先日、12歳の天才ギター少女、Li-sa-X(りーさーX)の単独ライブを観に行ってきた。先ずは感想を一言……
12歳か~、凄っ!!
ライブでは、ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムに収録されているインスト曲「暗闇の爆撃(Eruption)」を披露していたのだが、「よく(ヴァン・ヘイレンを)知らないのです…」なんてMCで会場を笑いに包み、何とも12歳らしかった。
とはいえ、ステージ上で楽しそうに微笑みながらギターを弾く姿は、彼女が知らないはずのエディのようにも見え、オリジナルとカヴァーを交えながら、速弾きに変拍子にと約1時間を楽しませてくれた。
Li-sa-Xのことは3〜4年程前にYouTubeの動画を見て注目していたが、いよいよ今年、彼女の12歳の誕生日(2017年2月8日)に、デビューアルバム『セレンディピティ』からのタイトル曲が、世界119ヶ国で先行配信された。既にTVやCMにも出演しており、昨年はミスター・ビッグのギタリストとして一躍名を馳せたポール・ギルバートのライブにもスペシャルゲストで共演している。
きっかけは、彼女がYouTubeでカヴァーしていた、レーサーXの「スカリファイド」をポール本人が知ることになって。ロサンゼルスの音楽学校、ミュージシャンズ・インスティチュートのギター講師をしていたポールから、ギタースクールの特待生としてオンラインレッスンをプレゼントされている。
そうそう、Li-sa-Xの名の由来は、ポール率いるヘヴィメタルバンド・レーサーX(RacerX)から。一方のレーサーXは、日本のアニメ『マッハGoGoGo』の謎のキャラクター、覆面レーサーXから取ったものらしい。
その「スカリファイド」とは、レーサーXが1987年にリリースした2ndアルバム『セカンド・ヒート』に収録されたインスト曲。このバンドは、私のようなにわかギター弾きに「何となく弾けたかも?」と勘違いすることも許さない、スーパーギタリストが二人揃った超絶バンドであった。
ヴォーカルはドラマーとしての実績もあるジェフ・マーティン。ベースは、前述の音楽学校のベース科に在学していたジョン・アルディレイト。テクニックの凄さが評判だった。ドラムにはスコット・トラヴィスが加入。彼は後に念願だったジューダス・プリーストのドラマーとなる。
そしてギターにはポール・ギルバートが講師をしていた音楽学校の年上の教え子、ブルース・ブイエが加入。ポール・ギルバートと超速ツインギターのユニゾン演奏を可能にした。ポールはブルースの才能に目を付け、自分自身と同等のテクニックを彼に教え込んだのだという。そう、レーサーXは、いわゆるテクニシャンの集まりだったわけである。
アルバム『セカンド・ヒート』を聴いた時の衝撃は、ナイト・レンジャーの “アーミングの達人” ブラッド・ギルスと、“エイトフィンガータッピング” のジェフ・ワトソンのツインギターを聴いて以来のことだった。ギタースタイルこそ違うが、超絶テクニックを武器に持つバンドという点では共通していて、それまでに聴いていたツインギターとは一線を画していた。
最近では、ドラゴン・フォースのハーマン・リとサム・トットマンも強烈なツインギターであるとは思うが、自分が夢中になってHR/HMを聴いていた頃に活躍したギタリスト達の極上のテクニックはやはり格別なのだ。
1980年代、数々のギターヒーローが産まれ、良くも悪くもそれはテクニック至上主義のようにも捉えられたが、やはり、「超絶」というものに私は魅力を感じてしまうのである。
2017.08.30
YouTube / Li-sa-X (Official)
YouTube / txerra
YouTube / WOWOW Entertainment official
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