カルチャー・クラブとデュラン・デュラン、まったく同時期に米国でヒット!
80年代のビルボード・シングルチャートを席巻した第2次ブリティッシュ・インベイジョン… その本格的な、まさしく “侵攻” が始まったのは、デュラン・デュランとカルチャー・クラブという、ムーヴメントを象徴するような2大スターが揃ってブレイクした1983年以降のことだった。
それぞれの世界的ブレイクのきっかけとなった作品が、デュラン・デュラン「ハングリー・ライク・ザ・ウルフ」、カルチャー・クラブ「君は完璧さ(Do You Really Want To Hurt Me)」で、奇しくも両者はまったく同時期にヒットを記録した。
そう、80年代25番目に誕生したナンバー2ソングは、カルチャー・クラブの「君は完璧さ」(1983年3~4月3週2位)である。
ボーイ・ジョージの突出したキャラクターとビジュアルインパクト
MTV隆盛の波に乗る形で、PV発信のビジュアルを前面に押し出す戦略は共通項だろうが、女性人気を基盤とした “黄色い歓声” に支えられたデュラン・デュランに比して、カルチャー・クラブはボーイ・ジョージという突出したキャラを中心としたある種の “キワモノ、イロモノ感” を醸し出す演出がなされていた。
いずれにせよこのカルチャー・クラブにとって世界的な出世作となった「君は完璧さ」のヒットは、ゲイファッションに身を包んでソウルフルに歌い踊るボーイ・ジョージのビジュアルインパクトによるところが大きかったのは紛れもない事実だ。
日本でもようやく21世紀に入って、ゲイタレント枠やLGBTの概念が定着し始めているが、83年という時代にそれをお茶の間に堂々と披露したカルチャー・クラブの功績は、今考えれば絶大だったと言わざるを得ない。
極上のポップミュージック「君は完璧さ」キワモノ感を払拭!
「君は完璧さ」は、後に唯一のトップ獲得となった「カーマは気まぐれ(Karma Chameleon)」に匹敵するほど、カルチャー・クラブのレパートリーにおいては最も共有感が高い作品だ。他のちょっとしたナンバーワンソング以上に、ナンバーワンの風格みたいなものを備えている印象を与えてくれる。
それは楽曲自体が持つヒットポテンシャルもさることながら、後に連発されたヒット曲群がボーイ・ジョージのシンガーとしての高いレベルをまざまざと見せつけてくれるキワモノ感を徐々に払拭するような極上のポップミュージックであったからであろう。
カルチャー・クラブの実力に培われ、グループにとっての代名詞的存在に押し上げられたのが「君は完璧さ」だったのだ。もっともこの普遍的な失恋ソングは、ボーイ・ジョージがメンバーのジョン・モスに宛てたものと言われている。
そしてカルチャー・クラブはほどなくして、次のナンバー2ソングを誕生させる。詳しくは
『世界的大ヒットへの絶妙な布石、カルチャー・クラブのナンバー2ソング』で!
※ KARL南澤の連載「共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味」
ジャンル、洋邦、老若男女を問わないヒットソングにある ‟共有感”。米ビルボードのチャートがほぼそのまま日本における洋楽ヒットだった80年代。ナンバーワンヒットにも負けず劣らずの魅力と共有感が満載の時代に生まれたビルボードHOT100 2位ソングを紐解く大好評連載。
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etc… ※2017年5月30日に掲載された記事をアップデート
2020.06.14