80年代のヒットに欠かせなかったMTV。そのMTVの力をまざまざと感じさせられた作品がa-haの「テイク・オン・ミー」ではないでしょうか? まさに80年代MTVを代表する1曲、いやエイティーズ洋楽を代表する1曲と言えるかもしれません。このミュージックビデオにはホントに驚きました。アイデア、バンドキャラ、アニメーション(ロトスコープというらしい)、編集、楽曲のすべてがフィットした見事な作品だといまだに思います。
エンディングではちょっとホロっとさせ、ちゃんとしたストーリーも据えられていて、甘っちょろいポップソングでは終わらない、優れたコンセプトの作品でした。メンバーもイケメンだし、「これは売れるなー」と思った矢先にすぐ大ヒット、と同時に「いい曲過ぎるのとインパクトが強すぎて次の曲、次のアルバムを同じくらいヒットさせるのは大変だろうな」とも思いました。当時の洋楽シーンの中でもあまり馴染みのないノルウェー出身、なんとか一発屋で終わらないでくれ、とも。
「テイク・オン・ミー」だけではない、アルバムの完成度の高さも彼らを応援したくなる要因のひとつでした。ヴォーカル、モートン・ハルケットのファルセットを多用する透き通った美しい歌声(なんとなく北欧をイメージしますねぇ)、「シャイン・オン・TV」や「ハンティング・ハイ・アンド・ロウ」などにみられるようなドラマチックで叙情的なメロディーにシリアスな歌詞の楽曲など、本当によくできたアルバムです。
その後「テイク・オン・ミー」ほどのインパクトとヒットは続きませんでしたが、一発屋で終わることなく彼らは頑張りました。87年には「007 リビング・デイライツ」の主題歌を担当(これは名曲!)、90年頃にはマンダム・ギャッツビーのCMに本人達も出演、2010年の解散までコンスタントにアルバムも発表し続けました。欧州中心にその人気は定着していたのです。
最近ではキーボードのマグネ・フルホルメンが、ビートルズに憧れる若者を描いた映画「イエスタデイ」のサントラを担当、モートンもソロ作をリリースするなど、メンバーそれぞれが様々な活動を続けてますし、本国では勲章ももらってます。再結成もちょくちょくおこなってますし、来日公演も過去6回おこなわれ、サマソニだって出てます。
「テイク・オン・ミー」のインパクトが強すぎるので、それしか知らない人もたくさんいるのも事実(次のシングル「シャイン・オン・TV」のミュージックビデオが続きになっているのもあまり知られてないかも)。しかしながら10枚以上リリースしているアルバムも好作品揃いですので(最初の3枚だけでもいいので)ちょっと聴いてみてください。バンド名の軽いイメージとは対照的に聴きごたえアリですよ!
2017.01.30
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