10月7日

松田聖子、南野陽子… 秋を彩る80年代アイドルソングで失われた季節を取り戻そう!

15
0
 
 この日何の日? 
松田聖子のシングル「風立ちぬ」発売日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1981年のコラム 
江口寿史「ストップ!! ひばりくん!」ファンを魅了し続ける無敵のギャグ漫画

【80年代アニソンの魅力】キャラ設定はルパン三世「銀河旋風ブライガー」は宇宙の仕事人

ジャーニー、30年の月日を経てやっと許せた「産業ロック」

川原伸司インタビュー ③ 稀代のプロデューサーが目撃した松田聖子と中森明菜

山口百恵の引退と松田聖子の進化、昭和歌謡から J-POP 黎明期へ

松田聖子の声が出ない… 苦難の名曲「風立ちぬ」に彩りを添えた松本隆の作詞術

もっとみる≫




歌謡ポップスチャンネル「Re:minder SONG FILE」vol.14〜秋を彩る80'sアイドルソング

日本人の季節感にフィットしている秋を舞台にした楽曲


1971年にデビューした南沙織以来、日本のアイドル歌手の多くは3ヶ月ごとにシングルを発表し、四季折々の風景に多感な年頃の恋心や哀歓を重ねた歌でリスナーの共感を集めてきた。なかでも秋を舞台にした楽曲はメロウなサウンドに乗せて、秘めた想いや揺れる心情を歌うのが王道。 “秋の感傷” を描いた作品があまた生み出されてきたのは、それだけ日本人の季節感にフィットしているからに違いない。

毎回趣向を凝らしたテーマとプレイリストで注目されている音楽番組『Re:minder SONG FILE』(歌謡ポップスチャンネル)の次回テーマは “秋を彩る80年代アイドルソング” 。ヒット曲を中心に、秋を彩るアイドルの名曲を―― というのが番組制作者からのオーダーだったので、メジャーなオータムソングを多めにしつつ、この機会に知っていただきたい佳曲も含めた11曲を厳選した。

松田聖子、秋の名曲から「風立ちぬ」


トップバッターはやはりこの人。1980年代のアイドルシーンを牽引し、今も第一線を走り続ける松田聖子である。花や色をモチーフにした季節感溢れるポップスでヒットを連発した彼女だが、歌詞に “秋” や秋の季語が含まれた楽曲は思いのほか少なく、ファーストアルバム『SQUALL』収録の「九月の夕暮れ」以降、「風は秋色」「愛されたいの」「ピンクのモーツァルト」など数えるほど。その中から今回は「風立ちぬ」(1981年)をセレクトした。

同曲は、この年から松田聖子のメイン作詞家となった松本隆が、はっぴいえんど時代の僚友である大滝詠一を聖子プロジェクトに引き込んだ作品で、作曲と編曲を担当した大滝は初のチャート1位を獲得。堀辰雄の同名小説に着想を得た叙情的な歌詞と、贅沢なストリングスを配したナイアガラサウンドが融合した秋ソングだ。

香坂みゆき初のトップ20入りを果たした「ニュアンスしましょ」


続く3曲はいずれも化粧品会社の秋のキャンペーンソング。ニューミュージック系のアーティストを起用して1970年代後半からヒット曲の発信源となっていた資生堂とカネボウは、1980年代中盤からアイドルとのタイアップを開始する。きっかけは1984年、カネボウ春のキャンペーンで歌だけでなくモデルにも抜擢された松田聖子だった。歌(Rock’n Rouge)も商品(バイオ口紅)もヒットしたことから他社も追随することになるのだが、その点でも彼女はパイオニアだったと言えよう。

それはともかく――。

資生堂陣営からは、香坂みゆきの「ニュアンスしましょ」(1984年)をお聴きいただく。香坂はこのとき歌手デビュー8年目。卓越した歌唱力が評価されながら、なかなか大きなセールスに結びつかなかったが、1983年春のキャンペーンソング「う、ふ、ふ、ふ、」でブレイクしたEPOが作曲を、大貫妙子が作詞をした本作で自身初のトップ20入りを記録する。清水信之がアレンジしたオリエンタルなテクノサウンドとハイトーンボイスが華やかに響く、オフィスラブを描いた秋ソングで、アンジェラ・ハリー(1982年から3年連続で資生堂秋のキャンペーンモデルとして活躍)が出演したCMも職場を舞台にしたものだった。



石川秀美が紅白で歌った「愛の呪文」


片やカネボウ陣営からは、国生さゆり「ノーブルレッドの瞬間」(1986年)をお届けする。おニャン子クラブ会員番号8番として絶大な人気を集めた国生は「バレンタイン・キッス」でソロデビューして以来、体育会系キャラクターに合ったノリのいいナンバーでヒットを重ねていたが、サードシングルの本作は一転してしっとりした曲調。本人出演のCMでもメイクアップしたフェミニンな姿で新しい魅力を振りまき、チャート1位を獲得した。

