「ブーン、ブン、アカラカラカブン!」 威勢のいい、インパクト大の掛け声。ウォズ(ノット・ウォズ)=Was(Not Was)の88年のヒット「ウォーク・ザ・ダイナソー」です。 前からそのバンドの存在は知ってはいたものの、バンド名同様いったい何者か? どんなジャンルの音楽なのか? 音楽誌等での情報ではいまいち理解できていませんでした。しかし彼らにとって3枚目のアルバム『ホワット・アップ・ドッグ?』からのシングル「ウォーク・ザ・ダイナソー」がヒットしたことによって日本のラジオでもようやく聴くことができるようになりました。 ミュージックビデオはフリントストーン風の衣装にアニメ『ダフィー・ダック』、恐竜ダンスと今見るとちょっと失笑してしまうかもしれませんが、楽曲は最高。ファンキーかつキャッチー、ホーンも効果的に入ってダンサブル。サウンドは当時の売れ線を意識したモダンな音づくり。スタジアムロックバンドのアルバムに通ずる抜けのいいエコー処理。もうこれは完璧でしょう。アルバム即買いでした。 すると他の楽曲も粒揃い。 分厚いホーンがかっこよくてタイトルの語呂も素晴らしい「愛のスパイ(Spy In The House Of Love)」、マーシャル・クレンショウが作曲に参加したセンチメンタルな「愛はバッド・ラック(Love Can Be Bad Luck)」、テンプスっぽい超ポップな「夜の出来事(Anything Can Happen)」、ブルース・ブラザースでも有名なオーティスの「アイ・キャント・ターン・ユー・ルーズ」も迫力満点、コステロとの共作「シャドウとジミー(Shadows & Jimmy)」はどこか「ラストダンスは私に(Save the Last Dance for Me)」に似ていてほのぼの。 あらゆる音楽の要素が見事にポップにまとめられてます。ロック、ブルース、ジャズ、ソウル、ファンク…。これこれこの感覚! アレサやオーティス、さらにはスティーヴィーやスライ、ストーンズやプリンスにも通ずるこの「ジャンルのごった煮感覚」。メチャメチャ好きですねぇ。 そもそもウォズ(ノット・ウォズ)とは、同級生だったデヴィッド・ウォズとドン・ウォズ(ともに芸名)が黒人ヴォーカリスト二人を擁して結成したグループ。まさかドン・ウォズがのちに大プロデューサーになるとはこの時は夢にも思ってませんでした。 ちなみにドン・ウォズがプロデュースを手掛けた主な作品は… B-52s 『コズミック・シング』 ボニー・レイット 『ニック・オブ・タイム』 イギ-・ポップ 『ブリック・バイ・ブリック』 ボブ・ディラン 『アンダー・ザ・レッド・スカイ』 ザ・ローリング・ストーンズ 『ヴードゥー・ラウンジ』 『ブリッジズ・トゥ・バビロン』 『ア・ビガ-・バン』 他にもジャクソン・ブラウン、ヴァン・モリソン、ジョン・メイヤーなど凄過ぎるアーティストの作品を数多く手掛けてます。そしてドン・ウォズは2012年にブルーノートの社長に就任しています。彼の人生のキャリアの中としてはウォズ(ノット・ウォズ)がいちばん弱い(笑)。 しかし、ウォズ(ノット・ウォズ)を聴いているとドン・ウォズによる王道プロデュースのワザのポイントや礎が掴めるような気がします。あと、趣味の良さもですね。 あなたも1枚は所有もしくは一度は聴いたことのあるドン・ウォズのプロデュース作品。ウォズ(ノット・ウォズ)といっしょに聴き比べなんていうのはいかがでしょうか?
2017.10.18
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YouTube / ShirleyPeanut
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