最近は外で食事をしている時に、幸か不幸か、お店のサプライズ演出に遭遇することがある。そう、誕生日のお祝いだ。突然店内が真っ暗になったと思ったら、数名の店員(大抵はイケメン系の若者)が歌いながらロウソクの立てられたケーキを運んでくるのだ。歌うのはもちろん「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデー ディア ○○さん、ハッピーバースデートゥーユー」というアレである。
お祝いをされている当人がロウソクの火を消して、周りの人たちが拍手をしたところで演出は終了。今ではお客の方も慣れたもので、赤の他人だというのに、一緒に歌ったり手拍子をしたりする人も多い。つくづく日本人も変わったなぁと思う。だが、僕はこの「お誕生日のうた」がどうにも苦手だ。気恥ずかしいったらありゃしない。
もちろん僕も人の子なので、幼い頃には友達を自宅に呼んで誕生日パーティをやったこともあるし、そんな時は必ずこの歌をみんなで合唱した。でも、学年が上がるにつれて、こういうお祝いの仕方もこの歌もだんだん恥ずかしくなり、いつしか周りの誰もやらなくなっていった。こうして誕生日のお祝いが日常から消えて久しくなった頃にリリースされたのが、スティーヴィー・ワンダーの「ハッピー・バースデイ」だ。
アルバム『ホッター・ザン・ジュライ』からシングルカットされたこの曲は、とにかく使い勝手が良かった。何しろディスコでそのまま流せる曲調だったし、洗練されたポップス作品に仕上がっていたことで、「お誕生日のうた」にあった気恥ずかしさは微塵も感じさせなかった。元々この曲はマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の誕生日(1929年1月15日)を祝日とするためのキャンペーンソングとして書かれたものだが、非英語圏にいる僕たちはそんなことなど考えもせずに、誕生日近くの女子を隣に乗せたクルマでかけまくったものだった。
それはともかく、せっかくなので最近のスティーヴィーの映像をご覧頂きたい。2011年のビヨンセ、2013年のクインシー・ジョーンズ、2016年のヒラリー・クリントン、それぞれの誕生日を祝ったものだ。改めて言うまでもないが、この曲は今では立派なスタンダードナンバーである。
Song Data
■Happy Birthday / Stevie Wonder
■作詞・作曲・プロデュース:Stevie Wonder
■発売:1981年7月
■Hotter Than July / Stevie Wonder ※アルバム
■発売:1980年9月29日
Billboard Chart&Official Charts
■Happy Birthday / Stevie Wonder(81年8月6日 全英2位)
■Hotter Than July / Stevie Wonder(80年11月8日 全英2位、12月6日 全米3位)
※2017年2月5日に掲載された記事をアップデート
2019.05.13
YouTube / Beyoncé
YouTube / Quincy Jones
YouTube / Breakfast Club Power 105.1 FM
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