1月29日

時代を切り拓いた!80年代ヨーガクの女性ロックボーカリスト10選

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ミュージックビデオを最大限に活用した女性ロックボーカリストたち


1981年8月1日に一日中ミュージックビデオを流し続けるMTVがアメリカのケーブルテレビで開局。全米ヒットの法則=ラジオ×地道なライヴ活動をたった一日で覆したこの革命は、世界共通の絶対的な音楽プロモーション手段となった。イギリスのアーティストたちは映像を通じてユーザーの目に映ることができれば、楽器を持って大西洋を渡る必要はなくなり、“第2次ブリティッシュインヴェイジョン” が巻き起こる。

そんな新しい手段の恩恵にあずかるどころか、ビジュアルを踏み台に自らを鼓舞したのが女性アーティストたちだった。そんな全盛MTV、“時代を切り拓いたヨーガクの80年代女性ロックボーカリスト10選” をお届けする(順不同)。

ブロンディ / コール・ミー


NYパンクシーン発、ブロンドヘアーの赤い口紅の紅一点デボラ・ハリーの魅力を最初に気がついたのはイギリス。「ハート・オブ・グラス」(1979年4月全米1位)で逆輸入ブレイクとなったブロンディの代名詞は、リチャード・ギア主演映画『アメリカン・ジゴロ』の主題歌。プロデューサーのジョルジオ・モロダーは、当初スティーヴィ・ニックスを切望したが断られ、ブロンディに白羽の矢が立ち、結果的に1980年4月全米1位(6週)、同4月全英1位を記録。女性躍進の80年代の幕開けを告げるかのごとく 1980年度No.1ヒットとなった。2006年にロックの殿堂入り。

パット・ベネター / 強気で愛して(Hit Me With Your Best Shot)


後の夫となるニール・ジェラルドのギターに乗って、“強気で愛して”と持ち味のパンチの効いたシャウトをさく裂、エネルギッシュなストレートなハードポップを展開。セカンドアルバム『危険な恋人(Crimes of Passion)』からのリードシングルで、1980年12月に全米9位を記録した。グラミー賞の女性ロック部門はパット・ベネターのためにあると言わんばかりに、1980年から4年連続で最優秀女性ロックヴォーカルを受賞している。80年代に最も成功した女性ロッカーの筆頭。2022年にロックの殿堂入りを果たしている。

プリテンダーズ / 恋のブラス・イン・ポケット(Brass in Pocket)


80年代を代表する女性ロッカーにして、英ロック界きってのコワもて姉御クリッシー・ハインド率いるプリテンダーズ(彼女の生まれはアメリカ)。デビュー作『愛しのキッズ(Pretenders)』からのセカンドシングルで1980年1月に全英1位、同5月に全米14位を記録(B面は「インベーダー・ゲーム」)。細身のジーンズにタイトなジャケットでテレキャスターをかきならす姿は当時の女性ファンの憧れの的。バンドは2005年にロックの殿堂入。

ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ / アイ・ラヴ・ロックン・ロール




発表から40年を経た今も世界中で愛され続ける史上最強のロックンロール讃歌。女性ロックアンセム「チェリー・ボム」を作った元ランナウェイズのジョーン・ジェットが、バンド時代から目を付けていたのが無名バンド、アロウズが歌う♩I Love Rock ‘n’ Roll! 他のメンバーが乗り気ではなくランナウェイズでは実現しなかったが、ソロになってついにカヴァーを実現。1982年から3月に全米1位を記録(7週連続)、200万枚のセールスを突破、年間3位に輝いた。2015年にロックの殿堂入り。

ゴーゴーズ / ウィ・ガット・ザ・ビート


1982年4月に全米最高2位(3週連続)を記録したロサンゼルス発のゴーゴーズの代名詞。収録アルバムで、パンク / ニューウェイヴをルーツにしたポップロックチューン満載のデビュー作『ビューティ・アンド・ザ・ビート』は史上初めて女性だけのバンドとして全米1位(6週連続)に輝いた。1984年に一時解散。ゴーゴーズ時代から健康的な歌声で人気のベリンダ・カーライルは87年12月「ヘヴン・イズ・ア・プレース・オン・アース」で悲願の全米シングル制覇を成し遂げた。バンドは2021年にロックの殿堂入り。

