらには自身が作曲した楽曲「Jim & Janeの伝説」「Cherie」などについても存分に語ってくれた。客席からの「一番好きな曲は?」との質問にも鶴久さんは冗談を交えながらこんな風に答えてくれた。

「一曲には決められないですね。でも今だにね、いろんなところで歌われているのは夜明けのブレスという曲なんですけど、あの曲は自分の中で安産だったから、逆に言えば大変だったのは Jim & Janeの伝説。クロベエとドラムのところはこだわってやりましたけどね。あとはやっぱり、全部じゃないですかね。だって、天才だから」

鶴久さんの茶目っ気に会場が笑いに包まれる。多分この場にいる全員が、チェッカーズとの青春の思い出と、鶴久さんと共有している今この一瞬を存分に楽しんでいたのではないだろうか。そして、トークが終わると東京では10年ぶりとなるスペシャルライブが行われた。

「Jim & Janeの伝説」
「Room」
「夜明けのブレス」
「Cherie」
「Friends and Dream」

鶴久さんが作曲したチェッカーズ時代の名曲の数々を本人の歌唱で聴かせるレアで幸せな時間が流れていく。衰え知らずとはこのことだろう。鶴久さんがファルセットを出すために酒も煙草も嗜まないのは有名な話、青春時代に聴いた声とまるで変らぬやさしく心に響くヴォーカルは健在だった。

「今日はチェッカーズの話をしたので、あの当時、みんなでつくったオケを使って歌います…」

会場にいたファンの頬には大粒の涙が伝っていた。



Re:minder より
ご来場いただきました皆さまに心から御礼申し上げます。そして、スージー鈴木さまはじめ、イベントに飛び入りしてくれた243と吉崎綾さま、素敵な夜をプレゼントしてくださった鶴久政治さまに大きな拍手を。


2018.03.18
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  YouTube / 20121313z


  YouTube / CinquecentoR33
 

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カタリベ
1966年生まれ
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