そして第3勢力のコーセー代表は、石川秀美の「愛の呪文」(1985年)。秋の街で意中の相手に呪文をかける肉食女子のアプローチを歌ったポップロックで、ファンデーションのCMには石川自身が出演した。作詞・作曲は彼女が初めてトップ10入りした「Hey!ミスター・ポリスマン」や挑発セクシー路線にシフトした「ミステリーウーマン」など、キャリアで重要な位置を占める楽曲を提供してきた松宮恭子。本作もデビュー4年目に初出場を果たした『第36回NHK紅白歌合戦』で歌唱される記念すべき1曲となった。蛇足ながら、2番の歌詞「煙(けむり)にまいてしまうわ」を聴くたびに “けむ” じゃないんだ…… と思うのは筆者だけだろうか。

南野陽子のカンツォーネ風のミディアムチューン「秋のIndication」


ここまで化粧品のキャンペーンソングを各社から1曲ずつ入れたが、次は山口百恵以降、松田聖子、小泉今日子、堀ちえみ、岡田有希子など、人気アイドルが多数出演してきた江崎グリコ「セシルチョコレート」のCMから1987年の秋ソングをお送りする。そう、南野陽子「秋のIndication」(1987年)だ。

メインアレンジャーの萩田光雄が作曲も手がけた本作は、ナンノの要望も入れて制作されたカンツォーネ風のミディアムチューン。短調と長調が交互に登場する、Aメロ/A’メロが4回繰り返されたあと、サビが1回だけ登場するユニークな構成と、職人・萩田ならではの生音を主体とした、秋風を感じさせるサウンドが聴きどころだ。サビの歌詞が「♪ルルル」で始まる初出音源と、「♪きっと」に変更された音源が存在するが、今回は「♪ルルル」バージョンをお楽しみいただく。



アイドルファンの間では今も傑作の誉れ高い原真祐美「Bye, Bye, September」


“秋の兆し” を意味する曲に続いては、秋の3ヶ月(9月、10月、11月)を題材にした作品を1曲ずつ配してみた。

まずは9月。前出の「ピンクのモーツァルト」をはじめ、西村知美「Blueberry Jam」、つちやかおり「September Rainに消されて」、倉沢淳美「女の子・秋・色とりどり」、真弓倫子「9月のプロムナード」など、シングルA面に限っても候補が多かったが、今回は迷わず原真祐美のサードシングル「Bye, Bye, September」(1983年)を選択した。

大人っぽい美貌と抜群のプロポーションで注目された原は歌唱力にも恵まれた逸材。松田聖子の初期作品を手がけた三浦徳子が作詞を、早見優「急いで!初恋」や渡辺めぐみ「ときめきTouch Me」など、多くの女性アイドルに楽曲提供していた小杉保夫が作曲を担当した本作はキャッチーなサビから始まる失恋ソングで、アイドルファンの間では今も傑作の誉れ高い。同年デビューの1983年組アイドルが軒並み苦戦を強いられるなか、彼女もブレイクには至らなかったのが惜しまれてならない。

中森明菜のアルバム曲「October Storm -十月の嵐-」


次に10月。シングルA面では浅香唯「10月のクリスマス」などが該当するが、それよりも岩崎良美「10月のフォト・メール」、河合奈保子「水の中の蜃気楼 -VENEZIA-」、岡田有希子「十月の人魚」、河合その子「渚のタイトロープ」、南野陽子「神様がいない月」、高井麻巳子「十月の旅人」など、なぜかアルバム曲が多め。今回は中森明菜「October Storm -十月の嵐-」(1984年)を選ばせてもらった。

6作目のオリジナルアルバム『POSSIBILITY』に初収録された本作は「北ウイング」で彼女に新しい魅力をもたらした康珍化(作詞)と林哲司(作曲)からの提供曲。電話で別れを告げられた彼のもとへとクルマを飛ばすヒロインのざわめく心情を10月の嵐と重ね合わせた疾走系のロックチューンだ。



シティポップファンにも評価が高い岡本舞子「11月のソフィア」


一方、晩秋にあたる11月はアイドルソングとして成立しづらいのか、9月や10月ほど多くはなかったが、その中から近年シティポップファンにも評価が高い岡本舞子の「11月のソフィア」(1985年)をセレクトした。

