インパクト抜群! ルビーの指環、チェリーブラッサム、夏の扉…
みなさんは今剛というギタリストをご存知だろうか? 金剛ではない(それはプロレスラー!)。しかし、名前は知らなくても、彼の弾くサウンドはきっと耳にしたことがある筈だ。1981年の寺尾聰『ルビーの指環』や松田聖子『チェリーブラッサム』『夏の扉』のイントロや間奏のギターソロといえば、すぐ思い浮かぶだろう。
『ルビーの指輪』がカッコいいのは、寺尾聰のサングラスのせいではなく、今剛のギターのおかげである。松田聖子の魅力も、財津和夫の作曲も良いけど、今剛のギターが無かったら、『チェリーブラッサム』『夏の扉』も、こんなには大ヒットにならなかっただろう。それぐらい、今剛のギターはインパクトがあった。
ジェイ・グレイドンとデイヴィッド・フォスターの名盤「AIRPLAY」
彼のサウンドの特徴は、エコーの効いたギターハーモナイズ=いわばエレキ弦によるオーケストレーションにある。もともとはジェイ・グレイドン(今氏もギター雑誌で「一番好きなギタリストだ」と語っている)が編み出した奏法で、ワイヤークワイヤーとも呼ばれる。
グレイドンがデイヴィッド・フォスターと組んで80年にリリースした名盤『AIRPLAY』は「日本の歌謡曲」を「J-POP」へと変化させた最大の要因であり、その影響で80年代初頭~中頃にかけて「ギター多重奏+キーボードで白玉音符を連打」みたいなエアプレイ風味の邦楽が大流行していた。そしてその殆どでギターを弾きまくっていたのが今剛その人である。
伝説のソロアルバム「Studio Cat」
彼の名演奏は挙げればきりがないが、当時オールナイトニッポンの番組とCMのインターバルで毎晩のように使われていたインストゥルメンタル曲『Agatha』『Monster Mash』『Zig-Zag』などは深夜放送リスナーならきっと聴き覚えがあるだろう。ソロアルバム『Studio Cat』に収められている。
あと、もう一つ是非とも紹介したいのが畑中葉子『後ろから前から』での今さまの華麗な指使い!(笑)どうしてもお色気ソングとして「エロ眼鏡」で見られてしまう同曲だが、先入観を捨てて聴いて欲しい。まさに典型的なエアプレイ風味の曲調に、1番と2番の間にグッと割って入るギターの雄叫び、ナイスですね~!
※2016年1月11日に掲載された記事をアップデート
2020.07.21
YouTube / JURINKO DAISUKI PARACHUTE
後ろから前から / 畑中葉子 エアプレイ風味の曲調と間奏でグッと入るギターの雄叫びがポイント