2月26日

憧れの武道館デビューはトンプソン・ツインズと土屋昌巳のロックンロール!

23
1
 
 この日何の日? 
トンプソン・ツインズのコンサートが日本武道館で行われた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1986年のコラム 
稲垣潤一がハイトーンボイスで歌う「April」は本当にさわやかな別れの曲なの?

ポップスターの悲劇? チェッカーズとお酒と西麻布のレッドシューズ

80年代ローカル音楽事情、金沢で地味に熱かったPINKとTMネットワーク

80年代イントロなんでもベスト3 ~ その1「あの夏イントロ」

時代を先取りした “種ともこ” の和声コーラスと武部聡志のシンセサイザー

鈴木雅之「ガラス越しに消えた夏」に刻まれた神アレンジ【EPICソニー名曲列伝】

もっとみる≫




日本武道館―― それは東北の田舎者にとって、憧れの対象だった。

その風格に満ちたネーミング。自分の地元の人口の3分の1を収容してしまえるバカデカさ。なんたってビッグなアーティストなら一度は上がるステージだ。

ビートルズもディランもチープ・トリックも、音を響かせた伝説の地。1985年の11月に爆風スランプが「大きな玉ねぎの下で」を歌い、その年末に、デビューからわずか1年半ほどで武道館のステージに立ったというニュースもあり、田舎者の武道館信仰はますます増した。

翌年2月、受験のために従弟とともに上京した自分は、思っていたよりも早く武道館ライブ鑑賞デビューを果たす。試験日程をほぼほぼ消化し、発表を待っていたある日のこと。滞在先のアパートの一室で、田舎では放映されていない『夕やけニャンニャン』をボーっと見ていたら、トンプソン・ツインズがゲストとして出演、ホスト役の土屋昌巳のインタビューに答えていた。

そして明日、日本公演を行なうとの告知。土屋昌巳もゲストで出演するという。トンプソン・ツインズも土屋昌巳も好きだったから、行ってみたいね… などと従弟と話したはいいが、会場の日本武道館の場所がわからない。そもそも受験会場以外に東京の下調べはしていない。渋谷・新宿には行けても「九段下って、どごだべ?」だ。網の目のような地下鉄路線図から九段下駅を探し、地図で位置を確認。とりあえず、明日行ってみよう… ということになる。

渋谷に出て、地下鉄に乗った。当時、半蔵門線は九段下まで伸びておらず、永田町で有楽町線に乗り換え、飯田橋で東西線に乗り換えた。飯田橋での乗り換えでは一度改札を出なければならず、戸惑ったが、なんとか九段下へ。そこからは人波に付いていくだけで武道館に着いた。着いたときは日が傾いていて、屋根の上の “玉ねぎ” は正直、よく見えなかった。

当日券を確保して、会場内に入る。席は南東2階スタンドのかなり後ろの方。第一印象は、“怖い” だ。なにしろこの2階スタンドの位置が高いし、傾斜も急だ。田舎では見ることのない屋内の広大な立体構造に “立ち眩みを起こして前に倒れたら転落死するな…” と、不安になった。

ありがたいことに公演が始まれば、そちらに夢中になるしかない。慣れ親しんだ4枚のアルバムから矢継ぎ早にヒット曲が繰り出され、大いに楽しんだ。アンコールでは公約どおり土屋昌巳が登場。当時シングルカットされヒットしていたビートルズのカバー「レヴォリューション」にガツンとやられる。ラストは、レコーディングバージョンよりもはるかにかっこいい「ラブ・オン・ユア・サイド」。トンプソン・ツインズはシンセポップ枠で語られがちだが、このアンコール2曲に関しては土屋昌巳のギター弾きまくり効果もあって、まぎれもないロックンロールだった。

「えがったなあ…」などと従弟と話しながら、武道館の外に出て、人波の中をノロノロと歩く。しかし2つ目の門をこえようとしたとき、縁に足を引っかけて転びそうになった。これだけの人波に揉まれると、足元への注意もおぼつかない。東京は怖いぞ… と改めて思った。

ひと月後、上京して新生活が始まる。武道館にも度々足を運び、あの傾斜にも慣れ、たいていの場所には驚かなくなった。が、マドンナの初来日を観るために後楽園球場に行ったときは、さすがに圧倒された。

なんたって、ウチの田舎の人口ではここを満員にできないのだから。

2019.02.02
23
  YouTube / ThompsonTwinsVEVO


  Apple Music
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。


おすすめのボイス≫
1967年生まれ
佐々木 寛
えがったなぁ
2019/02/07 21:52
1
返信
カタリベ
1966年生まれ
ソウママナブ
コラムリスト≫
59
1
9
8
2
伊藤銀次の80s:キーワードは「リメイク」 それは単なるリバイバルじゃない!
カタリベ / 伊藤 銀次
33
1
9
8
1
デヴィッド・ボウイもお気に入り♪ノーコメンツは京都発ニューウェーブ
カタリベ / ロニー田中
12
1
9
8
3
イクスマル・ドイチュラントのディーヴァ、アーニャ・フーヴェとは何者か?
カタリベ / 後藤 護
20
1
9
8
8
土屋昌巳のロンドン録音:クリス・トーマスの寿司伝説とエルトン・ジョン
カタリベ / ふくおか とも彦
27
1
9
8
6
第3期 BOØWY:理論武装はいらない!少年たちにギターを持たせた起爆力とは?
カタリベ / 本田 隆
29
1
9
8
2
ジャーニーが屈辱を晴らした夜、初の武道館ライブ終了後に大パーティ!
カタリベ / 喜久野 俊和