山下達郎プロデュース、村田和人の代表作「一本の音楽」
またか、である。今度は村田和人が亡くなった。62歳だそうだ。人は必ず死を迎える訳だが、自身のアイドルの訃報に接すると、体調に留意することよりも自分らしく生きようという気持ちがますます強くなる今日この頃である。
さて、彼の初期を代表する楽曲に「一本の音楽」という曲がある。山下達郎がプロデュースしたことでも知られるこの名曲は、マクセル(XL1 というカセットテープ)のCMソングにもなったので覚えている人も多いだろう。1983年、僕が高三になった春のことだ。
大好きな曲だったけど、正直な話、僕と村田和人の接点はここしかなかった。曲タイトル通り、まさに「1本の音楽」だけの付き合いだ。そんな僕が30年以上も経った今、しかも彼が亡くなったからといって何かを語るなんて非常におこがましい話だが、数日前にYouTubeで目にしたライブがあまりにも素晴らしすぎた。だから、遅いけど、ここに記したい。
心から楽しそうに歌う60歳の村田和人に思う…
映像自体はファンが撮影したと思われる1カメFIXの記録のようなもので、なんてことはない昼下がりのシーサイドライブである。じゃあ、何がいいかって、それは心から楽しそうに歌っている彼の姿。そして、音楽が好きで好きでたまらないことが伝わってくる彼の声だ。
強いよなぁ、って本当に思う。セットも照明もなく、音響設備すら不十分な屋外のイベント会場で、彼のファンだけを相手にしているわけでもないのにね。撮影されたのは、2014年のゴールデンウィーク。60歳の村田和人である。
ライブで圧倒! 村田和人が生みだすロックンロールなドライブ感
それにしても、この声はなんなんだ。僕は近年の山下達郎(村田の1学年上)のライブでそのコンディションに圧倒されっぱなしだけれど、それと全く変わらないじゃないか! しかも楽器はアコギ2本のみ(杉真理とのジョイント)。でも、そこから生み出されるロックンロールなドライブ感がたまらない。春の海風にのって村田和人はノリに乗っている。
驚いたことに、彼は全国の小さなライブハウスを中心に、2014年は111本、2015年にはなんと131本ものパフォーマンスを行っていた。亡くなってからこんな駄文を書き綴るより、1度でもライブに足を運ぶべきだったと強く後悔している。
そして、そういった情報がちゃんと交差する場所として、このリマインダーを育てていきたいと強く思っている。合掌
2021.02.22