充実した音楽キャリア、ウルトラヴォックスのミッジ・ユーロ
ボブ・ゲルドフとともに「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス?」を書き上げ、バンド・エイドを立ち上げたウルトラヴォックスのミッジ・ユーロ。
どうもミッジ・ユーロはボブ・ゲルドフの陰に隠れがちでありますが、本国UKではミュージシャンとしてのキャリアはボブ・ゲルドフよりも充実してました。第2次ブリティッシュ・インヴェイジョンを象徴するニューロマンティック勢のバンド、ヴィサージ、ウルトラヴォックスを渡り歩き、ソロとしても活躍しました。
サントリー角瓶CMで流れる「ニュー・ヨーロピアンズ」
ウルトラヴォックスにおいては初代ヴォーカリスト、ジョン・フォックスの後釜として加入。ジョン・フォックス在籍時以上のヒットを記録し、今やウルトラヴォックス=ミッジ・ユーロのイメージが定着しています。日本での知名度は今ひとつかもしれませんが、あのCMを観れば「あっ!」と思われる方も多いでしょう。デザイナー、三宅一生がヘリコプターに乗って登場するサントリー “角瓶” のCMです。
当時はまだお酒が飲める年齢ではない私でしたが、あのカッコ良さはいまだに印象に残ってます。黄色いヘリと美女モデル… そしてダンディーな三宅一生という映像も素晴らしいのですが、バックに流れるウルトラヴォックスの「ニュー・ヨーロピアンズ」がもう最高! インパクト抜群なイントロのギターカッティング、これだけで痺れまくり。曲タイトルも凄く素敵ですよね。
アントン・コービン、ピーター・サヴィル、操上和美、三宅一生…
この曲、CMソングとして日本でのみシングルカットされました(ウルトラヴォックスの代表曲でもある「ヴィエナ」がB面)。ですから「ニュー・ヨーロピアンズ」はベスト盤等にも収録されない、日本のみでのヒットになるのです。シンセを前面に出したウルトラヴォックスの他の楽曲群からするとやや異種の雰囲気もするのでこれはこれで良かったのかもしれませんね。
この「ニュー・ヨーロピアンズ」が収録されたアルバム『ヴィエナ』は内容もさることながら、アートワークもすごくいい。それもそのはずで写真がアントン・コービン(ピーター・ガブリエル、U2、デペッシュ・モード)、デザインがピーター・サヴィル(ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー)という私ごのみの布陣。
CMを手掛けた操上和美といい、三宅一生といい、凄いクリエイターたちの邂逅がこのCM周辺に渦巻いていたのですね。
しかし、今やハイボールの定番 “角瓶” があの値段で売られていたとは…。
※2017年3月6日、2018年10月10日に掲載された記事をアップデート
2020.07.11