7月11日
迷うことなく答えはひとつ、一番好きな雑誌「バラエティ」と角川映画
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「今まで読んできた中で一番好きな雑誌は?」この問いかけに対する自分の返答はもう35年以上変わっていない。迷うことなく答えはひとつ。それは角川書店が発行していた月刊誌『バラエティ』である。その名の通り、映画、音楽、文芸、漫画、スポーツなどなど、カルチャー全般を扱うメディアクロスマガジンであった。

角川映画全盛の時代、その関連記事が多かったのはもちろんだが、同誌は他の映画紹介についても充実しており、他誌とは一味違うマニア好みな執筆陣によってメジャーなのにサブカル的な独特な雰囲気を醸し出していた様に思う。綴じ込みピンナップの裏面に100位までのオリコンチャートが掲載されていたのも有り難かった。なにより他ではあまり得られなかった、薬師丸ひろ子、原田知世、渡辺典子の “角川三人娘” の情報を求めて愛読していた同世代の読者は多かったことだろう。

実際、自分がバラエティ誌を毎月購入するようになったのも、薬師丸ひろ子が表紙の “映画『翔んだカップル』特集号” からだった。同作品は角川映画ではなかったけれども、薬師丸初主演映画として話題沸騰の作品で、かなりのページを割いた特集記事があり熱心に読んだ。同学年だった自分が彼女のファンであることを意識したのも同じ頃。気が付けば当時通っていた高校(ちなみに男子校)のクラスの大部分が彼女のファンになっていた気がする。

80年の夏休みに封切られた映画を観に劇場へ足を運んだのはもちろんのこと、既にレコード集めに注力し始めていた自分は雑誌から情報を得て、映画の主題歌と挿入歌のシングルを2枚と、サントラ盤のLPを買い求めた。今と違って好きなアイドルには容易に会うことが叶わなかった時代、モノを集めることでその想いを埋めていたところは強かったのだ。

雑誌のバックナンバーを注文して買ったのもバラエティが初めてだった。創刊は77年10月号で判型も少し大きめ、在庫がある号すべてを注文することはさすがに出来なかったが、興味のある記事が載っている号を探して何冊かを買った憶えがある。それらに掲載されていた緻密なリポートのおかげで『犬神家の一族』に始まる角川映画への興味はますます高まり、原作の文庫本と共に関連レコードの収集にもますます力が入った。80年6月に公開された大作『復活の日』は音盤も豊富で、当時の邦画では最も多くのレコードが出された作品ではなかっただろうか。

主題歌「ユー・アー・ラヴ」のシングル盤は、サウンドトラックのジャニス・イアン(コロムビア)をはじめ、日本語カヴァーの前野曜子(コロムビア)、アンリ菅野(東芝EMI)、宮下真希子(テイチク)、演奏ものではサントラのニューヨーク・ストリングス(コロムビア)にラリー・ネルソン・オーケストラ(キング)と、自分が把握しているだけでも6種類もある(もしほかにもあればぜひご教示ください!)。当時はすべて買えずに後から中古で買い集めた。サントラLPも含めて、これらを全部揃えるのには結局10年近くかかってしまった。

81年、われらが薬師丸ひろ子の『翔んだカップル』に続く主演作『ねらわれた学園』は満を持しての角川作品。映画のために書き下ろされたユーミンの主題歌「守ってあげたい」は先行して6月21日に発売されており、それから映画が封切られる7月11日までは本当に待ち遠しかった。

まだ映画館が入れ替え制でなかった時代、同時上映のたのきん映画『ブルージーンズメモリー』を間に挟みつつ、一日に3回も観たのだった。バラエティでは当然記事も豊富で、別冊の特集号も出された。これは今でも宝物。裏表紙のカルピスソーダの広告写真も眩しい。

唯一残念だったのは公開当時にサントラLPが出されなかったことで、そのことを逸早く察知した自分は、小型テープレコーダーを劇場に持ち込み、密かに録音して家で余韻を楽しんだことを告白する。音だけとはいえ立派な映画泥棒である。既に時効であろうと赦しを乞いつつ、この場を借りて懺悔したい。

『ねらわれた学園』に続く主演作『セーラー服と機関銃』では遂に歌手デビューも果たした薬師丸ひろ子。その彼女への熱の高まりは、バラエティを最も熱心に読んでいた時期とちょうど重なる。

雑誌としてのピークもこの前後2~3年だったとおぼしく、終刊は86年6月号であったという。最後まで毎号買い続けるには至らなかったが、角川映画のレコードはその後も三人娘の作品だけでなく『悪霊島』に『化石の荒野』に『蒲田行進曲』と、しつこくサントラ盤を集め続けた。

今、たまたま手元にある81年5月号を見てみると、表紙にもなっているクイーンと薬師丸ひろ子の共演のほか、沢田研二『魔界転生』クランク・イン、大塚康生インタビュー、蝦名由記子、石原真理子、荻野目慶子らの女優グラビアに、極めつけは大瀧詠一と鈴木慶一の対談で、発売されたばかりのアルバム『A LONG VACATION』について存分に語られている。

こんな面白い雑誌があった80年代に多感な時期を過ごせた僕らはなんて幸せだったのだろう。

2017.12.11
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  YouTube / 松任谷由実


  YouTube / 映画 KADOKAWA
 

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カタリベ
1965年生まれ
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