10月19日

血沸き肉踊る最強のアンセム、ちわきまゆみ「GOOD MORNING I LOVE YOU」

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ちわきまゆみのデビューシングル「グッド・モーニング・アイ・ラブ・ユー」がリリースされた日
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TVK(テレビ神奈川)が視聴出来る地域に住み、1980年代に青春を過ごした音楽好きなら必ず『Music Tomato JAPAN』を毎晩観ていたに違いない。

Re:minder 読者諸氏には今更説明不要であろうが、30分間の放送時間の中で毎晩5曲、日本のアーティストの PV をほぼノーカットで、マイケル富岡氏の英語紹介ナレーション付きでオンエアするだけの、大層シンプルで有意義かつ面白い番組であった。

高校1年生時のある晩、ものすごい PV が目と耳に飛び込んできた。ハイコントラストにスッ飛ばした白い顔に、アイライン強めの大きな黒い瞳と真っ赤な口唇。

フォトモンタージュの様に目紛しく編集された映像。バカみたいに魅力的なギターリフ。そして「ノンノンノン♪ ノンノンノンノノノン♪」という印象的なコーラスのリフレイン。とびきりロックなエンジンを搭載した回転木馬の様な、チープな極彩色とファルセットボイスがグルグル回る死ぬ程カッコイイ PV に釘付けになった。

初見ではアーティスト名も曲名も覚えられなかったが、強烈過ぎる印象だけを嵐の様に残していった。2度、3度とオンエアを観て、「ちわきまゆみ」という名前と『GOOD MORNING I LOVE YOU』という曲名が、15歳の脳内にガッツリと刷り込まれた。

この曲のシングルカットは1985年10月19日。後に局所的に “ネオ・サイケ” なるファッションムーヴメントが勃興した事も肌で記憶しているが、明らかにそれよりも前である。数年も前のテクノブームの残滓が遍在化して腐臭を放っていた(と感じていた)ところからの原点回帰、しかも進行形のポップで攻撃的な爆音感!!

―― 加えて、歳の離れた兄から既にケイト・ブッシュやニナ・ハーゲン等のエキセントリックな女性アーティストの洗礼を受けていた私には、ちわきまゆみは “最新型” として、受け入られるべくして受け入れられた。

ちわきまゆみは、その当時の、どのアーティストとも違っていた。比べる対象は他に存在しない。エキセントリックで先鋭的、マニアックなアプローチはともすれば内省的でアングラな表現に陥りがちだが、彼女にはそれらを笑い飛ばすズバ抜けたセンスと軽やかさがあった。更にその特異なキャラクター性を十二分に体現するに相応しい美貌も持ち合わせていた。それを求め渇望する者の心の中心に真っ直ぐに刺さるカリスマ性を備えていた。彼女はあっという間に私の教祖になった。

事実、雑誌や新聞で目にするインタビュー記事に綴られている彼女の言葉は、私にとっては神託に等しかった。しかし、それは唯の信奉ではない。当時からクリエイターを志し、あらゆる芸術的刺激と自己の確立にひたすら貪欲だった幼い私を導く、信頼に足る灯台の光だった。

「ロックは自分の思想を表現するための武器」

1987年3月4日発行の朝日新聞夕刊の芸能欄で大きな写真(有名な SM ファッション)と共に掲載されていた彼女の言葉に赤鉛筆で傍線を引いた切り抜き記事を、私は今も大切に保存している。

既にデザイナー(この場に限り強いて言えばアーティスト / 表現者)になることを目指し、未知の荒野の門出に立った一人の若者を、この一言がどれ程鼓舞したことか。実際、学校に行く前、朝っぱらから、この EPレコードをターンテーブルに載せてノイズ発生手前の爆音をヘッドフォンで叩き込み、母親の訝しげな視線を全身で浴びながら制服姿で踊っていた。

『GOOD MORNING I LOVE YOU』は、文字通り、私にとって最強のアンセムだった。30年以上経った今もそれは変わらない。これ程迄に “血沸き” 肉踊り、私の心の奥底をアジテイトする楽曲は他にない。他人の目など気にせず、ひたすら己の心と感性に忠実であれと教え導いた、私の人生に於いての最重要楽曲である。

この後、私は絵やデザインの特技を見込まれ、発足当初からのファンクラブスタッフに彼女直々に任命されるという僥倖に預かった。

Re:minder にて初の記事の題材は、ちわきまゆみ以外考えられなかった。1980年代に特化しているこのサイトで、何か書けと言われたら、ちわきまゆみの事を書くのが私の責務だとすら感じた。音楽だとか、事象だとかじゃなく、私の人生にダイレクトに影響を及ぼし、今も変わらず信奉し続けてやまないひとだから。私以外の誰にもこの記事は書けないと思ったから。

「私以外の誰にも出来ない」

この価値観を一番早く私に教えてくれたのが、ちわきまゆみだったから。

ちわきさんアゲのネタならいくらでも書けるぜ。Re:minder さんが良いって言ってくれるなら彼女の全ての音源を題材にしたっていい。勿論それ以外も。これからも、ヨロシクな。

2019.02.02
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  Apple Music


  YouTube / rms1117
 

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カタリベ
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