ガンズ・アンド・ローゼズの1991年の3枚め(と4枚め?)のアルバム『ユーズ・ユア・イリュージョン』が『Ⅰ』と『Ⅱ』の2枚で同日リリースされた時のインパクトは未だ忘れ難い。各国で当然の如く1位と2位を独占した。しかしポール・マッカートニーファンには更に目を見張ることがあった。ポールが1973年にウイングスで発表した、代表曲の1つ「007 死ぬのは奴らだ(リヴ・アンド・レット・ダイ)」を、ガンズが『Ⅰ』でカヴァーしたのである。
’80年代のポールは、ジョン・レノンの不慮の最期の余波もあり相対的に評価が下がっていった。特に中盤以降セールス的にも作品内容的にも苦戦。’89年に名作『フラワーズ・イン・ザ・ダート』を発表し10年振りにツアーに出て第一線に返り咲くのだが、1991年には未だ’80年代のポール低評価の残り香は十分にあったと思う。
そのタイミングで当時絶頂を極めたガンズによるポールのカヴァーである。しかもオリジナルに十分なリスペクトの払われたカヴァー。当然ながらポールファンは快哉を叫んだ。辛かった’80年代はこれで完全に終わった。とある高名な音楽評論家の方が「ガンズがこの曲を初めてロックにした」などと宣っていたが、最早さほど気にもならなかった。
ガンズはこの曲を’91年12月に『ユーズ・ユア・イリュージョン』シリーズからの3枚めのシングルとしてカットした。アメリカでこそ最高33位とポールの2位には及ばなかったが、イギリスではポールの最高9位を上回る5位を記録した。2年後の1993年、ポールは復活第2弾の世界ツアーでこの曲を歌う前「最近、とあるグループがこの曲をカヴァーした」とMCで語っていた。ポールにとっても誇らしかったに違いない。そしてこの後もポールはこの曲をツアーで歌わなかったことが無い。パイロ等特殊効果をふんだんに使った派手な演出はコンサートのハイライトだ。
そして驚くなかれ、ガンズもこの曲をツアーで欠かしたことが無い。1992年~93年の “ユーズ・ユア・イリュージョンツアー” では当然のこと、オリジナルメンバーがヴォーカルのアクセル・ローズ1人になっても、2002年、07年、09年、12年の日本公演でも毎回登場。ポールと同じ様なパイロや炎を使った演出も見せた。『ユーズ・ユア・イリュージョンⅡ』でカヴァーされたボブ・ディランの「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」同様、ガンズのライヴに欠かせない重要なナンバーとなったのである。
そのガンズがまもなく5年振りの日本公演を行う。しかもギターのスラッシュ、ベースのダフ・マッケイガンという2人のオリジナルメンバーが復帰し、キーボードのディジー・リードを含め『ユーズ・ユア・イリュージョン』時のメンバーが4人揃うことになる。この4人が24年振り!に日本で披露する「リヴ・アンド・レット・ダイ」はやはり必見であろう。4月にポールも日本で「007 死ぬのは奴らだ」を歌う今年なのだから尚のこと。
2017.01.20
YouTube / GunsNRosesVEVO
YouTube / PAUL McCARTNEY
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