大藪春彦のハードボイルド小説を原作にした角川映画『汚れた英雄』のオープニング。全日本ロードレース選手権で主人公のバイクレーサーがライディングするその刹那、アメリカの歌姫・ローズマリー・バトラーの歌声が爆発する。レーサー目線のスピード感溢れる主観の映像と彼女の張りのある声で一気に持っていかれたのを思い出す。
当時は、突然湧いて出たというか聞いたこともない歌手の名前を耳にしてローズマリー・バトラーって誰??? と考えるよりも前に曲のかっこ良さだけでシングル盤を手にしていました(汗)。映画のテーマ曲「汚れた英雄(英題:Riding High)」が流行った頃はアイリーン・キャラの「フラッシュダンス」やボニー・タイラーの「ヒーロー」なんかもチャートを賑わせていたので一括りに覚えていたりして、いまだに洋楽と勘違いしている人も実際多いと思うけれど、実はれっきとした日本の曲なんですよ。
作曲は聖子ちゃんの「青い珊瑚礁」やトシちゃんの「恋=Do!」といったアイドルソングで一世を風靡した小田裕一郎さん。とにかくこの曲は商業ロックの匂いがプンプンしていてバタ臭くて良かったのと映画宣伝のTVCFで繰り返し流されたせいもあって大ヒットしていました。
ところで、ローズマリー・バトラーは、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、ジェームス・テイラーといった音楽史に名を残すそうそうたる面々のバックコーラスを務めていたそうです。下積みが続き一人のシンガーとしてアメリカでは思うような活躍が出来ずにいたところ、飛ぶ鳥を落とす勢いだった角川春樹氏の手で薬師丸ひろ子さんのように見つけ出された訳ですが、彼女はただの一発屋ではなく角川氏の下で多くの歌声を残しています。
『汚れた英雄』(1982年)のテーマ曲「汚れた英雄(英題:Riding High)」
『幻魔大戦』(1983年)のテーマ曲「光の天使(英題:Children Of The Light)」
『愛情物語』(1984年)の挿入歌「Chotto Matte Kudasai」 など。
汚れた英雄
劇場公開日:1983年(昭和58年)12月18日
2016.01.12
YouTube / bamboo3458
YouTube / Allan José
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