ここまで世界中に受け入れられたニューロマバンドはいない。
2017年9月20日、あのニューロマの王者、デュラン・デュランが来日公演する。
Re:minderを読まれている皆様は大熱狂、興奮冷めやらぬ日々を過ごしていらっしゃると思いますが、世間一般では忘れてる方も多いと思うのでこのバンドが頂点に上り詰めた1984年末を軸にデュラン・デュランの文化的素養とその影響力にファッションメインで斬りこみたい。
このバンドには3人の仕立て屋がいる。そう、ジョン、ロジャー、アンディ、3人の姓はテイラーだった。
バーミンガムで一緒に育って幼馴染のニックとジョンの二人だけがボウイの『ジギー・スターダスト』を持っていた。これが彼らの運命を決めたのだ。まるでミックとキースの出会いみたい。
彼らはシフォン生地の服にも抵抗がなかった。ニューロマンティック=ジェンダーの枠組みをも打ち破る事を信条とし、口紅とフリルシャツで美しく彩りゴージャズな髪型で飾る。ボウイが70年代に切り開いた道筋を80年代は彼らが担った。
そして、最も重要で最も賛否が分かれるサイモン・ルボンが加わる。
なにしろ彼は、オーディションにピンクのヒョウ柄パンツとスエードジャケットで現れ、歌う前からファッションだけで合格したというのだから驚く。ここからの快進撃は誰もが知る所だろう。
まだパンク一色だったイギリスでアートスクールの学生だったメンバーはファンクディスコバンドのシックとパンクバンドのセックスピストルズの融合という、革命的な音楽性を打ち立てた。これはかつてエルヴィスが行った手法と同じだ。
ファッションもファンクディスコとパンクを融合する事でニューロマを生み出した。『セブン&ラグド・タイガー』の頃には末期のクラッシュ同様ミリタリーを取り入れていった。
その頂点と集大成がライヴアルバム『アリーナ』だった。映画も制作され日本ではロッテが協賛して全国をフィルムコンサートという形で巡業している。84年はデュラン・デュランが世界を席巻した一年間と言っても過言ではない。
1984年のフィルムから響き渡る熱狂と興奮。効果音などではないリアルな歓声はビートルズ並ではないだろうか?
僕はこれを観たい一心で、ロッテ製品を買い漁りチケットにありついた。県民文化ホールで上映が始まると黄色い歓声が響き渡り、子供心にジュリーがGSバンド演ってた時の映像に似ていると直感した。なので僕はデュラン・デュランGS説をとりたい。
その後、もうダメだろうと思われ始めた頃に、デュラン・デュランはこれ以上ないタイミングでオリジナルメンバーでの再集結を果たす。2001年以後、3人のテイラー(仕立て屋)が揃った彼らはツアーを成功させスマッシュヒットを放つ。ローリングストーン・ジャパンの記事によれば、ベースのジョン・テイラーはこの劇的な再会を「リユニオン・オブ・ザ・スネイク」と名付けたそうだ。
クラッシュと同じく文章に出来ないほど偉大なバンドではあるが、来日と聞いて、いてもたってもいられず書いてしまった。彼らについては書ききれない。
2017.09.20
YouTube / Алексей Алпацкий
YouTube / Duran Duran
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