「日本武道館」ここでコンサートを開くことはアーティストにとって一つの成功の指針と言っても過言ではないだろう。1966年にビートルズが公演して以来、矢沢永吉、オフコース、BOØWYなど500組(人)以上のライブが行われている。もちろんクイーンやディープ・パープルなど海外のアーティストも数多く演奏している。
だが勘違いしてはいけない。日本武道館はあくまで日本の武道を行う事を一義としている。とは言え、実は私もコンサート以外で武道館を訪れたことは無かった。しかし昨夏、初めて仕事で武道館に全国少年剣道大会を見に行ったのだった。
「め~ん、こて~」少年達の剣を打ち込むかけ声が外まで響いている。普段アーティストのグッズを売っているところでは竹刀などを売っていた。やはりコンサートとは雰囲気が違う。スーツ姿でクビから関係者カードをぶら下げた私は、何の感情も抱かずドアを押し開けた。その瞬間「ぬぐぁ!」と声を上げ、急いでズボンの後ろポケットに入っていたハンカチで鼻をふさいだ。
そう、5千人が集まる少年剣道大会の会場は、防具と汗の臭いでとてつもないことになっていたのである。10日間くらい履き続けた靴下をビニール袋に詰めて、それを嗅いだらこんな感じの臭いになるだろうか。悲しくもないのに目から涙がこぼれる。これはもはやニオイの暴力である。主催者はこんな状況を放置していていいのだろうか? 見識ではなく鼻腔を疑う。
それでも何とか関係者席に座り、青少年達が繰り広げる剣道を視察することにした。ふと何気なく客席を見回していたら、いわゆる「二度見」というものをしてしまった。
えっ、えっ、ええ~!!!
なんと、あちらこちらでお母さんと選手がお弁当を食べているではないか!!! 一体彼らの嗅覚はどうなっているのであろうか?「ママの作ってくれる卵焼きを食べると、何だか一本取れそうだよ」とか言いながら食べているのであろうか?
毒気を当てられた私は主催者に「いや~、活気あふれる見事な大会ですね~。ちょっと次があるのでは私はこれで」と、這々の体で武道館を後にした。…卵焼きを食べていた子が一本取れるように祈りつつ。
武道館で最多公演を行っているのは矢沢永吉氏とのことなので、今回のエンベッドは「止まらないHa-Ha」を。1986年にリリースされたアルバム『東京ナイト』からの一曲で、永ちゃんのロゴタオルが宙に舞い、武道館がMAXハイテンションに盛り上がる瞬間である。
2016.09.18
YouTube / EIKICHI YAZAWA
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