ユーリズミックス / スウィート・ドリームス


アニー・レノックスの唯一無二なソウルフルな歌声と、デイヴ・スチュワートが傾倒するエレクトロニックポップの追求。女と男のスウィート関係に終止符を打ち、ユーリズミックスの名のもとに奇跡的に音楽融合。1982年3月に本国全英で最高2位、83年9月に全米1位を記録した。記念すべき第1回MTVビデオミュージックアワードでは、シンディ・ローパー「ガールズ・ジャスト・ハヴ・トゥ・ファン」、マドンナ「ボーダーライン」らMTVの申し子たちをおさえ最優秀新人賞を獲得している。2022年にロックの殿堂入り。

シンディ・ローパー / ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン




MTV全盛のブラウン管のなかで、赤とオレンジのまだら刈り上げヘアーでスカートの裾をまくりあげ、人種を超えて “女の子だって楽しくやりたいのよ!” とコケティッシュな魅力を振りまいたシンディのデビューシングル。「当時、ビデオに出てくるのは全くの白人か黒人だけ。だからこれでいってみましょう!って」(シンディ自伝より)。新時代のヒット曲はティーエイジャーのハートを掴み1984年2月に全英2位、同3月に全米最高2位を記録するミリオンセラーとなった。当時の邦題は「ハイスクールはダンステリア」。

マドンナ / マテリアル・ガール




80年代最大の女性ICONとなったマドンナ。代名詞アルバム『ライク・ア・ヴァージン』のオープニングを飾った時代を象徴するヒットチューン。1985年3月に全米最高2位、同全英最高3位を記録した。80年代の自立する女性像を歌ったシーナー・イーストン「モダン・ガール」(1980年)を横目に、マドンナは皮肉を交えた物欲至上主義をダンスポップに展開。マリリン・モンローの『紳士は金髪がお好き』をモチーフにした男たちを次々と手玉に取るビデオも話題となった。2008年にロックの殿堂入り。

ネーナ / ロックバルーンは99(99 Red Balloons)


紅一点ガブリエル “ネーナ” ケルナーを中心としたドイツのロックバンドの代名詞。1983年3月ドイツ1位、1984年3月全米2位、同3月全英1位(3週)を記録。ドイツ語で歌われたポピュラーソングとしては空前の世界的ヒットとなり、日本でも大きな話題を呼んだ。まさにバルーンでもはじけるかのような80’sシンセサウンドと彼女のチャーミングなヴォーカルに埋もれがちだが、この曲は東西ドイツに分断されていた冷戦時代下の核戦争発展を危惧したプロテストソング。あらためて歌詞を見ると混乱の世界情勢の今にも通じるメッセージが散りばめられている。

バングルス / マニック・マンデー


ゴーゴーズと並び80年代にもっとも成功した女性ロックグループ、バングルスの大ブレイクナンバー。楽しい日曜日が終わった後の “憂鬱な月曜日” という世界共通テーマを、コーラスも見事な60’sフレイヴァーあふれるサウンドで聴かせてくれる。“Christopher” とライタークレジットされているが正体はプリンス。可愛いヴォーカルのスザンヌ・ホフスと “殿下” との恋沙汰も結果的にセールス後押しの材料となって1986年4月に全米、全英ともに最高2位を記録。ちなみに全米首位到達を阻止したのはプリンスの「KISS」。

次点:ティル・チューズデイ / ヴォイシズ・キャリー(愛のVoices)




名門ジュリアード音楽院を中退したエイミー・マンが1982年に結成したティル・チューズデイ。バンド初期は、メンバー全員が髪の毛をおっ立て過激なエレクトロポップを奏でていた。ボストンのパンクシーンで知らない者はいない存在だった。バンドの名前を全国区にしたメジャーデビューヒットで1985年7月に全米最高8位を記録。流行のシンセサイザー音の向こうにみえる彼女のフォーキーな佇まいは、サントラ『マグノリア』(1999年)『アイ・アム・サム』(2001年)など、のちの非凡なソロ活動に繋がる片鱗を見せていた。


―― 2022年。音楽や映画などのエンターテインメント差別的男女区分の撤廃が進むなか、米音楽最高栄誉のグラミー賞はいちはやく男女別だった一部のカテゴリーをひとつに統合。英音楽権威のブリット・アワードでは主要部門も男女ひとつに統合された。

もはや女性ロックという括りそのものがノスタルジックな響きなのかもしれない。それでも男性優位だったロックの時代を切り拓いた女性特有の華やかな輝きと魅惑的な表現はファクトとして刻まれ、これからも語り継がれていくはずだ。

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2022.06.09
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カタリベ
1970年生まれ
安川達也
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