平成を代表するアーティスト “ZARD”。アーティスト総売り上げ枚数3763万枚は、現在も更新中です。
このとてつもない数字に、平成という時代を生きて、音楽を聴いてきたリスナーでも驚くのではないでしょうか。今回は、シングル売り上げ1773万枚の中から上位10作品をご紹介します。
第10位:あなたを感じていたい(1994年12月24日)73万枚
13thシングル。作曲だけではなく編曲まで織田哲郎が手掛けた楽曲で、NTTドコモのポケベルのCMタイアップが “平成” を感じさせます。
歌詞の内容は遠距離恋愛。シチュエーションはシンデレラエクスプレスですが “ポケベル” でお互いの距離感は縮まってるのを感じます。
第9位:心を開いて(1996年5月6日)74万枚
18thシングル。ポカリスエットのCMソング。ジャケットも淡い青色で俯いた坂井泉水が印象的な1枚。すでに楽曲は一旦制作されていたものの、素朴で、シンプルな楽曲にお蔵入りになっていました。
デビューから5年。派手なアレンジや、サビ頭にタイトル名を入れなくても、ヴォーカリストとしての表現力、そしてアーティストの余裕さえも感じさせます。
ラブソングとも、友情ソングとも受け取れるところも、この曲の人気の高さの理由かも。
第8位:こんなにそばに居るのに(1994年8月6日)78万枚
12thシングル。「ブティックJOY」のタイアップソング。明石昌夫のアレンジが冴えわたるギターとシンセが鳴り響く1曲。
対照的なのが坂井泉水のヴォーカル。アレンジと真逆の気だるさを感じさせるのは「マンネリ」を感じるカップルをテーマにしているから。「恋の終わり」を察してるかのような “冷めた” 歌い方にゾクっとしませんか?
第7位:君がいない(1993年4月21日)80万枚
7thシングル。4週連続10万枚を売り上げたが最高位2位止まりとなった本作(ちなみに1位を阻止したのはWANDS「愛を語るより口づけをかわそう」)。
ドラマ『彼女の嫌いな彼女』の主題歌。作曲:栗林誠一郎のアルバムの楽曲を女性目線で、「失恋ソング」として坂井泉水が新たに歌詞を書いた1曲。
ドラマのイメージに寄せ、ポップなメロディーで完成されたが、坂井泉水本人の「歌詞がより伝わる」との理由でアルバム『揺れる想い』の収録時には半音キーを下げ、歌い直して、再収録しています。
第6位:もう少し あと少し…(1993年9月4日)84万枚
9thシングル。『ララバイ刑事’93』のエンディングテーマ。じつはドラマとは全く関係のない「不倫ソング」。メロディーとアレンジの切なさに、坂井泉水が好きだったテレサ・テンや、高橋真梨子などの昭和ポップス… そんな世界観をZARD流に “平成歌謡” として歌詞に込めた1曲。
舞台はいけない恋の相手と旅した “神戸”。今は一人で来て「あなた」への手紙書いてます。特に2番目の歌詞
追伸:あなたの
生まれた家を見てきました
なんだか 切なくて懐かしかった…
男性の皆さん。いけない恋の旅行先に、実家はオススメ出来ないし、連れて行かないで欲しい… と思ったのは私だけでしょうか。
第5位:きっと忘れない(1993年11月3日)87万枚
10thシングル。ドラマ『白鳥麗子でございます(シーズン2)』の主題歌。青や夏のイメージが強いZARDですが、“冬のうた” も多かったと、皆さんも再確認出来るのではないでしょうか?
