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イーグルス創設メンバー「ランディ・マイズナー」ウエストコーストロック最後の良心

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photo:SonyMusic  

ランディ・マイズナーの魅力、まっすぐな意志とナイーヴな感性


ランディ・マイズナーのよく伸びるハイトーンヴォイスを聴くたび、胸に切ない風が吹き抜けていく。純粋でまっすぐな意志と、それを貫き通すには繊細過ぎる感性が、アンバランスな魅力となって溢れ出てくるからだ。

例えばイーグルス時代の代表作「テイク・イット・トゥ・ザ・リミット」では、「♪ もう1度限界まで行ってみたい」という歌詞の向こう側に、若者らしいナイーヴな感情の移ろいを感じ取ることができるだろう。

僕を惹きつけたのは、ランディのそうした自分の弱さと向き合う誠実さや心優しさだったように思う。同時に、彼は自分の気持ちに正直に行動し、周囲に流されることを良しとしないところがあった。ポコでのデビューが決まっていたのに、デビューアルバムの制作途中で脱退し、イーグルスでは「ホテル・カリフォルニア」が大ヒットする渦中でバンドを去っている。そんな向こう見ずでまっすぐなところも、またランディ・マイズナーなのだ。

エリック・カズ、ウェンディ・ウォルドマンとの共同作業


1980年10月にリリースされた2枚目のソロアルバム『ワン・モア・ソング』は、そんなランディのハートフルな魅力が遺憾なく発揮された傑作だった。34歳になりイーグルス時代のようなハイトーンは聞かれなくなったが、その分温かい人柄がじんわりと伝わり、歌声に静かな説得力が滲むようになった。

ソングライティングの面では、収録曲の多くを共作したエリック・カズとウェンディ・ウォルドマンが素晴らしい仕事をしている。おそらく互いの相性が良かったのだろう。特にエリック・カズは繊細な作風が魅力の人なので、よくわかる気がする。この3人による共同作業が、本作だけで終わってしまったのは残念でならない。

ウエストコーストロックの最後の良心「ワン・モア・ソング」


スマッシュヒットを記録した「ディープ・インサイド・マイ・ハート」(全米22位:キム・カーンズと共演)と「ハーツ・オン・ファイア」(全米19位)はアップテンポなロックチューンで、ランディが生来もっている明るさや、生きることへの前向きな気持ちが伝わってくる。

しかし、アルバムの白眉はやはり、ランディの優しい歌声を堪能できるスローナンバーだろう。温かな人柄が飾らない美しいメロディーに滲み、そっと聴き手に寄り添ってくれるのだ。こうした控えめな優しさは、ドン・ヘンリーやグレン・フライのアルバムでは味わうのことのできないランディ・マイズナーならではの魅力と言えるだろう。

僕がイーグルス元メンバーのソロアルバムで最も好きなのが、この『ワン・モア・ソング』だ。聴くたびに、かつて栄華を誇ったウエストコーストロックの最後の良心に触れたような、そんな気持ちにさせてくれるのだ。

いつかまた、あの心優しい歌声が聴きたい…


ランディ・マイズナーは、2004年に心臓の病気を患って以来、ほとんど表立った音楽活動を行っていない。また、長年に渡るアルコールの問題や精神疾患などにより、24時間体制で生活全般を管理されるようにもなった。2016年3月には、夫人がライフル銃の暴発で亡くなるという悲しい事故も起きている。

現在、ランディがどんな心持ちで日々を過ごしているのか、僕にはわからない。でも、いつかまた音楽と向き合う気持ちになってくれることを願っている。1曲でも2曲でも構わない。あの誠実で心優しい歌声を、また聴かせてほしい。

2020.03.08
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  YouTube / RandyMeisnerVEVO
 

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カタリベ
1970年生まれ
宮井章裕
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