5月21日

ポスト堀ちえみ? 清純派路線の正統派、島田奈美は試練の86年組

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島田奈美のデビューシングル「ガラスの幻想曲(ファンタジー)」がリリースされた日
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80’s Idols Remind Me Of… Vol.20
島田奈美 / ガラスの幻想曲(ファンタジー)

ロリータ清純派路線! 島田奈美は徹底的な正統派


豪華絢爛だった80年代女性アイドルシーンの中において、“ロリータ清純派路線” な可愛さを前面に押し出して、徹底的な正統派スタンスを貫いていたアイドルといえば、堀ちえみと島田奈美が双璧ではないだろうか。82年デビュー組の堀ちえみに比べたら、86年デビューの島田奈美の知名度が、愕然と落ちるのは否めないが… いまだに熱狂的ファンが存在するほどに、島田奈美の人気は実に根強いものがあるようだ。

80年代後半のアイドル事情、トップ軍団の牙城を崩すのは至難の業!


島田奈美のデビューシングル「ガラスの幻想曲(ファンタジー)」がリリースされたのは、1986年5月21日だった。80年代後半にデビューした中で、後世まで語られる名実ともに大きな実績を残したアイドルは、おニャン子派生のソロ組、Wink、森高千里、そして(80年代ギリギリの89年組の)乙女塾系(CoCoとribbon!)といったところ。

そんな中でも特に86年は分が悪く、既存組ビッグネーム~中森明菜(「Desire」「ジプシー・クイーン」等)、小泉今日子(「100%男女交際」「夜明けのMEW」「木枯らしに抱かれて」)は安定路線に乗り、全盛期のおニャン子クラブからは国生さゆり、城之内早苗、高井麻巳子、新田恵利、福永恵規、渡辺満里奈、渡辺美奈代らがソロデビュー… よほどの鳴り物入り新人でない限り、このアイドル戦線のトップ軍団の牙城を崩すのは、至難の業だったということだ。

島田奈美を筆頭に、浅倉亜希、相楽ハル子、杉浦幸、西村知美、藤井一子、山瀬まみら86年デビュー組が(決して不作ではないのだが!)束になっても適わなかった、という時代背景があった。

デビューシングル「ガラスの幻想曲(ファンタジー)」に隠された秘密


ところで「ガラスの幻想曲」、サビ部分の冒頭にこんな歌詞がある。

 なぜ、いじめるの?

この言葉… ロリータ清純路線の受け手側にとっては、様々な隠微な事象を想起させる実に効果的な言葉なのだ。たとえ直接的想起はなくても、聴き手の深層心理に必ずやある種隠微な気持ちを植え付ける。島田奈美だからこそ、この言葉に痺れさせられた少年は多数いたはずだ。

そしてこの「なぜ、いじめるの?」という歌詞、一言一句全く同じフレーズが盛り込まれていたのが、堀ちえみ「とまどいの週末」(1982年)である。デビューから壮大な5部作を繰り広げたうちの、4作目にあたる名曲だ。これは偶然というレベルのものではないし、島田奈美側は明らかに、堀ちえみへのモチーフ / リスペクトをコンシャスに表現していたと言えよう。サビの締めで「とまどいの幻想曲(ファンタジー)」と歌っているに至っては、何をか言わんや、だ。少なくともデビュー時の島田奈美は、ポスト堀ちえみのスタンスで臨んでいたことがわかる。

アイドル冬の時代、キラキラ輝いていた忘れられない笑顔


島田奈美は、80年代後半のアイドルシーンの中では健闘していた方だし、一部のアイドルファンには大きな爪痕を残している。アイドル冬の時代に向かっていく中、90年の歌手引退までコンスタントな作品リリースはかなり立派だった。

後に「Sun Shower」リミックス等がダンスミュージック(特にハウスミュージックシーン)で脚光を浴びたり、引退後は島田奈央子名義で音楽ライターをやっていたり、特異な立ち位置にいる島田奈美。少なくともキラキラ輝いていた15歳から19歳(86~90年)の彼女の笑顔は、永遠に忘れることはないだろう。


※ KARL南澤の連載「80's Idols Remind Me Of…」
80年代の幕開けとともに、新たなアイドルシーンが増幅・形成されていった。文字通り偶像(アイドル)を追い求めた80年代を、女性アイドルと、そのヒットソングで紐解く大好評連載。

■ 石川ひとみ「まちぶせ」デビューから3年、11枚目のシングルで大ヒット!
■ 堀ちえみ「待ちぼうけ」竹内まりやから女性アイドルへの楽曲提供第1号
■ 80年代最大の問題作!おニャン子クラブ「セーラー服を脱がさないで」
etc…


2020.05.06
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カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
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