共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.38 Purple Rain / Prince & The Revolution
80年代を代表する3大スーパースター、マイケル・ジャクソン、マドンナ、そしてプリンス
80年代を代表する3大スーパースターといえば、マイケル・ジャクソン、マドンナ、そしてプリンス。この人選に異論をはさむ余地はないだろう。そのうちの二人がすでにこの世に存在していないなんて、今だに信じ難いと感じている方も多いのではないだろうか。
全米シングルチャートのナンバーワン・ソング、その数でいえば、
■ マイケル・ジャクソン13曲
(80年代は9曲)
■ マドンナ12曲
(80年代は7曲)
■ プリンス5曲
(80年代は4曲)
―― となる。意外にプリンスの全米1位獲得数が少ないという印象かもしれないが、MJ とマドンナが突出しているのであって、この数字は立派な実績だ。
80年代を通して輩出したヒット曲数でいえば、むしろプリンスがいちばん多く、コンスタントなリリースに伴うヒットソング支持では、決して MJ やマドンナと遜色はない。
さて、そんな多くのヒット曲を残したプリンスの最も共有感の大きな作品はというと、JBマナーを踏襲した80年代洋楽の代表格「キッス(Kiss)」(86年)、人気映画『バットマン』主題歌「バットダンス」(89年)、プリンスの知名度を一気に上げた主演映画『パープル・レイン』(84年)から生まれた「ビートに抱かれて(When Doves Cry)」や「レッツ・ゴー・クレイジー」といった全米ナンバーワン・シングルが挙げられるだろう。
そしてこれらに匹敵する共有感を誇るのが、件の映画『パープル・レイン』の表題曲、80年代36番目に誕生したナンバー2ソング「パープル・レイン」(84年11月2週2位)に他ならない。
ナンバーワン・シングルになれなかった完璧な傑作「パープル・レイン」
英メディア『ニュー・ミュージカル・エクスプレス(NME)』が “完璧な傑作” と評するこの「パープル・レイン」は、映画がそうであったように、実にナルシスティック&ドラマティック、大仰で大上段から構えたかのような、プリンス流儀のサウンド・歌声が詰まりまくったバラッドであった。
だからこそ並み居るナンバーワン・ソングたち以上に、より一般層に広く認知・訴求された作品だったわけで、おそらく最も共有感の高いプリンス・レパートリーは、「パープル・レイン」なのかもしれない。サントラともなっていたアルバムからの第3弾シングル、まさしくプリンス人気絶頂時の作品である。
そして同アルバムは、チャートで24週1位を独走(およそ半年!)。アメリカだけで約1000万枚のセールスを記録、プリンス史上最も売れたアルバムとなっている。
※2017年9月24日に掲載された記事をアップデート
2019.11.17