11月14日

【中森明菜 Best Performance on NHK】洗練された女性の気品とシンガーとしての格好良さ!

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中森明菜 Best Performance on NHK
in December Vol.1(2025/12/1配信)

レア映像で観る中森明菜の "変化"


1980年代に中森明菜が出演したNHK番組の映像がデジタルリマスターで楽しめる『中森明菜 Best Performance on NHK』。4月から月に2回のペースで更新を続けたこの企画も、ついに12月まで達した。年末といえば、『NHK紅白歌合戦』への中森明菜の出演が気になる。ところで、現時点では吉報は聞こえてこないが、最後までサプライズを期待したい。さて12月1日に配信されたのは次の3作品だ。

▶︎ 1/2の神話~セカンド・ラブ〜スローモーション~少女A
『アイドル大競演』1983/12/25放送

▶︎ ​​禁区
『アイドル大競演』1983/12/25放送

▶︎ 飾りじゃないのよ涙は
『レッツゴーヤング』1984/12/16放送

今回の配信では、ファンには嬉しい2つの見どころがある。まず1つは、1983年の年末に放送された歌番組『アイドル大競演』で歌うヒットメドレーが観られること。『レッツゴーヤング』と『ヤングスタジオ101』以外で歌う彼女の映像は非常にレアで、一見の価値ありだ。

そしてもう1つは、彼女の代表曲「飾りじゃないのよ涙は」の歌唱映像が初公開されたこと。この曲は6月1日にメドレーの1曲として配信されたが、歌詞を飛ばさずにフルで楽しめるのは今回が初めてだ。そこで今回は、この曲の歌詞にスポットを当てて、当時の中森明菜の "変化" について述べてみたい。

アーティストへの変化を誘発した「飾りじゃないのよ涙は」


1984年から1985年にかけての1年間、中森明菜はアイドルからアーティストへと変化する転換期にあった。そのターニングポイントになったシングルは「飾りじゃないのよ涙は」であると言っても、多くのリスナーが頷くはず。それくらいこの作品のインパクトは大きかった。今回配信された『レッツゴーヤング』の映像を観ても、彼女の歌唱やパフォーマンス、衣装からは、可愛らしいアイドルを演出する要素は見られない。むしろ、洗練された女性の気品と、シンガーとしての格好良さに見とれるばかりだ。

そうした変化を誘発したのが、井上陽水が作詞・作曲したこの楽曲であることは言うまでもない。ゆらゆら揺れてクセのあるメロディーライン、疾走感あふれるアレンジ、ロックシンガーを意識したボーカル、そして印象的なフレーズが散りばめられた歌詞は、多くのリスナーの心に響いた。

何より、この斬新な曲をトップアイドルがシングルとして出した驚きは大きかった。これまで中森明菜は様々なアーティストの曲を歌い、アイドルポップスをリードしてきたが、井上陽水との出会いは、アイドルからアーティストへ豹変するような大きな変化を彼女に与えたはずだ。



「飾りじゃないのよ涙は」は、心の内面を追求?


そんな中森明菜の変化は、歌詞からも読み取れる。これまでの彼女のシングルは、少女から大人の女性へ移る過程の心情がテーマだった。思春期の少女が持つ純情(ナイーブ)と背伸び(ツッパリ)の二面性に始まり、1984年からは “世界へ羽ばたく明菜” をコンセプトに、自立した女性を歌う路線へとシフト。リアルな女性の成長を歌で演じてきた。

こうした彼女の実績を振り返れば、出だしの「♪私は泣いたことがない」から続く自己肯定感の高い歌詞は、自分自身を歌っているように思えてくる。さまざまなタイプの曲に真摯に向き合い、弱気を見せず(泣くことがなく)、アイドルシンガーを本気で演じてきた姿勢に重なるからだ。

この曲の歌詞は、表面的な美しさを持つ真珠やダイヤ(アイドル)の輝きと、心の内面から湧き上がる感情の “涙” は違うと言い切っている。もしかすると、彼女はこの曲を歌っていくなかで、輝くだけでは決して満足できない自分を見出し、アーティスト性を求道する歌姫として生きる決意を固めたのではないか? アイドルシンガーに徹して「♪瞳の奥の涙は隠していた」中森明菜は、この曲をもって飾りじゃない “涙”、つまり心の内面を追求していくことを宣言したように思えてならない。

「日本レコード大賞」受賞、そして歌姫への旅へ


こうした自らの思いを託したかのような「飾りじゃないのよ涙は」は、中森明菜がアイドルからアーティストへ変化するターニングポイントとなり、アイドルファン以外の大衆からも支持を獲得。そして、燃え上がる愛情を見事に歌い上げた次のシングル「ミ・アモーレ」でその評価は確定し、1985年『日本レコード大賞』での大賞受賞につながる布石になったのは周知の通りである。

そして中森明菜は、1985年10月リリースのシングル「SOLITUDE」以降、流行にとらわれずに女性の内面心理を歌で表現する道を本格的に歩み始める。それは自分の感情と歌を重ね合わせる歌姫への旅でもあった。こうした彼女の決意が「飾りじゃないのよ涙は」の歌詞から、奇しくも読み取れるのである。

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2025.12.11
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カタリベ
1966年生まれ
松林建
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