共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.15
Slow Hand / Pointer Sisters
70年代から80年代にかけて最も成功した兄弟グループといえばマイケルやジャーメインを擁したジャクソン5(ジャクソンズ)が筆頭であろう。ならば姉妹グループといえば… いの一番に挙げられるのがポインター・シスターズだ。80年代13番目に誕生したナンバー2ソングは、ポインター・シスターズによる「スロー・ハンド」。
なかなか日本には伝わりにくかったのだが、特に70~80年代におけるポインター・シスターズの人気のほどは本国アメリカではかなりの高さを誇っており、日本での知名度とは大きな隔たりがあったと言わざるを得ない。アメリカではこの間に30曲以上のヒットソングをチャートに送り込み、7曲のトップ10ヒットを残している。
日本におけるポインター・シスターズの最大ヒットは、広い意味でのダンスクラシックス定番にもなっている「ソー・エキサイテッド」であり、六本木を中心に全国のディスコのピークタイムで結構重宝されてかかっていた作品だったので、バブル直前の83~84年頃の華やかかりしフロアを体験した方々にとっては、「おおー、この曲かあ」という共有感の最も高いレパートリーであろう。
加えて84~85年はダンサブルなポップR&B路線が功を奏して、「オートマティック」「ジャンプ」「ニュートロン・ダンス」と4曲連続のトップ10ヒットを放っており、グループの絶頂期でもあった。この時期の一連のヒットソングは、いかにも80年代風情の作風オンパレードではあるが、いわゆる80年代洋楽を代表する第2軍的な立ち位置にいながらもまぶしい輝きを失っていないのはさすがだ。
とはいっても実はポインター・シスターズの最大のヒットはというと、最高位2位を記録した「スロー・ハンド」であり(ブルース・スプリングスティーン作品のカバー「ファイア」もほぼ同規模のヒット)、一連の80年代ど真ん中なヒット曲たちに比べたら少し地味な印象かもしれないが、聴けば聴くほどに味が出る耳障りの良いミディアム調R&Bナンバー仕上がりは、彼女たちの実力が窺い知れるエバーグリーンな作品といえよう。
豪華絢爛キララ輝く第2次ブリティッシュ・インベイジョンが本格化する直前、ブラコン/AOR/フュージョン・ムーヴメントにさらりと乗った一服の清涼剤みたいなヒットソングだったのかもしれない。忘れ去られがちながらも、実は隠れファンが結構いたりする、そんな80年代初頭の最高位2位ソングが、「スロー・ハンド」なのだ。
脚注:
「Fire」(79年2週2位)
「Slow Hand」(81年8~9月3週2位)
「I’m So Excited」(82年初出 84年9位)
「Automatic」(84年5位)
「Jump(For My Love)」(84年3位)
「Neutron Dance」(85年6位 映画『ビバリーヒルズ・コップ』サントラから)
2017.02.07
YouTube / sexmex5
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