7月5日

80年代最大の問題作!おニャン子クラブ「セーラー服を脱がさないで」

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80's Idols Remind Me Of… Vol.17
セーラー服を脱がさないで / おニャン子クラブ

80年代最大の問題作「セーラー服を脱がさないで」の歌詞は反則?


初めて「セーラー服を脱がさないで」を耳にしたのは、テレビ番組『夕やけニャンニャン』だったのか、発売日に購入したシングル盤だったのか、今となってはちょっと記憶があいまいなのだが… その時に受けた印象は鮮明に覚えている。

ええええ!?
これって反則じゃないの!?
ええええ!?

それはもうまさしく耳を疑ったという表現が最適ともいえる衝撃の内容だった。いや、衝撃なんて生易しいものではなく、正直言って “嫌悪感” さえをも抱くほどだったかもしれない。本気でアイドルソングの将来に危惧を感じさせるほどに、暗澹たる気持ちにまでなったことは、否定できない事実だった。

その内容とは… 2番に登場するこの言葉だ。

アイドルソングの不文律、それは “処女性のキープ” だったのに…


 デートに誘われて
 バージンじゃつまらない

 ちょっぴり怖いけど
 バージンじゃつまらない

アイドルソングの不文律として、あるいは送り手側と受け手側の暗黙の了解として、“処女性のキープ” というのは、絶対的に存在していた。それをやんわりと否定する絶妙な比喩表現 / 暗喩表現が施されることはあっても、最終的に “処女性のキープ” は必ずと言っていいほどに盛り込まれていた。もちろん80年代以降は、その比喩表現に悶々とさせられ、狂喜乱舞させられるわけだが… それは件の暗黙の了解という前提条件あってのことだった。

80年代突入以降、爆発的ブームとなった『なんとなく、クリスタル』、フジテレビが標榜した“軽薄短小”、女子大生ブームから女子高生ブームを背景とした性のカジュアル化、そして来るバブル時代前夜の世の中に蔓延した喧騒感… こういった時代の雰囲気を踏まえた上でも、やっぱりアイドルソングにおけるこの直截的表現には、嫌悪感を抱かざるをえなかった。

秋元康のA級戦犯的表現?「週刊誌みたいな エッチをしたいけど」


秋元康氏による歌詞は、確信犯的とはいえ相当の試行錯誤と綿密なマーケティングの末につけられたのだろう。それにしてもこの表現は直截的すぎるし、誤解を恐れず言うならばある意味安易とも受け取られかねないニュアンスを伴っていた。

もちろん「♪ 全てをあげてしまうのは もったいないから… あげない」「♪ キスから先に進めない 臆病すぎるの」という表現で暗黙の了解は守られているだろうし、「♪ 嫌よダメよ こんなところじゃ」「♪ 男の子はその時 どうなるの?」等のギリギリセーフな悶々ポイントも存在している。

でもなあ…

やっぱり「♪ 週刊誌みたいな エッチをしたいけど」は、A級戦犯的表現だよなあ。その後さまざまなアイドルグループがこの曲をカバーしているが、それを耳にするたびに複雑な気分になるのは、筆者だけではないのでは。

1985年7月5日に発売された「セーラー服を脱がさないで」は、オリコンシングルウィークリーランキング最高位5位、公称51万枚をセールスした大ヒットシングルとなった。


※ KARL南澤の連載「80's Idols Remind Me Of…」
80年代の幕開けとともに、新たなアイドルシーンが増幅・形成されていった。文字通り偶像(アイドル)を追い求めた80年代を、女性アイドルと、そのヒットソングで紐解く大好評連載。

■ 岡田有希子と竹内まりや、80年代の革新が普遍化した「ファースト・デイト」
■ 早見優「急いで!初恋」キラキラ眩しくキャッチーな、弾ける極上ポップソング
■ 倉沢淳美「プロフィール」日本国民の娘 “かなえ” が歌う自己紹介ソング♪
etc…

2019.12.12
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カタリベ
1962年生まれ
KARL南澤
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