1980年代の空気を体現した代表的な俳優は誰か?と問われれば、私は迷わず『柴田恭兵!』と即答するだろう。ドラマ「大追跡」「俺たちは天使だ!」を皮切りに「あぶない刑事」など、キザで破天荒な二枚目半を演じてきた。そのイメージを決定的にしたのが、映画「チ・ン・ピ・ラ」(1984年)だ。
柴田さんはバブル直前の渋谷を舞台に本物のヤクザになることなく、地回りの親分にうまく取り入りながらノミ屋稼業で儲けて毎日を自由きままに生きているチンピラを熱演。映画の出だしで兄貴分のチンピラ(ジョニー大倉)とディスコでひと騒ぎ起こして渋谷の街を黄色いカマロで疾走するシーンがとても印象に残っている。
映画のタイトルが出ると同時に流れる曲が柴田さんのかっこよさを強烈に底上げしていて最高だった。曲名は「PRIVATE STORY」。私の中では今でも「PRIVATE STORY=柴田恭兵」である。
「PRIVATE STORY」は、当時「無国籍サウンド」と言われ多くのミュージシャンからリスペクトされていた伝説的バンドPINKの作品。「Don't Stop Passengers」など他の曲も聴いてみるとハッキリ言って1980年代の音ではなく、ずっと先を行っているような印象を受ける。
当時の音楽番組でBOØWYと比較されることもあったけれど楽曲が斬新すぎて大きなヒットに繋がらなかった。コアなファンのためのマニアックな音楽といった印象も否めなかったが、世界中の音楽が集まる英国で「SOUL FLIGHT」(1986年)をシングルリリースするなど精力的に活動。個人的には野茂がメジャーのオールスターに出た時ぐらい嬉しい出来事だった。
ところで、サザンオールスターズの「開きっ放しのマシュルーム」はPINKのサウンドを桑田さんがリスペクトして作った曲だと言われている。そういう前提で聴いてみると確かに他のサザンのサウンドとは違い、異彩を放っていると思うのですが皆さんはどう思いますか?
PRIVATE STORY
作詞:吉田美奈子
作曲:福岡ユタカ
発売:1984年(昭和59年)10月21日
2016.01.13
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