11月1日

80年代女子高生の恋愛事情〜レベッカ「76th Star」できらめいて

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レベッカのアルバム「REBECCA IV 〜Maybe Tomorrow〜」がリリースされた日(76th Star 収録)
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photo:SonyMusic  

とりあえず都心の女子校に進学すれば、恋も友情も勉強も、充実した高校生活が送れると思っていた。

友情や勉強は、まぁ、いい。
やっかいなのが「恋」。
出会いって難しい。

でも、1980年代といえば、空前の女子大生ブーム。女性向けファッション誌では、ゴージャスな装いの女子大生が大量のブランド品をひけらかし、男性誌では、女子大生の座談会がレギュラー化。

「こんな男がモテる!」や「女性が喜ぶデートコース」、「こんな男には幻滅!」などのテーマの座談会が開かれ、派手に着飾った女子大生たちが勝手きままに語っている。一部の高飛車な意見が、この時代の指標となっていたすごい時代だ。

その影響を少なからず受けるのが高校生である私たち。ただ漠然と共学よりは女子校の方が、きらびやかで楽しい高校生活が送れるのではないか? と錯覚して女子校に進学した人は、きっと私だけではないはずだ。

女子高生たちは女子大生ブームの陰に隠れてしまっているけれど、渋谷の “チーム” の原点は私たちの時代が作ったし(チーム・・最初は複数の有名附属高校の男子がイケメン度を競うサークルみたいなものでした)、ミニ丈の制服に市民権を与えたのも、ルーズソックスになる前のクシュっとした靴下も、後の女子高生ファッションの原点をつくったのは、渋谷で遊んでいた女子高生である私たち。

窮屈な制服をいかにかわいく、いかに魅力的にみせるかを、ずいぶんと研究してきた。小物とメイクと髪型と。校則ぎりぎりラインで精一杯おしゃれする。すべては、「輝く自分になる」ため。そして、素敵な恋をみつけるために。

そんなときに聴いていた曲。レベッカの「76th Star」。
イントロが短くて、すぐにインパクトのある歌詞が耳に飛び込んでくる。

 星くずたちよ聞いて 私 約束するよ
 世界中の誰より 輝いてみせるって

歌詞に自分の状況を重ねて妄想する。
“世界” = “私をとりまく世界” で輝きたい。

高校生の私たちが考える “輝き” は単純だ。かわいくなることが輝くことだと思ってる。友人たちから 「かわいい!」 という言葉を貰えたら、それだけですべてが上手くいく気にさえなってしまう。

恋をみつけるためには行動も必要だ。 
女子高生が考える出会いを求める行動なんて3つくらい。 

1)男子校の学園祭に行く
2)中学時代の同級生や先輩
3)合コン

1)学園祭は、開催される時期によっては定期試験と重なってしまい、あまり期待できない。
2)中学時代の交友関係を手繰り寄せる出会いは、選択率が低い。“過去” のイメージが強いんだよね、たぶん。
3)合コンは、“出会いに対して意識が高い人が参加するはず” との仮説から、「とりあえず、これに賭けてみよう」という気になる。出会いを求める者同士が協力し合い、あらゆるコネを駆使して合コンを設定。合コンの情報はクラス全員で共有する配慮を欠かさない。

―― さて、当日。
見様見真似でセッティングした高校生の合コンはというと、ジュースでカンパイ。かわいいもんだ。

しかし、3回目くらいでふと気づく。知り合いは増えても、ぜんぜん恋に発展しない。初対面の相手に気疲れもする。合コンに出合いがあるなんて錯覚だ。合コンなんて高校生にはまだ早すぎたのか、そもそもご縁がなかったのか。

歌詞はこう続く、

 アナタがアタシの総てを変えたわ
 探しつづけてた 心のカギ 扉をひらけば

このたった2行の歌詞から、深く愛され、満たされていて、この出会いで自分の可能性が広がったことが伝わってくる。そんな素敵な相手とどこで出会えるの? 誰か教えて欲しいもの。

出会う相手を妄想する。性格、ルックス、シチュエーション。友人たちと “妄想物語” を語り合うのはいつだって盛り上がる。そして、最後はいつも「恋したら、きっときらめくはずだよね」って笑いあう。

妄想物語を話せば話すほど、イメージがどんどん高まって、もう今日にでも出会っちゃうんじゃないかって、いやいや、もうすでに体験済なんじゃないかって思うくらい、そのイメージに深く馴染んでいく。

 暗い銀河さまよい やっと気づいたの
 トランジスタなBodyもみがけば光だすって
 ・・・世紀に一度舞いおりるエンジェル

ぽっちゃりとした今の体型は大嫌い。小鹿のようにスリムだった体型はどこへやら。もう一度、以前のようなスリムな美しいBodyを手に入れたい。この迷走状態を抜け出して、幸せになりたいよね。天使がいるのなら、どうか私に舞い降りて。

 もしもブルーな時は ほら想い出してごらん
 微笑みは永遠の チャンスの呪文だって

理想と現実ギャップに凹んでも、最後に歌詞が背中を押してくれる。“そうだ、笑顔でいよう。笑顔を忘れないようにしょう” って。

 信じてる何かを つぶやいたら 明日が見えるよ

...確かにそうだ。迷ったときほど前を向かなきゃ。
そして今日もまた、曲の世界に入り込む。曲の世界にイメージを重ね、幸せな気分に包まれる。理想が現実になる日を夢見て。


2017.03.05
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  YouTube / foster5foster
 

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1967年生まれ
時の旅人
そうなんですよね。高校時代の合コンは、男女とも「どうやって格好良く見せるか」「どうやって可愛く見せるか」と自分に重点が置かれちゃうんですよね。甘酸っぱい想い出です。
2017/03/10 14:51
1
返信
カタリベ
 ポリ
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