歌詞は失恋をテーマにしてますが、当時の女性シンガーソングライターにはめずらしい「貴方を思い続けてます」という女性像を、この楽曲でも登場させています。
長戸大幸というプロデューサーのもとでデビューしていなければ、もっと歌謡曲の印象が強くなっていたかもしれません。
第4位:この愛に泳ぎ疲れても / Boy(1994年2月2日)88万枚
11thシングル。「この愛に泳ぎ疲れても」は『愛と疑惑のサスペンス』のオープニングテーマ。サビだけを覚えてる人には、今回聴きなおしてもらいたい1曲。ミディアムテンポで、音数が少ない1番が終わると、風雲急を告げるかのごとくアップテンポに変わりキーも上がる、ドラマティックソング。
そして「Boy」は映画『夏の庭 The Friend』のエンディングテーマ。当時としては珍しい両A面。A面扱いでサビでタイトルが出てこない唯一の楽曲。1曲目と対照的な楽曲でタイアップの関係というより2曲を続けて聴かせたかったのでは?
第3位:マイフレンド(1996年1月8日)100万枚
17thシングル。TVアニメ『SLAM DUNK』のエンディングテーマ。ZARD初のアニメタイアップになった楽曲は幅広い世代に支持され、TOP3は100万枚を超えています。
アニメソングのタイアップという事もあり、1番は学生の青春ソング。2番目は「別れても友達」や「届かないけど思ってます」的な恋愛ソング。の2面性を持った1曲。
1番の歌詞が好きな人は、アニメを観てた… のではないですか?
第2位:揺れる想い(1993年5月19日)139万枚
8thシングル。「ポカリスエット」のCMソング。この曲以降 “夏“ や 海”、“青” のイメージが印象強くなったターニングポイント的な1曲。8枚目のシングルで “爽やかさ” を全面に打ち出し不動の人気を決定づけた1曲です。
自分に合う人なんて居ないと思ってたけど… あなたに決めたの。
―― 不安定な歌の主人公のまさに「揺れる想い」に共感を得たのは、未来に夢見る、不安定な時期の高校生や大学生の世代。恋にも、進路にも “揺れて” いた世代のファンを増やした1曲。
第1位:負けないで(1993年1月27日)164万枚
6thシングル。 ドラマ『白鳥麗子でございます』のエンディングテーマ。人気コミックのドラマ化で、ドラマ放送開始から、ラジオや有線など、街中にこの曲が流れた1993年の幕開けでした。
しかし、「負けないで」が1位を獲得するまでに1ヶ月の時間がかかりました。当初は今までの片恋や、失恋的なイメージからドラマに寄せた “平成版「木綿のハンカチーフ」” 的な歌詞の内容でしたが、今までに無い力強いメロディーとサウンドに “応援歌” という裏テーマをつけさせました。
この曲が街で流れ出すタイミングを考えた時に、“受験生” への励ましや、春から故郷を離れ、新しい生活をスタートする人へ向けた “応援歌” として、坂井泉水がリスナーに宛てた言葉は “愛してる” や “ファイト” でも無く「負けないで」でした。
平成から令和にかけても、その後の時代にも歌い継がれていくであろう “応援歌” になったのは「負けないで」という言葉を使った坂井泉水の心の温かさなのではないでしょうか。
―― いかがでしたでしょうか。10作品すべてが馴染み深く、口ずさめる楽曲だったのではないでしょうか?
そして今日、2月6日は坂井泉水さんの誕生日。
「大好きです!」という方には今一度、「サビは覚えてる」という方には懐かしく、一方で「ZARD、あんまり聴いてこなかったな…」という方や「まだ聴いたことがない…」という若い方にも、人それぞれに2月6日という日に少しでも“ZARD”を思い出して欲しいな… と思います。そんなときに、まずはZARDの代表曲と言える、この10作品を彼女の好きだった青色の空のもと聴いてもらいたいです。
ところで、ZARD・坂井泉水のフェイバリットソングは何かご存知ですか? それは、テレサ・テンの「別れの予感」なんです。あの雰囲気、昭和ポップスの匂い、歌詞だけ読めば感じませんか?
次回は、「ZARDのグッとくる歌詞ランキング、いま改めて聴いて欲しい “平成歌謡”」へ続きます。お楽しみに!
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2022.02.06