7月1日

レコードジャケットに見る “昭和の世相” アナログは音の質感だけじゃない!

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歌謡曲のレコードは「ジャケットも込みで味わいたい!」


わが家には、約5,000枚の歌謡曲のレコードがある。子どもの頃に夢見た「大人になったら、今流行っている曲のレコードを全部買って、好きなときに好きなだけ聴きたい」という計画を実行した結果、気付いたらそうなってしまった。

このサブスク時代、別にレコードなんて場所を取るものを買わなくても、昔のヒット曲はWeb経由でだいたい聴ける。だが私は、いまだにレコードを愚直に買い続けている。アナログ盤特有の音の質感もあるが、もう一つ大きな理由は「ジャケットも込みで味わいたい」からだ。“メガネは顔の一部です” ではないが、ジャケットも立派な “曲の一部” なのである。

今年1月半ば、著述家・石黒謙吾氏から「チャッピーさんの持っている5,000枚の中から1,000枚を選んで、その曲にまつわるエピソードを集めた本を書きませんか?」という提案をいただいたとき、一も二もなく引き受けたのは “ジャケットも全部撮って、カラーで載せる” という方針を聞かされたからだ。「さすが、わかってらっしゃる!」(By 大橋巨泉)

石黒氏のプロデュース・編集のもと、選曲に1ヶ月半以上、執筆に3ヶ月近くかけて、きょう6月30日、『昭和レコード超画文報1000枚』(303BOOKS)を上梓することができた。

1,000枚を選ぶ際、あらためて感じたのは “レコードジャケットは、時代を映す鏡” ということだ。今回選んだ1,000枚の中から「そのレコードが出た時代が真空パックされているジャケット」を何枚か選んでみた。さっそく、ヒアウィゴー!

失恋レストラン / 清水健太郎

1976年、「失恋レストラン」をヒットさせた清水健太郎。ちなみに作詞・作曲はつのだ☆ひろだ。つのだによると「最初は「ロックを書いてくれ」と言われたのに、21回も書き直しさせられて、完成したら全然ロックじゃなくなってた」。

それまで清水の髪型はリーゼントだったが、曲調に合わせて断髪。パンチパーマをソフトにアレンジしたこの髪型は “健太郎カット” と呼ばれ大流行した。

青い珊瑚礁 / 松田聖子

1980年、松田聖子のデビューによって、“聖子ちゃんカット”が流行。

こうしてジャケットを並べると、まるで『明星ヘアカタログ』を見ているようだ。街を歩くと、こういうヘアスタイルの女性ばかりだった時代が本当にあった。事実、全然聖子に似ていないうちの妹まで、当時はこの髪型だった。

熟女B / 五月みどり

「熟女ブーム」の先導役となったのが “かまきり夫人” こと五月みどりだ。1982年にヒットした中森明菜の「少女A」に対抗して、翌1983年に「熟女B」を発売。「左の乳房に貞操を 右の乳房に欲望を つつんで生きている女 あたし熟女B」なんて歌はこの人じゃなけりゃ歌えない。

昨年相次いで鬼籍に入ったなかにし礼×中村泰士コンビが書いたのは「北酒場」だけじゃないということを、ぜひ心に留めておいてほしい。

一気! / とんねるず

80年代半ば、おもに大学生の間で流行ったのが、コンパの際、酒を一気に飲み干す “一気飲み”。このブームに乗っかって、まだ本格ブレイクする前のとんねるずが1984年に出したのが「一気!」。

『オールナイトフジ』でこの曲を生で歌った際、石橋貴明がスタジオで大暴れ。高価なTVカメラを倒し、破壊してしまった事件は有名だ。そんなこともきっかけになり、彼らの人気も“一気!”に急上昇した。

パラダイス銀河 / 光GENJI

80年代後半になると、バブル景気がやって来る。実質、昭和最後の年となった1988年に大ヒットしたのが光GENJI「パラダイス銀河」だ。ローラースケートをはき、華麗に歌い踊った彼らは、平成ジャニーズのグループアイドルのひな型を作った。

ところで、「大人は見えない しゃかりきコロンブス」という歌詞は「欲得にまみれ宝探しに躍起になる大人には、本当の楽園は見えない」という痛烈な風刺を含んでいる。バブル真っ只中のこの時代に、こういう詞が書けた飛鳥涼(ASKA)の才能は素晴らしい。

ジャケットは世につれ、世はジャケットにつれ―― 歌謡曲のジャケットが1,000枚たっぷり、エピソードと共に楽しめる拙著『昭和レコード超画文報1000枚』、ぜひご一読いただければ幸いです。




2021.06.30
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カタリベ
1967年生まれ
チャッピー加藤
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