バブルに相応しいBGMは何か。私が勝手にこれぞと思っているのが、英国生まれのフュージョンバンド、シャカタクの曲だ。ジュリアナ東京でおなじみの「♪ チャーチャーチャッ、チャッチャッチャッ、チャーチャーチャッ ♪ ホウッ」というテクノ曲などでは、断じてない。
演奏テクニックはそれなりにありそうなシャカタクだが、特定の演奏者がしゃしゃり出て、テクニック自慢することはない。ちょっと印象的なピアノのフレーズがあって、サラリとした女性ボーカルがのっかって、なんとなくアーバンで、なんとなくナイトライフ。出しゃばらず、耳ざわりがよいところが、BGMにぴったりだった。
そんな彼らのBGM力が最大限に発揮されたのが、トレンディドラマの元祖といわれる『男女7人夏物語』『男女7人秋物語』だ。番組全体を彩るBGMにシャカタクが使われていた。
“夏” と “秋” 両方に出たのは、これがきっかけで夫婦となった明石家さんまと大竹しのぶ、そして片岡鶴太郎。男性が三人いれば、一人は太めのモテないキャラというのはお約束だが、鶴太郎演じる貞九郎がまさにそれ。でも、努力家で人がよくて、いじけると部屋の電気を消しちゃうめんどくささも憎めない。シャカタクのBGMは、そんな貞九郎さえ、ちょっとオシャレな若者に見せてくれた。
その後、さんまとしのぶは離婚したとはいえ、二人はあのドラマの良介と桃子のままで年を取ったような気がする。ドラマの中の良介と桃子だって、きっとあの後別れたに違いない。だが、今の鶴太郎は、年を取った貞九郎じゃない。ヨギーで画伯な鶴太郎を見ると、あぁ、これは貞九郎とは違うめんどくささだな、と思い知らされる。
当時オシャレに思えたシャカタクも、今聴くとなんか気恥ずかしい。ワンレン肩パッドの女性と、ゆったりダブルスーツの男性を2017年に見てしまったような。シャカタクも貞九郎も、そしてバブルも、あぁ遠い昔ね、なんてしみじみしてしまう。
さて、シャカタクがオシャレに彩った『男女7人~』だが、一番盛り上がる場面では、“夏” は「CHA-CHA-CHA」、“秋” は「SHOW ME」、それぞれの主題歌にもっていかれる。シャカタクが淡白だからこそ、この両主題歌が最高に引き立った。つまり、「CHA-CHA-CHA」と「SHOW ME」をヒットさせたのはシャカタクと鶴太郎… といってもいいんじゃないだろうか。
2017.09.08
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