中学生の頃の自分に教えてあげたい、「佐野元春さんに会えるんだよ!」と。
2年前、私はラジオ界の大御所の方のあるパーティーで、あの、あの、佐野元春さんと、2人きりで3分ぐらいの会話をしたのです。
35年前、中学生になった私は、新しい環境で、新しい友達を作ることがなかなか出来ないでいました。登校しても、2時間目ぐらいで静かに教室を抜け出し、まっすぐ自宅に帰り、自室で音楽を聴いたり、好きな時間を過ごしていました。
私の母は、東京日野市の某大学のすぐ近くの自宅の横で喫茶店を開いていて、大学のいくつかのサークルは、うちの喫茶店を溜まり場にしていたので、いつも大学生のお兄ちゃん達が集まっていました。
私がいつものように、早めに帰宅すると、軽音楽サークルのお兄ちゃん達が、ギターを弾きながら、大きな声で喫茶店の中で歌っていました。
「サムデイ! この胸にサムデイ!」と。
お兄ちゃんたちの後ろから流れてくるレコードの曲、歌。
それは… 佐野元春さんの「サムデイ」でした。
突然、優しい、そして強い温かさの想いが、さみしかった13才の私の胸に入り込んで、涙が出そうだったのを覚えています。
私はすぐに、ギターを弾いて歌っていたお兄ちゃん達からカセットテープを借りて、「サムデイ」の曲を毎日、リピート、リピートで、ずっと聴いていました。前向きに捉えられない日々を送っていた13才の私は、不思議な力を貰った感じがして、その後、なぜか学校も楽しめて、馴染んでいけるようになりました。好きな男子までも出来たりして。中学生活3年間は、佐野元春さんのすべての曲をいつも聴いていました。
そして2年前、46歳の私は、パーティーで談笑が終わったほんの隙の佐野元春さんに、清水の舞台から飛び降りる思いで、声をかけさせていただきました。
私の呼びかけで、私の顔を見てニコッとしてくださった佐野元春さんを見た瞬間に、私の目からは涙が溢れ、そして、私は13才の時の、あのさみしい世界から抜け出せたのは、佐野さんの音楽のお蔭ですと、声を絞り出しながら、そして「ありがとうございました」と伝えました。
「こちらこそ、ありがとう。」
佐野元春さんのあの声、あの声で…
私の目を見て、言ってくださいました。そして、更に「嬉しい」とも、言ってくださいました。私はすぐさま、タイムマシンに乗って、33年前の不安だらけの13才の私に、言ってあげたくなりました。「つらいことが多い10代を過ごすけど、生きていれば良いことあるからね! 絶対あるからね、すごいことが待っているからね、がんばるんだよ!」と。
「サムデイ」という曲は、佐野元春さんの代表曲としては有名過ぎて、ベタな印象がありますが、本当に、本当に素晴らしい、私にはかけがえのない名曲です。そして、声に出して歌いたくなるんですよね…
いつかは誰でも 愛の謎が解けて
ひとりきりじゃいられなくなる
ステキなことはステキだと無邪気に
笑える心がスキさ
SOMEDAY
この胸に SOMEDAY
ちかうよ SOMEDAY
信じる心いつまでも
2017.03.04
YouTube / 佐野元春 - DaisyMusic
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