中学3年生のとき、体育の授業に創作ダンスがあった。バレエを習っている子、ずば抜けて運動神経がいい子を中心に、ダンスのチームができる中、私も気の合う子たちとチームをつくった。当時の私は、この手の授業をフンッとバカにするような生意気な女子中学生。同じチームの子たちも私同様、創作ダンスなんてくだらないというタイプだ。
ただひとつ、他のチームには負けられないと思ったのがダンスの楽曲。どうせ他はクラシックか歌謡曲でしょ。ここはセンスのいい曲を選んで、差をつけないと… なんて、思ったに違いない。選曲を買って出た私が、数々の英国ポップスから選んだのが、当時ヒットしていたABCの「ルック・オブ・ラブ」。
「カッコいいー、のりのりの曲だね」「ルックオブラブ!バンッ!って曲が終わるとこでポーズ決めよう」と、ひとしきりチーム内は盛り上がる。創作ダンスなんてとバカにしつつも、ABCのおかげで、私たちはほんの少しやる気をだした。
だが、肝心の振り付けがなかなか決まらない。発表まで残り3日間。追い詰められた私たちは、放課後にチームの一人が住むマンションの屋上に集まり、「ルック・オブ・ラブ」をラジカセでループさせながら、振り付けを考えることにした。発表前日は大雨だったため、雨合羽を着て猛練習。
♪ ザッツザルックザッツザルック ~ ザルックオブラブ ♪
キラキラゴージャスな曲をバックに、ザーザー雨が降る殺風景なマンションの屋上、雨合羽姿でダンスダンスダンス。当時ディスコではこの曲がかかりまくっていたらしいが、私たちはそんなことは知らない。フォークダンスと盆踊りをかけ合わせたような奇妙な振り付けが、中学生の精一杯。もう、「ルック・オブ・ラブ」聴きたくない… というくらいに、ひたすら踊ったのは覚えているのだが、肝心の発表会がどうだったかは、一切記憶にない。
今年ABCは、「ルック・オブ・ラブ」が入ったファーストアルバム『ザ・レキシコン・オブ・ラブ』の続編となるアルバムをリリースした。当時のムードたっぷりだが、あのときほどキラキラゴージャスでないような、ちょっと物足りないような。ABCよ、これじゃ誰も創作ダンスの曲に選んじゃくれないよ、と余計なお世話ながら思ったりする。
2016.11.15
YouTube / ABCVEVO
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