共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.41
Easy Lover / Phil Collins&Philip Bailey
80年代において、スーパースター同士によるデュエット大ヒットソングといえば――
■エンドレス・ラブ<81年1位> ダイアナ・ロス&ライオネル・リッチー
■ガール・イズ・マイン<82年2位>、セイ・セイ・セイ<83-84年1位> マイケル・ジャクソン&ポール・マッカートニー
■エボニー・アンド・アイボリー<82年1位> スティーヴィー・ワンダー&ポール・マッカートニー
■オン・マイ・オウン<86年1位> パティ・ラベル&マイケル・マクドナルド
■愛のおとずれ(I Knew You Were Waiting For Me)<87年1位> アレサ・フランクリン&ジョージ・マイケル
といった作品が思い浮かぶ。
フリオ・イグレシアス&ウィリー・ネルソン「かつて愛した女性へ(To All The Girls I’ve Loved Before)」(84年5位)なんて変わり種を覚えている方も多いだろうか。
そんな中でも、最も意表を突かれたコラボ、そして極めて80年代テイストの派手なダンサブルチューンならば、80年代39番目に誕生したナンバー2ソング、フィル・コリンズ&フィリップ・ベイリー「イージー・ラヴァー(Easy Lover)」(85年2月2週2位)をおいて他にない。
英プログレバンドのドラム / ヴォーカルだったフィル・コリンズと、70年代~80年代初頭のディスコシーンをけん引した米ファンク / ソウルグループ、アース・ウィンド&ファイアーのリードシンガーであるフィリップ・ベイリーがコラボ! 誰もが予想だにしなかったこの異色のタッグは、予想以上のケミストリーを生み出して、世界的な大ヒットを記録している。
フィル・コリンズは、ジェネシスとして初のトップ10ヒット「ザッツ・オール」(84年6位)を輩出。彼は並行してソロシンガーとして活動し「恋はあせらず(You Can't Hurry Love)」(83年10位)を経て、初ナンバーワンソングとなった「見つめて欲しい(Against All Odds)」(84年)をヒットさせた直後だった。
かたや、80年代以降勢いは衰えたとはいえ、70年代中盤からヒットチャート上位の常連。数々のディスコヒット、ダンスクラシックスの定番を残してきたアース・ウィンド&ファイアーのリードシンガー、生きる伝説となりつつあったフィリップ・ベイリー。
この2人のコラボレーションは当然のように大きな話題となり、地上波テレビでPVを目にした方も多かったと推測する。
キャッチーで派手でバブリー、いわば3拍子揃った作品だった(笑)。80年代中盤期のゴージャス・ダンサブルヒットのひな形みたいな役割を果たしており、「イージー・ラヴァー」は、極めて日本のディスコでも大いに受けていた。
そもそもジェネシスがフィルを前面に押し出して、ポップ・フィールド進出の取っ掛かりとしたのが、アース・ウィンド&ファイアーのホーンセクションを導入してヒットさせた「ノー・リプライ・アット・オール」(81年29位)であった。
フィル自身も「イージー・ラヴァー」直後に、「ワン・モア・ナイト」「ススーディオ」「セパレート・ライヴス」と85年だけでも3曲のナンバーワンを獲得しているし、ジェネシスも翌86年唯一の全米制覇曲「インビジブル・タッチ」を残したりと、この頃のジェネシス周辺は飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
「イージー・ラヴァー」が並み居る全米ナンバーワンソングに負けず劣らず、80年代洋楽を代表する1曲になっていることもあるが、いろんな意味でフィル・コリンズは、フィリップ・ベイリーに足を向けて寝ることが決して許されないのである。
2017.11.09
YouTube / EarthWindandFireVEVO
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