原真祐美同様、ビジュアル、歌唱力、楽曲クオリティの3拍子が揃った岡本は当時15歳。にもかかわらず、上智大学のキャンパスをイメージした大学生の失恋を情感溢れるボーカルで歌いこなしている。40年後の今も古びないのは浮遊感のあるエレガントなサウンドに仕上げた山川恵津子の手腕によるところが大きい。本稿執筆中に岡本が11月4日のアイドルイベント(註:あンあンアイドルvol.5)に出演するとの情報が飛び込んできたので、季節柄、本作を披露してくれることを期待したい。

河合奈保子のキャラクターにマッチした「ラヴェンダー・リップス」


さて、中盤はやや通好みの選曲だったが、終盤は再びヒット曲で構成した。

まずは高原の駅で別れる男女の心模様を秋の風景を織り交ぜて歌った菊池桃子の「もう逢えないかもしれない」(1985年)。作曲・編曲は1987年まで菊池の歌をすべて作曲した林哲司。作詞はその林と組んでヒットを量産していた康珍化だが、菊池のプロジェクトで2人がタッグを組むのは意外にもこの曲が初めてだった。物語性と叙情性を備えた康の詞と哀愁を帯びた林のメロディ、そして菊池の儚げなボーカルは相性抜群で、本作はチャートの1位を獲得した。

その「もう逢えないかもしれない」と同時期にトップ10入りしていたのが、次にお届けする河合奈保子「ラヴェンダー・リップス」(1985年)である。シタールやハープをフィーチャーしたフィラデルフィア・ソウル風の優美なミディアムバラードで、Bメロに変拍子を用いるなど凝った仕掛けも施された秋ソング。作曲した林哲司は他にも「デビュー〜Fly Me To Love〜」や「涙のハリウッド」など、河合のキャラクターにマッチした爽快なポップスを提供しているが、いちばんのお気に入りは本作だとコメントしている。



オリコンのシングルランキングでは平成初の1位をマークした男闘呼組「秋」


ここまで図らずも女性アイドルばかりだったので、締めの曲は男闘呼組の「秋」(1988年)にした。ハードボイルドタッチの硬派な歌詞を、メロディアスなバンドサウンドと厚みのあるコーラスで聴かせるセカンドシングルで、デビュー曲「DAYBREAK」に続いて作詞は大津あきら、作曲・編曲はMark Davis(馬飼野康二の変名)が担当。オリコンのシングルランキングでは平成初の1位をマークした。

以上11曲。9月24日のオンエア時も季節外れの暑さが続いているかもしれないが、本プログラムを視聴すれば、きっと秋の情緒を感じ取っていただけることだろう。


Information
Re:minder SONG FILE「秋を彩る80'sアイドルソング」


ココロ躍る音楽メディア「Re:minder」がテーマを決めて珠玉のソングファイルをお届け。
▶︎ 放送局:歌謡ポップスチャンネル
▶︎ 放送日時:
・2025年09月24日(水)24:00〜25:00
・2025年10月02日(木)24:00〜25:00
▶︎ 今月のソングファイル
♪ 風立ちぬ / 松田聖子
♪ ニュアンスしましょ / 香坂みゆき
♪ ノーブルレッドの瞬間 / 国生さゆり
♪ 愛の呪文 / 石川秀美
♪ 秋のIndication / 南野陽子
♪ Bye, Bye, September / 原真祐美
♪ October Storm -十月の嵐- / 中森明菜
♪ 11月のソフィア / 岡本舞子
♪ もう逢えないかもしれない / 菊池桃子
♪ ラヴェンダー・リップス / 河合奈保子
♪ 秋 / 男闘呼組
▶︎ 番組ページ:Re:minder SONG FILE

▶ テレビのコラム一覧はこちら!



2025.09.17
15
  Songlink
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
濱口英樹
コラムリスト≫
15
1
9
8
0
J-POP 創生の立役者、細野晴臣の存在感(中篇)
カタリベ / goo_chan
57
1
9
8
6
作曲家 平井夏美が語る「瑠璃色の地球」聖子のファンタジーと明菜のドキュメンタリー
カタリベ / 川原 伸司
43
1
9
8
2
深読み!河合奈保子「けんかをやめて」は竹内まりやが企んだ秘密計画の第一歩だった?
カタリベ / ミチュルル©︎たかはしみさお
33
1
9
8
3
80’s POPs を彩るモータウン・ビート、ジェームス・ジェマーソンに花束を♪
カタリベ / せトウチミドリ
51
1
9
8
8
恋物語を深読み解説、松田聖子「赤いスイートピー」には続編があった
カタリベ / ミチュルル©︎たかはしみさお
67
1
9
8
1
作詞は松本隆、松田聖子の「白いパラソル」って「君は天然色」の兄妹ソング?
カタリベ / 宮木 宣嗣