4月27日

Winkは最初から特別だった、デビューシングル「SUGAR BABY LOVE」

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80’s Idols Remind Me Of… Vol.26
Wink / Sugar Baby Love


無表情で無機質なダンス、Winkのアンドロイド・パフォーマンス


Winkは最初から特別だった。最初からワン&オンリーだったと言い換えた方がいいか。そうWinkは最初からエスペシャリーだった。

どうしてもWinkの魅力を語るに際しては、一般的なブレイクを果たした「愛が止まらない~Turn it into love」(1988年作品・89年にオリコン1位)以降から90年代前半にかけての主にユーロビート時代が取り沙汰されている。すなわち彼女たちのワン&オンリーな魅力となった “無表情で無機質なダンス”、そしてそれに付随する他と一線を画す(ように見せた)“ルックス・衣装・音楽センスの良さ” といったところだろう。

「愛が止まらない」はWinkにとってはサードシングル。実はそれ以前の作品… デビューシングル「Sugar Baby Love」はオリコン20位、セールス約6万枚、セカンドシングル「アマリリス」はオリコン30位、セールス約1.5万枚。出だしは可もなく不可もなく… だったかもしれないが、いずれにしろ万人が知る、いわゆるブレイクには至っていない。

偶然の産物とも言われながらも、それこそが最大かつワン&オンリーな魅力となった “アンドロイド・パフォーマンス” が確立されつつあった「愛が止まらない」のヒット以降こそが、目に見えるエスペシャリーWinkが最大多数に刷り込まれた瞬間だった(そのピークは「淋しい熱帯魚」時点か)。

相田翔子、鈴木早智子という類いまれなる素材


さて、今になってWinkの活動時期(80年代終盤から90年代半ば)を俯瞰しながら振り返ってみてわかるのが、この目に見えるエスペシャリーWinkの魅力もさることながら、目に見えないところで巧妙に仕掛けられたエスペシャリーWinkの感触こそが、彼女たちの根源的な魅力というか、我々が特別でそれこそワン&オンリーな何かをWinkに感じ取って魅入られた要素だったのではないだろうか。

この、目に見えないエスペシャリーWinkの魅力は、その活動時期に一貫して常に存在しており、我々は意識的に無意識な装いで嬉々として受け入れていたのではないだろうか。

目に見えないエスペシャリーWink… それは送り手側が意識的に意図した “音楽的IQの高さ” の呈示だ。他のアイドルソングとは明らかな一線を画すことを主目的とし、まだこの時代の雰囲気として蔓延っていた“洋高邦低”の牙城をプライドをもってして崩そうという、ある種の崇高かつ孤高な気概のさりげない呈示を、我々は知らず知らずのうちに甘受していたのだ。

もちろん特に80年代アイドルソングの送り手側は音楽的高みを(も)目指して切磋琢磨しているのだが、Winkの場合誤解を恐れず言うならば、さらなる高みから啓蒙精神をも感じさせる独特なセンスを伴った呈示だった。ややもすれば押しつけがましくスノッブになりがちな “洋楽至上主義” の匂いが漂うと敬遠されるものだが、Winkサイドはその匂いをギリギリのところで押しとどめ、実にスマートでさりげなくセンス良い呈示に徹している。

いつの世にも存在する今でいう “楽曲派” アイドルファンのハートは、デビュー時からがっつり掴まされていたはずなのだ。もちろん相田翔子、鈴木早智子の2人、媒介としての類いまれなる素材あってのことだが。

デビューシングル「Sugar Baby Love」はルベッツのカバー


デビューシングル「Sugar Baby Love」(1988年4月27日発売)は、ルベッツ珠玉の逸品(1974年全米チャート37位)のカバー。1910フルーツガム・カンパニー、エジソン・ライトハウス、ファースト・クラス等々とともに、70年代を彩った極上バブルガムポップの名曲のひとつ。日本でのヒット規模もそこそこ大きかった作品とはいえ、そもそもこういった究極のポップソングをデビュー曲に当てがったこと自体に、(啓蒙精神あふれる)センスの良さを感じざるを得ない。

ほどなくしてリリースされたファーストアルバム『Moonlight Serenade』(1988年)に収録されたカバーは、「Bye Bye Baby」(フォー・シーズンズ、あるいはベイ・シティ・ローラーズ)、「Dance With Me」(オーリアンズ)、「あなたの肩に頬うめて」(ポール・アンカ)!!

ベタになりすぎず、(80年代時点での)古き佳きオールディーズと70年代ポップの絶妙な選曲! レコード会社、そして所属音楽出版社(実はここがキモに違いない)の目論見が見え隠れしているが、その後もコンテンポラリーなユーロビート、バブルガムポップ等、ことある毎にセンス良いカバーを残しているのは周知のこと。大上段から構えていながらもさりげなかった目に見えないエスペシャリーWinkの魅力、それはデビューからブレることなく一貫していた。

90年代 J-POP シーンへの素晴らしき布石?


80年代終盤、アイドル冬の時代が近づく中、あえて2人組ユニットで果敢かつ華麗に挑戦し続けたWink。それは冬の時代を作り上げたA級戦犯のひとつであった粗製濫造(のように見えた)感のあったおニャン子軍団へのアンチテーゼだったのか。上段から啓示を宣うさりげない啓蒙だったのか。J-POPという言葉が囁かれだした90年代邦楽シーンへの、素晴らしき布石だったのか。

エスペシャリーWinkのキック・オフとなった「Sugar Baby Love」は、80年代屈指のアイドルソングの逸品だったことは揺るぎない事実だ。当作の日本語カバーは、奇しくも70年代最大アイドルユニット、キャンディーズ以来のこと(Winkとは別詞)。そう、Winkは最初からエスペシャリーだったのだ。



2020.12.26
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カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
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