底抜けにポップでダンサブル、The B-52’s「コズミック・シング」で踊ろう！

The B-52’s 最高のダンスロックアルバム！

The B-52’s（ザ・ビー・フィフティートゥーズ）が1989年にリリースした４枚目のアルバム『コズミック・シング』は底抜けにポップでダンサブル、ほんのりサイケなムチャクチャ楽しいレコードだ。

それまでのThe B-52’sは、ポップな楽曲や面白いアイデアを持っているのにアルバム１枚通しての統一感や曲ごとのクオリティに差があるという印象が否めなかった。同時にこうした良い意味でのアマチュアリズムが魅力になっていたことも事実だろう。

ある意味、知る人ぞ知るバンドだったThe B-52’sが本作『コズミック・シング』では、ナイル・ロジャースとドン・ウォズというプロフェッショナルなプロデュサーを迎えたことにより、ポップ、ダンサブル、サイケという要素が適度に整理され、所謂 “おもちゃ箱をひっくり返した感” が丁度良い塩梅になっている。とにかく楽しい、最高のダンスロックアルバムなのだ。

本作はセールス的にも大成功し、アルバムはビルボード・チャート最高位４位、シングルカットされた「ラブ・シャック」「ローム」も同チャート最高位３位まで上がっている。シングルヒットした２曲のビデオクリップを見てみるとサイケデリックな雰囲気がよく分かる。カラフルな色使いの映像の中でメンバーが楽しそうに演奏し、歌い踊る姿を見ていると、とてもピースフルな気持ちになるのだ。

私は都内のクラブや音楽酒場でDJをやらせていただいているのだが、本作『コズミック・シング』はかなりの頻度でレコードバックに入れている、お気に入りの、使える１枚なのだ！

自由を求める時代の機運？ ピースフルな作品が続出した音楽シーン

さて、ここで本作がリリースされた1989年がどんな年だったのか確認したい。

日本では昭和が終わり平成が始まる。世界では、キューバ軍がアンゴラから撤退、ソ連軍がアフガニスタンから撤退、ハンガリーではオーストリアとの国境にある鉄条網を撤去し社会主義体制が崩壊、中国では天安門事件が発生、東西ドイツではベルリンの壁が崩壊、ルーマニアでは革命により非共産党政権樹立… 随分と堅苦しい話になってしまったのだが、このように世界中で人々は自由を求めて行動を起こしている。

“歌は世につれ、世は歌につれ” という言葉があるが、TheB-52‘sの『コズミック・シング』がカラフルでピースフルな作品になったのも時代の自由を求める機運や変革の兆しが影響し、多くの人々の共感を得たのではないだろうか？

また、1989年の音楽シーンでは、ティアーズ・フォー・フィアーズが『シーズ・オブ・ラブ』で愛と平和を歌い、ザ・ストーン・ローゼズがデビューアルバム『石と薔薇（The Stone Roses）』でサイケデリックな世界観を描き、デ・ラ・ソウルは『３フィート・ハイ・アンド・ライジング』でヒップホップとしては異質なポジティブでピースフルなヴァイブスを伝えている。

間違いなしのパーティーレコード、自宅のリビングをダンスフロアに！

2020年、世界は新型コロナウイルスの蔓延で鬱屈とした空気に覆われている。そんな状況の中、レディ・ガガの呼びかけで新型コロナウイルス感染症と闘う人々を支援するためのバーチャルチャリティーコンサート『One World：Together At Home』がライブ配信された。また、星野源の「うちで踊ろう」が配信され、多くの人々がステイ・ホームで音楽に癒されている。

癒しの音楽と同時に、ポジティブな音楽もコロナ禍のうつむきがちな日常を明るくしてくれる。The B-52’sの『コズミック・シング』は、そんな2020年をハッピーでピースフルにしてくれる魔法のレコードなのだ！

緊急事態宣言の解除とともに徐々に日常が戻ってきている。しかし、コロナ以前と同じようにライブやクラブでのDJイベントが楽しめるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。それまでの間、『コズミック・シング』を楽しんでみてはいかがだろうか？ 自宅のリビングをカラフルでピースフルなダンスフロアに変えてくれること間違いなしのパーティーレコードだ！

東京アラートが解除され、そして、ライブハウスやナイトクラブの営業自粛要請も解除となった。私がDJとして参加しているDJイベント「fun friday!!」（吉祥寺 伊千兵衛ダイニング）も2020年７月３日（金）に来店時のマスク着用など条件付きではあるものの、どうにか開催できることになった。そんなわけで、久しぶりのDJでは、『コズミック・シング』をターンテーブルにのせて、「ローム」を選曲したいと考えている。サビの部分でフロアにいるみんなと一緒にハンドクラップで盛り上がれたら最高だとワクワクしている！今まで当たり前だった日常がどれだけ楽しい時間だったのかを一日も早く再認識したいと願っている。


追記
私、岡田浩史は、クラブイベント「fun friday!!」（吉祥寺 伊千兵衛ダイニング）でDJとしても活動しています。インフォメーションは私のプロフィールページで紹介しますので、併せてご覧いただき、ぜひご参加ください。

2020.06.27