2022年 10月21日

還暦を過ぎたかつてのアイドルバンド a-ha が届けてくれた “未来への希望”

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a-haのアルバム「トゥルー・ノース」がリリースされた日
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キラキラもピコピコも一切なし! a-ha7年ぶりの新作「トゥルー・ノース」


2022年10月21日、a-haは11枚目のスタジオアルバム『トゥルー・ノース』をリリースした。前作『キャスト・イン・スティール』が2015年の再結成第一弾アルバムだったので、7年ぶりの新作アルバムのリリースということになる。

さて、この間、ポップミュージックの潮流は、80年代回帰の様相を呈している。その直接的な契機となったのは、ザ・ウィークエンドの「ブラインディング・ライツ」の世界的メガヒットであり、この曲はa-haの「テイク・オン・ミー」にインスパイアされていることは、誰の耳にも明らかだろう。

「ブラインディング・ライツ」以降の音のトレンドは明らかに80年代的なエレポップの音色に現行のボトムがしっかり鳴るリズムやビートを融合する手法が主流となり、こうした時流に乗って復活を遂げた80年代大物アーティストも存在している。そう、2022年の今こそ、80年代に一世を風靡したアーティストには追い風が吹いているのだ! こうした状況でリリースをむかえるa-haの新作は一体どんな作品になるのだろうか?



しかし、そこにはキラキラもピコピコも一切なし! 貫かれたアーティスト・エゴ!

結論から書いてしまうと、本作『トゥルー・ノース』からは、「テイク・オン・ミー」のようなエレポップ、80年代キラキラサウンドは一音たりとも聴こえてこない。

a-haが80年代から貫いた音楽至上主義


そのサウンドは、ストリングスが大幅に導入され、スケールの大きい北欧の自然を表現するようなサウンドスケープが特徴的で耳を引き付ける。そこに、派手さはないが的確なバンドサウンドが組み合わされ、大人のロックバンドが鳴らす音としては、文句なしに懐の深さと、ポップな要素が両立したものになっている。アルバムを構成する楽曲もミディアム〜スローな曲が中心ながらも、所々でビート感のある楽曲が配置され、アルバムとしての流れも申し分ない。

こうして書いてしまうと、リマインダー読者の往年の80s大好き世代からは「え〜っ、キラキラしてないの? 残念…」みたいな声が聞こえてきそうなのだが、a-haって、そもそも、そんなにキラキラでピコピコしてたのかって思い返すとそんなことはなかったのだ。

デビューアルバムの『ハンティング・ハイ・アンド・ロウ』もピコピコサウンドではなく、ポップなメロディーを透明感あるモートンの声とその透明感を増幅させるようにクリアーな音色の演奏が支えていたものだった。続くセカンドアルバム『スカウンドレル・デイズ』では、曲によってはノイジーにギターを歪ませたり、ポップな楽曲よりも暗い印象の楽曲が目立っている。

それ以降も安直にシーンのトレンドに寄せてくるような、あざとい戦略や音づくりをしたことは一度もないのだ。自分たちの音楽的なエゴを貫き、でも、それが独りよがりな難解なものにならず、大人のロックバンドが鳴らす落ち着いたポップミュージックとして無理なく成立している。



音楽に真摯に向き合い続けたかつてのアイドルバンドが奏でるポップミュージックの奥深さ


こうしたバンドを取り巻く状況は、2022年のa-haが手に入れた立ち位置としては本人たちが望む完璧なものではないのかもしれない。しかし、傍から見るとなかなか居心地良く、恵まれた環境のように見える。

こうした背景を考えるにつけ、80年代回帰のトレンドに乗っかることはそもそも、彼らの眼中に無かったと言ったほうが正しいのかもしれないし、自分たちの鳴らすべきサウンドを選ぶことに迷いはなかったのだろう。

今まで貫いてきた音楽至上主義は揺るぎないものであり、そうした音楽に対して嘘をつかないバンドの姿勢こそが、安定したファン・ベースを築けている大きな要因なのだろう。そして、そんなバンドの近況報告である新作『トゥルー・ノース』は、おとな世代のリマインダー読者の皆さんにこそ、楽しんでいただきたい一枚だ。

音楽に真摯に向き合い続けたかつてのアイドルバンドは還暦を過ぎ、とても瑞々しいアルバムを届けてくれた。これから寒くなる季節、北欧の凛とした研ぎ澄まされた空気感で奏でられる音からポップミュージックの奥深さを感じとって頂きたい。

『トゥルー・ノース』は、そんな素敵なレコードなのだ!

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2022.11.26
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カタリベ
1972年生まれ
岡田 ヒロシ
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