京都に住んで、阪神タイガースの人気はわかっていたつもりでしたが、それでもなお強烈な思い出となっているのは、タイガースファンにとっては忘れられない1日となった1985年10月16日のことです。
この日、21年ぶりのリーグ優勝が決定。大阪はもちろん、京都の街中も大騒ぎとなったのです。
このシーズンのタイガースは実に劇的でした。4月の巨人戦では、今や伝説になったバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発が飛び出し、チームは絶好調、首位を走ります。
しかし、死のロード(夏の高校野球全国大会の期間中、甲子園で試合ができずアウェーでの試合が続く)に入り、8月12日には日航機墜落事故で球団社長が亡くなるという悲劇に襲われます。その影響か、首位を陥落してしまいます。
このまま今年もダメか、というファンの嘆きが聞こえる中、圧倒的な強さを取り戻し、最終的には本塁打セリーグ記録を更新する219本塁打を放って優勝。投手陣の踏ん張りにも目を見張るものがありました。
さてこの日、木屋町のバイト先から買い物に出ると、細い路地まで人、人、人。その中をタクシーが通過しようとしていましたが全く進みません。
それどころかタクシーの上に若い男性が飛び乗って『六甲おろし』を絶唱。周囲の人もそれに合わせて大合唱。優勝すれば大騒ぎになることはわかっていましたが、これは、予想以上にすごいぞと。
そんな中、ふと横を見ると若いおまわりさんが佇んでいます。本当に佇んでいるという雰囲気でした。注意しないのかと見ていると、どうも様子が違い、その顔には笑顔。注意しようとする感じではありません。いくらなんでも、「そりゃないだろう」と思ったのをよく覚えています。
しかし、後で考えてみると、あそこでおまわりさんが注意すると、かえって危険だったのかもしれないな。
『六甲おろしと闘魂こめての微妙な関係? その2』につづく
2015.12.23